世界の最果ての島「トリスタン・ダ・クーニャ」は喘息の人の島だったという話と遺伝子について

↓これは以下の日記の続きです。
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20050320#p2
 
南米大陸とアフリカ大陸の間にある絶海の孤島「トリスタン・ダ・クーニャ」については前の日記で話しましたが、実はそこは喘息持ちの人ばかりが住んでいる島でもある、という話。

喘息の島

大西洋の真中に浮かぶ絶海の孤島。イギリス領トリスタン デ クーニャ島は、世界でもっとも人里はなれた孤島です。全住人300人足らずのこの島は、世界一喘息患者の多い島としても有名です。住民の3割が いまも喘息で、いままでに喘息症状のあったひともいれると、なんと全人口(といっても300人ですが)の半分が喘息といいますから、確かに世界一でしょう。

普通、喘息患者が多い地域といえば、先進国、都会、とくに空気のきたないところなんですが、空気も水もとびきりきれいで、ストレスも少ない南の島に、なぜこんなに喘息患者が多いのでしょう?なにか秘密があるはずです。

その秘密とは・・・、もしや喘息発病にかかわる遺伝子にあるのではないか?そう考えた研究者たちがいました。

そして1997年、世界の注目がこの島にあつまりました。セクアナ・セラビューティクス社はついに喘息の遺伝子を発見したと発表したのです。本当なら、世紀の大発見です。発表によると、トリスタン島の住人からみつかった遺伝子は他の国の喘息患者からもみつかっていて、すべての喘息患者に共通とまではいきませんが、喘息が発病する仕組みの中でも、比較的重要な遺伝子である可能性が高いといえます。

この騒ぎは、別の側面でも有名です。じつはセクアナ・セラビューティクス社は、この遺伝子情報を特許として申請したのです。人間の遺伝子情報を特許にするというのは、当時、世界にも例がなく、大騒ぎになりました。

世界最先端の遺伝子研究がこの島でおこなわれ、ちゃんと成果が出たらしい、という話です。
遺伝子の島というと、アイスランドが有名ですが、そこではこんな騒動も。
Wired News - 遺伝子データ・スキャンダルに憤慨するアイスランド(上) - : Hotwired

アイスランド国民は、単一民族的な性質を持つため、遺伝学者にとっては魅力的な被験対象となっている。この国は地理的に離れた場所にあり、また人口が少ないため、アイスランド人は、相対的な意味でだが、人種的に純粋なままだといえるのだ。
遺伝子データベースは、1998年のアイスランド健康保健データベース法により、アイスランド議会が承認した包括的プロジェクト。議会では1月にデコード社に対し、このデータベースについて12年間の独占権を認めた。

あと、あまり知られていない話としては、こういうのも。
珍の探求:其の3 『ポルタトーリ 選ばれし者達』

イタリアのリモネという小さな村に、「ポルタトーリ(遺伝子を運ぶ者)」と呼ばれる人々がいます。世界中でたった38人しかおらず、全員が、この村の住人です。
ポルタトーリは、「アポA-1ミラノ(APOLIPOPROTEIN A-1 MILANO )」と呼ばれる特殊な変異した遺伝子を持っています。
「アポA-1ミラノ」は、正常な「アポA-1」と比べ、173 番目のアルギニンがシステインに変異しており、システイン同士がジスルフィド結合を起こすため、通常の人よりも、コレステロールの吸収速度が速いそうです。(私もよく分かっていません)
つまり、この遺伝子を持つ者は動脈硬化になりにくい。そのため、長寿な方が多いようです。
通常、遺伝子の突然変異が起こると、マイナス要因として現れる例がほとんどだそうです。ポルタトーリは、極めて特異な例でしょう。
では、誰が一体、リモネ村に「アポA-1ミラノ」を持ち込んだのか? 誰の体で遺伝子が変異したのか? 
これは、はっきり記録が残っています。

さらにくわしい、知的刺激。
分子栄養学とメガ・ビタミン主義

世界には動脈硬化の起こりにくい遺伝子をもった「ポルタトーリ」と呼ばれる人達が存在しますが、「ポルタトーリ」と我々の違いは10万種類のタンパク質を作る設計図の文字配列の中のたったの1文字の違いだけだそうです。この1文字の違いが「強力にコレステロールをはぎ取る力」を彼らに与えているのです。

知的刺激というよりは、遺伝子みたいなものを扱う小説の元ネタみたいな感じになってきました。もっと調べれば、もっといろいろ出てきそうです。