新大久保駅で人助けをした申鉉亀さんはいい人なのか悪い人なのか。あと次第に劣化していった報道の内容について

今日のテキストは、ひさびさに長いです。
元の事件の報道は、こんな感じなわけで。
韓国人留学生が女性救出、2001年と同じ新大久保駅で(NIKKEI NET:社会 ニュース(2005年5月25日)

東京都新宿区のJR山手線新大久保駅で21日朝、ホームから線路に落ちた女子大学生を韓国人留学生が助け出していたことが24日、分かった。
留学生は、東京都杉並区に住む申鉉亀さん(27)。同駅では2001年1月、線路に落ちた男性を助け出した韓国人留学生李秀賢さん=当時(26)=が電車にはねられ亡くなっている。
申さんは李さんと同じ東京都荒川区日本語学校に通っており「先輩のことを瞬間的に思い出した。先輩に助けられて普段の何倍もの力が出た」と話している。
申さんらによると、21日午前5時半ごろ、山手線内回りのホームで、トイレに行く途中だった申さんが、線路に転落し倒れている女子大生を発見。ホームには20人ほどの客がいたが、見ているだけだった。
頻繁に電車が通るため一瞬ひるんだが、夢中で線路に飛び込み、抱きかかえてホームに運んだという。「韓国人なら誰でも取る行動を取ったにすぎません」と申さん。〔共同〕 (13:01)

(このテキストは「誤報」があります。追記参照)
この事件に関しては、あちこちのネットの人が書いているわけですが。
mumurブルログ:またもや韓国人がホームに落ちた日本人を救出するも、マスコミの捏造疑惑が浮上

しかし、事態はマスコミの捏造疑惑へと発展。
2ちゃんねらーの勇士が新大久保駅の駅員に直接取材を行い、「駅員が落ちた乗客に気づいて、救出に手を貸した中の一人に韓国人留学生がいた」「一人で女性をホームに持ち上げることは不可能」という言質をとる。

正義の韓国留学生報道|きちが石根

つまり韓国人留学生が一人で救出し
周りの日本人は見ているだけだった・・・と言うのは完全な誤報みたいです。

しかも女性は駅員にお礼に訪れています。
当然だ。他の救助に参加した一般人の事は女性にはわからない。
また、他の一般人は救助後名も告げず立ち去っています。

♪ヨン様と一緒♪:美談が美談にならない韓国♪

で、日本人的感性なら立派な事をしても
「名乗るほどのものではありません」と取材になんか応じないのが美学よね♪

人を助けて悪口を書かれる、というのは、ぼくとしては韓国の人に同情しますが、もう少し調べてみたくなりました。
一応、この事件のネット内でのまとめサイトは以下のところなど。
韓国人留学生、日本の新大久保駅で線路に落ちた女学生救出 簡易まとめ|朝鮮|д゚)カンサツ日記
報道を、時間順に整理してみます。
まず、第一報が流れたのは「2006年5月24日」の朝日新聞夕刊。なぜだかネットで見ることはできませんが、ここに画像はあります。
http://www.lifeshot.jp/files/photos/1144432702/1148603647_o.jpg

線路に女性、助けねば… 先輩の勇気つながった
 
東京都新宿区のJR山手線新大久保駅ホームから線路に落ちた女性を、一人の韓国人留学生が救出した。杉並区に住む申鉉亀(シンヒョング)さん(27)。この駅では01年1月にも線路に落ちた男性を助け出そうとした韓国人留学生李秀賢(イスヒョン)さん(当時26)が、電車にはねられ亡くなった。申さんは、李さんと同じ都内の日本語学校に通う。その時、申さんの背中を押したのは、先輩の記憶だったという(大西史晃)

21日午前5時半ごろ、山手線内回り線ホーム。
トイレに急いでいた申さんは、背後で大きな音を聞いた。走って引き返すと、若い女性が線路に転落して倒れていた。
ホームには20人ほどが集まっていたが、ただ見ているだけだった。申さんはとっさに飛び降り、女性を抱え上げてホームに運んだ。
新宿署などによると、助けられたのは、18歳の大学生。泥酔状態で転落したらしい。救急車で病院に運ばれたが、手足に軽いけがをしただけですんだ。
同駅では、01年1月26日夜、ホームから落ちた男性を助けようと、同じ韓国人留学生だった李さんが日本人のカメラマンと2人で線路に降り、電車にはねられて亡くなった。
勇気ある行動は祖国でも反響を呼び、故郷の金山に追悼碑が立ち、李さんをモデルにした映画も製作中だ。申さんは日本でモータースポーツ関連の仕事に就きたいと、昨年」9月に来日。荒川区内の日本語学校での入学式で、李さんが同じ学校に通っていたことを知った。
かっこいいなあ」と思った。
その李さんと同じ新大久保駅で、同じような場面に遭遇した。
山手線は、早朝でもひんぱんに電車が来る。一瞬ひるんだが、先輩のことを思い出した。
「自分もやらないといけないと思った。無我夢中でいつもの何倍もの力が出た
ふだん使わない新大久保駅で途中下車したのは、たまたま気分が悪くなったからだった。
「本当に不思議な巡り合わせです」
李さんの母で釜山在住の辛潤賛(シンユンチャン)さん(56)は朝日新聞記者からの電話に「まさかそんなことが、あったのですか」と一瞬声を詰まらせた。
「人間として当然のことと思いますが、なかなかできることではありません。秀賢のことを思い出して勇気を出したと聞いてうれしく思います。さっそく息子に報告します」
事故から3日。
助けられた女性からの連絡は、まだないという。

見出し部分を除く太字の部分が、ぼくの気になったところです。
1・人を助けるためでも、線路に降りることは「勇気ある行動」とは言えない(と、ぼくは思った)
2・朝日新聞の記者には、韓国語がたっしゃな人がいる
その他ですが、他のことはまた順を追って語ることにして、この「韓国語がたっしゃな朝日新聞の記者」が韓国の新聞に伝えたのか、そのニュースをいち早く伝えたのは韓国の新聞でした。
http://www.donga.com/fbin/output?n=200605240442&top20=1東亜日報
翻訳はこのあたりを参考に。
日留学申磯九(申鉉亀)さん線路に落ちた女学生求めて
例によってハングルはさっぱりですが、最後に「2006.05.24 17:37」という日付があるので、これがこの記事の公開された日なんじゃないかと思います。
その次にこのニュースを記事にしたのが毎日新聞です。
女性線路転落:韓国人留学生が救出 JR山手線新大久保駅−話題:MSN毎日インタラクティブ

女性線路転落:韓国人留学生が救出 JR山手線新大久保駅
 
JR山手線新大久保駅で線路に落ちた女性を救出した申さん=東京都新宿区で24日午後8時永井大介写す 東京都新宿区のJR山手線新大久保駅で21日早朝、ホームから線路に転落した女性が、韓国人留学生の申鉉亀(シンヒョング)さん(27)に救出された。この場所は01年1月、韓国人留学生、李秀賢(イスヒョン)さん(当時26歳)がやはり転落した人を救出しようとして電車にはねられ死亡した場所と、5メートルと離れていなかった。申さんは「李さんの魂が『助けに行きなさい』と私を後押しし、守ってくれたのだと思う」と話している。
21日午前5時半ごろ、同線日暮里駅に向かう途中、トイレに行きたくなった申さんは、新大久保駅で途中下車した。歩いていると、背後から「ドン」という音。線路に女性が落ちた音だった。
ホームには20人ほどの乗客がいたが、高齢者が多く、線路をのぞき込むだけ。申さんも「電車が来たらどうしよう」と迷ったが、李さんのことが頭をよぎった。「見て見ぬふりは出来ない」。線路に飛び降り、夢中で女性の体を持ち上げた。ホームに上がると周囲の視線が恥ずかしく、駅を出て200メートルほど歩き、JR大久保駅から日暮里駅に向かった。
JR東日本などによると、助けられた女性は18歳の大学生とみられ、酒に酔っていたらしい。病院に搬送され、手足の軽傷で済んだ。
新大久保駅では01年1月26日夜、横浜市の男性カメラマン(当時47歳)と李さんが、線路に落ちた男性を救出しようとして電車にはねられ死亡した。韓国でも大きく報じられ、故郷の釜山には慰霊碑が建てられた。
申さんは昨年9月に来日。モータースポーツを学ぶために日本語を勉強している。女性からの連絡はまだないが、申さんは「元気でいてくれればいいです」と笑った。【永井大介

英文を読む
毎日新聞 2006年5月24日 22時28分 (最終更新時間 5月24日 23時53分)

夜8時の取材ということで、なかなか新聞記者とカメラマンも大変ですが(これは2006年5月25日の朝刊に間に合わせるためだと思います)、この時点ではこの毎日新聞の記者は朝日新聞の2006年5月24日夕刊の記事」と、申鉉亀さんの証言のみを元にして記事を書いたように、ぼくには思われました(警察と駅員の話が掲載されていません)。要するに、時間的関係から複数の人間による事件のウラ(真相)が取れないまま、記事にした、という感じです。警官も駅員も、基本的には(ほぼ)24時間体制の仕事なので、勤務外で自宅で休養してたりしてたらしかたないですかねぇ。

ついでなので、英文も読んでみました。
Drunk woman rescued by Korean student after falling onto tracks

Drunk woman rescued by Korean student after falling onto tracks
Korean student Sin Hyon-gwi.A Korean student rescued a woman after she fell off a platform at JR Shinokubo Station in Tokyo, the same station where another Korean student was fatally hit by a train when he tried to save a man on the railway tracks.
Student Sin Hyon-gwi got off a train at Shinokubo Station in Shinjuku-ku at about 5:30 a.m. on May 21 to go to the bathroom.
He heard a sound behind him and saw a woman had fallen off the platform near where about 20 other, mostly elderly passengers were standing.
Sin, 27, worried that the next train would shortly be arriving, but remembered the bravery of Korean student Lee Su-hyon, who died at the station. He then jumped onto the tracks and helped the woman back onto the platform.
After the rescue, the blushing hero walked to another JR station, where he boarded a train for his destination, JR Nippori Station.
The location where the woman fell was only a few meters away from where Lee Su-hyon and a Japanese man died in January 2001.
Lee's heroic act was widely covered in South Korea and a monument for him was constructed in his hometown of Pusan.
"I think Lee's spirit told me to rescue her and protected me," Sin said.
JR officials said the woman was an 18-year-old student and was drunk at the time of the accident. She was treated for minor injuries in hospital.
Sin studies the Japanese language and plans to study motor sports in Japan. (Mainichi)

Click here for the original Japanese story
May 25, 2006

「女性からの連絡はまだない」というのが英文には見当たらないかな。
次に記事が見つかったのは、韓国の中央日報(Japanese JoongAngIlbo)の記事でした。
線路に落ちた女子大生を韓国人留学生が救助…新大久保駅(Japanese JoongAngIlbo)

線路に落ちた女子大生を韓国人留学生が救助…新大久保駅
 
5年前、李秀賢(イ・スヒョン)さんが亡くなったその駅で、韓国人留学生がホームから転落した日本人を再び救出していたことが明らかになった。
21日、韓国人留学生シン・ヒョングさん(27)は東京JR新大久保駅で酒に酔ってホームから転落した日本人女子大生を救出し、自分も無事に脱出した。
この駅は2001年1月26日、韓国人留学生李秀賢さんが線路に落ちた日本人を救った後、亡くなったまさにその駅だ。
シンさんはこの日午前5時30分ごろ新大久保駅で下車しお手洗いに行ったが、何か落ちる音を聞き、駆け付けてみると女性が線路に落ちてかろうじて声を上げていたという。当時プラットフォームには20人ほどの日本人がいたが、どうしていいかわからずにいた。シンさんもしばらくためらったが、学生が命を失うかもしれない危険に放置されているのをいつまで見てばかりいられなかった。彼は線路に下り、女性を救出、自分も無事ホームへ上がった。
警察によると救助された女性は18歳の大学生で酒に酔った状態だった。この女性はその後、救急車で病院に運ばれたが、手と足に軽い傷を負っただけだったということだ。
シンさんは李秀賢さんが通った赤門会日本語学校に在学中で、日本でモータースポーツ関連の仕事をするために昨年9月、日本に留学した。
シンさんは「瞬間、李秀賢さんを思い出し、自分も救出しなければならないという気がした」とし「無意識の中にいつもより何倍の力がわいて女子学生を持ち上げることができた」と話した。
一方、再び登場した「韓国人の義人」に日本のマスコミたちも京畿道始興キョンギド・シフン)に住むシンさんの母親を訪ねてインタビューするなど高い関心を示した。
シンさんの母親のチョン・ミョンジャさん(50)は日本マスコミの取材に「簡単にできることではないが、人としてすべきことをしただけ」と話した。

東京=イェ・ヨンジュン特派員

2006.05.25 07:49:40

と、これは2006年5月25日の早朝に公開されたテキストのようですが、ごらんの通り朝日新聞2006年5月24日夕刊の「線路に女性、助けねば… 先輩の勇気つながった」と、細かな言い回しを除くとまるで同じです。
この、中央日報のイェ・ヨンジュン特派員は、ちゃんと自分で取材をしたのでしょうか?
李秀賢(シンさん)の母親を訪ねてインタビューしたのは、朝日新聞以外のどこのマスコミ(朝日は「電話取材」ということで、訪ねて行ったわけではありません)? それも「マスコミたち」と複数なので、どこのマスコミたち?
で、それから2006年5月25日以降は、テレビのほうでも放映されまして、それはまぁYouTubeのほうで見られます。
YouTube - とくダネ「韓国人留学生 再び日本人救出」(2006年5月25日午前9時台)
翌日には、これが放映。
YouTube - 日本テレビ 『スッキリ!!』(5/26 放送)(2006年5月26日午前8時台)
見たぼくの感想は、「テレビというのは『情報』の提供というよりも『感情(感動)』の提供、あるいはおしつけをするためのメディアなんだなぁ」という感じでしょうか。あと、ちゃんと申鉉亀さんが話していたことを正確に翻訳していたのか、とか。特にコメンテイターは、とりあえず時間を水増しする以上の意味をぼくには見出しにくかったのでした。
少し話をもどして、25日の昼には、共同通信が以下のテキストを、

東京都新宿区のJR山手線新大久保駅で21日朝、ホームから線路に落ちた女子大学生を韓国人留学生が助け出していたことが24日、分かった。
留学生は、東京都杉並区に住む申鉉亀さん(27)。同駅では2001年1月、線路に落ちた男性を助け出した韓国人留学生李秀賢さん=当時(26)=が電車にはねられ亡くなっている。
申さんは李さんと同じ東京都荒川区日本語学校に通っており「先輩のことを瞬間的に思い出した。先輩に助けられて普段の何倍もの力が出た」と話している。
申さんらによると、21日午前5時半ごろ、山手線内回りのホームで、トイレに行く途中だった申さんが、線路に転落し倒れている女子大生を発見。ホームには20人ほどの客がいたが、見ているだけだった。
頻繁に電車が通るため一瞬ひるんだが、夢中で線路に飛び込み、抱きかかえてホームに運んだという。「韓国人なら誰でも取る行動を取ったにすぎません」と申さん。〔共同〕 (13:01)

以下の地方紙に流したわけです。
西日本新聞(2006年05月25日01時11分)
神戸新聞(2006/05/25 01:12)
徳島新聞(05月25日 01時25分)
熊本日日新聞(2006年5月25日 01:09)
あとだいたい同じようなものなので略しますが、まぁだいたい2006年5月25日の午後1時ごろでしょうか。
共同通信の記事は、本当に申鉉亀が「と話している」という話を聞いたのか、とツッコミを入れたくなる、朝日新聞の記事を劣化させたようにしかぼくには思えなかった記事ですが、みなさんはどう思いましたか。
で、以下の記事は典型的なソースロンダリングとして語っても問題はないかな、と。
「第2の義人誕生」・・・日本メディアが申鉉亀さんを特筆大書中央日報

「第2の義人誕生」・・・日本メディアが申鉉亀さんを特筆大書
 
21日、東京市内のJR新大久保駅で、酒に酔ってホームから線路に転落した日本人女子大生を救出した韓国人留学生、申鉉亀(シン・ヒョング)さん(28)の善行が日本で話題になっている。 特に、新大久保駅は01年1月、故李秀賢(イ・スヒョン)さん(当時26歳)がホームから落ちた日本人を救出しようとして死亡した駅で、日本社会は「第2の義人誕生」として感動する雰囲気だ。
朝日・毎日・産経・神戸・神戸・中日・京都など日本全国の新聞は24日付で、申さんの善行を一斉に特筆大書した。 毎日新聞は「韓国人留学生がまた線路転落女性を救出」という見出しの記事で、「5年前に李秀賢さんが死亡した場所から5メートルも離れていなかった」とし、当時の状況を詳しく報道した。 同紙は「当然やるべきことをやっただけ」という申さんの反応とともに、「申さんは女性を救出した後、周囲の視線が負担になり、駅を出て200メートルほど歩いた後、目的地に向かった」とし、申さんの謙遜な態度に喝采を送った。
朝日新聞は「線路に転落した女性救出…先輩(李秀賢さん)の勇気が伝わった」という記事で、5年前の李秀賢さんと申さんの善行を比較した。 同紙は、新大久保駅は5年前に李秀賢さんが男性を救出しようとした場所であり、申さんはこの日、電車に乗って日暮里駅の学校へ向かう途中、トイレに行くため新大久保駅で偶然に降りることになった点、申さんが線路に転落した女性を見た瞬間、李秀賢さんを思い出して勇気を出した点を列挙し、「当時、申さんを動かしたのは先輩の記憶だったはず」と説明した。 同紙はまた「人として当然のことだが、簡単にできることではない。 息子のことを思い出して勇気を出したと聞いてうれしく思った」という李秀賢さんの母シン・ユンチャンさんのインタビュー内容も伝えた。
日本のネチズンも申さんの勇気に感謝と激励の文を書き込んでいる。 ID「チョナンカン」のネチズンは「立派なこと。 感謝と敬意を表す」とし、コウドウ・イサオさんは「勇気ある行動に心から感謝したい」と書いた。 別のネチズンは「故李秀賢さんへの感謝の気持ちは今も持っている。 韓国人か日本人かは別にして、一人の立派な人間として見るのがよい」と主張した。
李秀賢さんの事件は、韓流とともに韓国に対する日本人の意識を変える決定的な契機になった。 日本の映画関係者は李秀賢さんの正義感にあふれる精神を扱った映画「あなたを忘れない」を製作、来年春に韓国と日本で同時公開する予定という。

いや、「日本のネチズン」が書き込んでいることは、「申さん、うさんくせぇ」というのが中心のような気がするんですが。
まとめると、
1・朝日新聞が書く
2・韓国の新聞(東亜日報)が書く
3・朝日新聞の記事を読みながら、翌日の朝刊に間に合わせるために、毎日新聞が不十分なウラ取りで書く
4・朝日新聞の記事を読みながら、韓国の別の新聞(中央日報)が適当に嘘を混ぜて(数年前に同じような事故で亡くなったシンさんの母親に、日本のマスコミが複数取材に来た、などと)書く
4・フジTV(とくダネ!)が放送する
5・あわてて共同通信が、朝日新聞の記事を読みながら、それを要約したものを全国の地方紙に配信する(誤報つき)
6・韓国の新聞(中央日報)が、単に「共同通信配信の記事を地方紙が掲載しただけ」という事実を「日本全国の新聞は24日付で、申さんの善行を一斉に特筆大書した」と書く(24日に記事にしたのは朝日新聞の、それも夕刊だけ)
と、事実が明らかになってからどんどん、新聞記事で掲載される情報が劣化している、という、とても珍しい*1展開のものでした。
 
で、肝心の「新大久保駅で人助けをした申鉉亀さんはいい人なのか悪い人なのか」なんですが、人助けをした人間が悪い人なわけはありませんね。
この事件で気になるのは、すでにあちこちで話題になっている通り、
1・申鉉亀さん一人で線路に落ちた女性を助けたのか
2・その女性は泥酔していたのか、それとも後の報道であったように貧血で倒れたのか
3・そもそも誰が、どういう風に、あるいはどういう目的で新聞(具体的には朝日新聞)にこの情報を流したのか
ということですが、もうあとは面倒なので適当にぼくの推理で書きます。あとで違ってたら訂正しますです。
とりあえず、山手線新大久保駅の時刻表。
えきから時刻表 新大久保 [JR]山手線 [駅時刻表](新大久保 [JR]山手線 新宿・渋谷方面(内回り) 土曜日/休日)

5  00  16  33  44  55

なので、「山手線は、早朝でもひんぱんに電車が来る。」という朝日新聞の記事は嘘です。まぁ「ひんぱん」の度合いにもよりますが、同じところの、たとえば7時台と比べると、

7  03  10  15  20  24  29  35  38  42  47  52  56

密度が全然違います。女性が落ちたのは「5時33分」の電車が通り過ぎたあとと思われるので、次の電車が来るまでに10分ぐらいはあるわけです。
まぁ、この記事を書いた大西史晃さん(ニューヨークタイムズ紙のノリミツ・オオニシさんとは関係あるんでしょうか)は、ついこの間まで福岡・北九州のほうで記事を書いていた人なので、そこと比べれば「朝の5時に6本も電車が動いてるなんてすごい」と思うかもしれません。
「1」に関しては、「申鉉亀さん一人」かどうかは疑問ですが、申鉉亀さんが中心になって(あるいは、線路まで降りたのは申鉉亀さん一人かもしれません)助けた、というのが、他の人の新たな目撃・体験証言が出てこない限りは真相だと思います。
「2」は、これも新たな証言が出てこない限り何とも言えませんが、泥酔していた、という可能性が高いと思います。だいたい21日は日曜日で、日曜日の早朝に新大久保駅のホームで倒れて線路に落ちる、というのは、ものすごい貧血のようにぼくには思えました。
「3」は、今のところ「申鉉亀さんが朝日新聞に自分の善行を記事にするよう報告した(自作自演)」「申鉉亀さんの通っている日本語学校が、学校の宣伝のために報告した」「映画の宣伝」とか、ネガティヴな意見が多いみたいで、特にそれを否定する材料がぼくのほうであるわけではありませんが、ぼくとしては朝日新聞の記事の中にある「警察によると新宿署などによると」にもう少し注目してもいいかな、と思いました。
九州から東京に来て、すさんだ東京の繁華街の社会面担当になった大西史晃さんが、ようやく顔なじみになってきた警察署の広報担当に月曜日の朝、「なんかこう、麻薬とか密入国とか武装スリ団とか、そんなんばっかで心がすさんで来るっすよ。もう少し、偽善っぽくてもいいから韓国の人のいい話ってありませんか。そういうのだったら多分うちの新聞は積極的に載せると思うんで」と相談に行ったわけですよ。「あー、そういえばこんな事件が昨日あったんだけど」と答える警察の人。なんか目に見えるようです。多分これは、東京の事件を記事にすることにまだ不慣れで、ボツ記事続きだった大西史晃さんの、ひさびさのスクープ・ヒット記事になったんじゃないでしょうか。「よーし、これからは『韓国人のいい話』ネタをもっと拾って来よう」とか思ったり。
…「韓国人のいい話」のネタが、「警官や学校の教師の悪い話」のネタと同じくらいの大きさで紙面に載るのはなぜか。
「警官や教師のいい話」は、なぜ滅多に新聞記事にならないのか。
これについては、特に「韓国や韓民族があまり嫌いではない人たち」に、もっとよく考えてもらいたいところではあります。
(2006年5月27日)
 
(追記)
このエントリーで「はてなポイント」をいただきました。どうもありがとうございます。ぼくとしてはこの額は「いただきすぎ」という感じなので、19+1ポインツはてなが1ポイント)ぐらいで十分なのです。
 
(追記)
こちらのトラックバックで気がつきました(気づくの遅すぎかも)
http://d.hatena.ne.jp/TERRAZI/20060527/p2
共同通信の記事のこの部分、

東京都新宿区のJR山手線新大久保駅で21日朝、ホームから線路に落ちた女子大学生を韓国人留学生が助け出していたことが24日、分かった。
留学生は、東京都杉並区に住む申鉉亀さん(27)。同駅では2001年1月、線路に落ちた男性を助け出した韓国人留学生李秀賢さん=当時(26)=が電車にはねられ亡くなっている。

李秀賢さんは「線路に落ちた男性」を助け出していません。
落ちた人とあわせて、3人が亡くなっているひどい事故でした。
この事実に気がつかなかったぼくもぼく(オレモナー)なんですが、金を取って新聞を売っている全国の地方紙が、共同通信のテキストをそのまま掲載してしまってるのはどうにもこうにも。
 

*1:珍しいんだろうなぁ、珍しいといいなぁ

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どれくらいの需要があるかは不明ですが、ぼく個人の需要はあるのです。
ええと…どうぞご利用下さい。
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あと、cssを本当はもう少しいじればいいんだろうけど、面倒くさいのだった。