いつか来た道

ついでなので、別の形で「歪められ・貶められ・卑しめられているフレーズ」も挙げておこう。左翼系市民団体やプロ市民が、日本の軍国化に反対するときに、「このままでは日本はまた、いつか来た道をたどることになります」なんて言うでしょ。そういう奴らに、北原白秋の元の詩を見せてあげたい。ちなみに元詩のタイトルは「この道」で、たとえば以下のサイトにありますが
http://hokkaido.yomiuri.co.jp/youyomi/sat/s_021214.htm
引用するとこんな感じ。


 この道は いつか来た道/ああ そうだよ/あかしやの花が咲いてる
 あの丘は いつか見た丘/ああ そうだよ/ほら 白い時計台だよ
 この道は いつか来た道/ああ そうだよ/お母様と馬車で行ったよ
 あの雲は いつか見た雲/ああ そうだよ/山査子(さんざし)の枝も垂れてる
どうですか、これ? この詩の主人公がたどる「いつか来た道」は戦争と関係ありますか? だいたい日本耽美派・新浪漫派の巨匠詩人が、反戦とか俗っぽいことを詩にするわけがありません。俺の解釈では(多分誰の解釈でも)幼いころの郷愁・思い出を歌った美しい、美しいだけの歌です。英語なら「カントリー・ロード」が、意味的に重なるんですが。
いったいどこの誰が、「いつか来た道」を反戦フレーズに使うことを考えたんだろうか。そいつの正体をつきとめ、白秋のこの詩を本来の意味に復帰させるまで、自分に可能なことがあったら出来るだけのことをしたいと思うぐらいです。