NHK番組改変問題1―読者の皆様へ

NHK番組改変問題1―読者の皆様へ朝日新聞2005年07月25日06時00分)

朝日新聞は今年1月12日付朝刊で、政治家の発言が圧力になり、NHKが番組内容を改変したと報道しました。これに対しNHKや政治家が抗議し、記事の根拠の一つだったNHK幹部の証言の内容や、取材のあり方などをめぐり論議が続きました。朝日新聞はこの間、さまざまなご指摘を受け止め、取材についても検証を続けてきました。発端の報道から半年を経たのを機に、番組改変問題とその取材過程について、改めてまとめてご報告します。

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この問題は、限られた関係者による密室での出来事が多く、現段階で、すべてが明らかになったとは言えません。しかし、公共放送のあり方に関する重要な課題を含み、かつ、責任あるメディア同士の論争になったことで高い関心が寄せられています。朝日新聞は過度に中傷的な報道に対し法的措置も辞さないとの姿勢も示しました。ただ、再取材を終えた今、まず選ぶべきは、紙面での報道と読者への説明であるとの思いから、今回の報告をまとめました。読者のご判断の一助となるように、NHK側の見解も併せて掲載しました。
取材・報道に関して、朝日新聞は「取材のプロセスや取材内容の詳細は原則として明らかにしない」という姿勢をとってきました。相手が誰であれ、報道する側の都合で勝手にそれらを公表していては、取材行為全般が信頼を失い、将来の自由な報道に支障を来すからです。今回も、取材記録そのものや取材過程の全容について詳細には明らかにできないと考えています。
ただ、今回は責任ある立場の当事者が取材の様子や内容について公表し、本社の取材に対する証言を一部否定するなどの事情もあります。この報告では、取材過程を明らかにしないという原則は維持しつつも、メディアの信頼を保ち、今後の取材に差し支えないと思われるところまで一歩踏み込んで、明らかにできるものはすべて説明させていただいたつもりです。
両立しない証言が存在し、報道から半年にわたる取材を積み上げてもなお、真相を解明できない部分が残っています。このことも、今回の報道をあいまいなまま放置しないために紙面に盛り込みました。ぎりぎりの状況で行われた報道の実情を率直にお伝えし、併せて、私たち自身としてしっかり総括したいと考えたからです。
ここに至る朝日新聞の一連の対応については、ジャーナリズムのあり方に詳しい識者の方々に第三者機関「NHK報道」委員会を作っていただき、朝日新聞側からこの報告をもとに詳しく説明し、その評価や意見を求めます。
審議の結果などについては、読者の皆様に改めて紙面でお伝えするとともに、朝日新聞として謙虚に耳を傾け今後に生かしたいと思っております。(編集担当〈常務取締役〉吉田慎一)