「集団自決」に関する記述の、文部科学省「村瀬信一」氏の行為に興味を持ちました

 googleアラートの「集団自決」で拾われてくるニュースの9割はどうでもいいものばかりなんですが、ときどき気になるものもあったりするので紹介してみます。
「集団自決」削除 文科省が要求 意見書決裁は局長沖縄タイムス

「集団自決」削除 文科省が要求 意見書決裁は局長
 【東京】高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から日本軍の関与が削除された問題で、教科書を審査する「教科用図書検定調査審議会」に提出する「調査意見書」の決裁者は文科省の初等中等教育局長だったことが十八日、分かった。伊吹文明文科相教科書検定について「文科省の役人も私も一言も容喙(口出し)できない仕組みで行われている」と答弁していた。一方、意見書を取りまとめた日本史・沖縄戦担当の教科書調査官文科省職員)が、以前に「新しい歴史教科書をつくる会」の発足に携わった歴史学者と共同研究していたことも明らかになった。
 同日の衆院沖縄・北方特別委員会で布村幸彦審議官が、川内博史氏(民主)の質問に答えた。
 川内氏は「局長が決裁するということは、中身を見てまずかったら『もう一度やり直せ』と言える権限を持っている」と強調。「役人が口出しできる仕組みそのものだ」と批判した。布村審議官は「検定結果はあくまでも審議会の判断」との見解を繰り返した。
 調査官は、二〇〇一年に「つくる会」が主導した扶桑社版中学歴史教科書を監修・執筆した、伊藤隆東京大名誉教授と一九九九年ごろ共同研究した。文科省の内部資料によると、日本学術振興会に提出された「日本近代史料情報機関設立の具体化に関する研究」(代表者・伊藤教授)の九九年度収支決算報告書に、調査官が「研究分担者」として記載されていた。
 この研究には文科省の科学研究費補助金が拠出され、調査官は二〇〇〇年四月から現職にある。

 で、この「初等中等教育局長」は多分「銭谷眞美」氏、「教科書調査官」は「村瀬信一」氏だと思います。
なぜ「トンデモ教科書」に負けるのか

確かに、とんでもない内容を含んでいるのでしょう。上記の記事によると、この教科書の担当調査官、村瀬信一は、元皇学館助教授、元帝京大学助教授で、彼を東大の 大学院で指導したのが、「つくる会」メンバーでもあり、日本近代史の権威とされる 伊藤隆だそうです。その意味でも、文部科学省とやらの「検定」なるものは、猿芝居 でしかありません。

 ふーむ…。
村瀬信一 伊藤隆 - Google 検索
 こちらのほうも。
週刊金曜日: 金曜アンテナ:教科書を二重検定へ

教科書を二重検定へ
文科省が通知
 文部科学省の銭谷眞美・初等中等教育局長が、2006年度使用の教科書を実質的に二重検定する通知を4月12日、各都道府県教育長あてに出した。

 国会議事録では、もっと面白いものも見つかりました。
第166回国会 教育再生に関する特別委員会 第4号(平成19年4月25日(水曜日))衆議院

第166回国会 教育再生に関する特別委員会 第4号(平成19年4月25日(水曜日))
○川内委員 ちょっと……(発言する者あり)いや、だから一人しかいないんですよ。近現代史の日本史の専門家は一人しかいないんですよ。だけれども、それを私が、では一人しかいませんねと言って、そうですと言いますか。一人しかいませんよね。そうですか。
○銭谷政府参考人 大変恐縮でございますが、私、その一人一人、科学研究費を受けたかどうかというのを今承知をしていないんでございます。大変恐縮でございます。

○川内委員 では、この質疑の時間中に調べてくださいよ。で、答えてください。そんなのすぐわかるでしょう。わかんないわけないですよ。全然質問にならないですよ、これでは。(発言する者あり)いやいや、大臣が、教科書検定がイズムに左右されてはならないとおっしゃるわけですよ。それがイズムに左右されているのではないかという問題意識で聞いているんですよ、公正か否かということについて。いいですか。
 では、ここは文部科学省はまだ答えていないということが前提だけれども、近現代史の専門家は一人しかいないということを私が勝手に決めつけたという上でお聞きします。
 新しい歴史教科書をつくる会という会がございますね。文部科学大臣は何の関係もないとおっしゃられたけれども、新しい歴史教科書をつくる会という会が執筆をした歴史教科書がございます。検定に合格していますね。その歴史教科書の執筆者と同じ研究グループに属する方がこの近現代史の教科書調査官であるということはお認めになられますか。
○銭谷政府参考人 大変恐縮でございますが、ちょっとわかりかねます。
○川内委員 では、新しい歴史教科書を執筆、監修した伊藤隆さんと教科書調査官である村瀬信一さんは師弟関係ですか。

 この「川内委員」というのは、民主党の「川内博史衆議院議員のことですか。
 以下のところにも記録がありました。
166回国会 教育再生に関する特別委員会 平成19年4月25日
 全文は↑のほうが読みやすいかも。
 もう一度。
村瀬信一 伊藤隆 - Google 検索
平成9〜10年度「日本近代史料に関する情報機関についての予備的研究」(pdf)

研究組織
伊藤 隆 政策研究大学院大学・大学院政策研究科・教授
(中略)
村瀬信一 帝京平成大学・情報学部・助教

 なるほど。
 とりあえず、「日本近代史料に関する情報機関についての予備的研究」に目を通すことができればしてみたいと思います。
 しかし何で沖縄タイムスは固有名詞を出さなかったんだろうな。新聞報道の慣例でしょうか。
 
 これは以下の日記に続きます。
「集団自決」は日本軍の「関与」があったという感じで落ちつきそうな予感

『江戸は心意気』『変な映画を観た!!』『読書通-知の巨人に出会う愉しみ』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年6月あたり)。
※ものすごい勢いで追いついているので、来週はいきなり「2004年あたり」のおすすめを紹介するかもしれない。数年ぐらい前の本だったら、時事的なものを除けばそんなに、古い、という印象でもないので、言わないと気づかないんじゃないかと思う。

江戸は心意気

江戸は心意気

★『江戸は心意気』(山本 一力 著/朝日新聞社/1,260円)【→amazon
商人の知恵、職人の技、そして武家の誇り―したたかな江戸の気骨がそこにある!一力節が冴えわたる著者初の歴史エッセイ集。幻の掌篇小説二作も単行本初収録。
変な映画を観た!! (ちくま文庫)

変な映画を観た!! (ちくま文庫)

★『変な映画を観た!!』(大槻 ケンヂ 著/筑摩書房/714円)【→amazon
大槻ケンヂが目撃した変テコ映画を一挙公開。カルト、怪獣、エロ、不条理、狂気…。知られざる必笑ムービーから爆眠必至の文化的作品の意外な見どころまで。オーケン・セレクション・シネマを、ご案内。三留まゆみのイラスト多数。 ★『読書通-知の巨人に出会う愉しみ』(谷沢 永一 著/学習研究社/777円)【→amazon
その名は耳遠いながらも、近現代日本の知の世界を築いた十二人の著作家たち。その抜きん出た業績を、今改めて問う。