『NANA』は、以下のことがどうしても嫌いな人には向いていない漫画なのです

こんなところから。
caprinのヲタ更正日記 - 女子に聞きたいっ!! NANAって、そんなにおもしろい!?#p24

なんかTVをつけたらやっていたので最初の1回目を見ることが出来た。自分は原作を知らないのでこれからどう展開するのか分からないが、昔あったキラキラ・キャピキャピした見ているこっちの方が恥ずかしくなる少女漫画にノスタルジーを感じる自分としては、これを恋愛を基調とした従来の少女漫画の感覚で見るのはヲタクでも正直かなりしんどいと思った。

あの漫画は、以下のものがどうしても好きになれない人には向いていないと思います。
1・タバコ
2・酒
3・ケータイ
4・パンクファッション
漫画に限らず、創作物などに関しての小道具その他については、「時代」と「作者がどういうものを好きか(興味があるか)」に縛られる要素が大きいと思います。全能でない神様は、自分が持ち上げることのできない岩は作れないわけで(全能の神様は、その岩が持ち上げられないことによって全能ではなくなりますが、これは余談)、たとえば小説の中に「天才」とかを出す場合でも、それは「作者の想像の及ぶ限りの天才」でしかないわけです。
で、『NANA』の中では、以下のものはほとんど、あるいはまったく出てきません。
1・小説を中心とする本や書籍
2・インターネット(ブログその他を含む)
3・サブカルチャーWeb 2.0を含む)
まぁ最後の奴はギャグですが、「バンドの宣伝にウェブサイトを持ったりしない」「メンバーが音楽に関するテクニカルな話をしない」など、矢沢あいさんが「何に興味を持っていないのか」ということもわかるわけです。要するに、酒とタバコとケータイが好きな、今どきの(オタクから見ると非オタク的な)女性である、という。
ただ、ファッションも含めた、矢沢あいさんの(別のカルチャーでの「オタク」的に)こだわっているディティールもあるわけで。
話のほうは、いろいろなキャラの因縁も踏まえた過去設定などは、割と一条ゆかり的な(あるいはさらにその前の、日本の大衆娯楽小説的な)オーソドックスな少女漫画・大衆娯楽物語としてけっこう楽しめると思いますが、どうなんでしょうか。
話は少し変わりますが、たとえば猪瀬直樹の著作を読むと、この人は「車」は運転するだろうけど「タバコ」には興味がない(あるいは、吸わない)人なんだろうなぁ、と想像ができるわけです。
酒・タバコといった嗜好品、あるいは音楽・映画といった趣味の分野で、漫画家・小説家その他のクリエイターがどのようなものを好き・嫌いなのか、ちょっと興味を持って読んだりみたりしていると面白いと思います。
 
参考。過去にこの話に言及した俺のテキスト。
漫画『NANA』(矢沢あい)を読む
漫画『NANA』(矢沢あい)・続き
漫画『NANA』(矢沢あい)・続きその2
この話って1991年2001年の設定だったっけか。思い出したよ。
 
参考リンク。
女子に聞きたいっ!! NANAって、そんなにおもしろい!?(Something Orange2006年4月8日)

たしかに、ここでふたりのナナがやっていることは褒められたことではないかもしれない。しかし、ふたりは「そういう性格の女の子」なのだ。
ここだけを見て「自分勝手な性格の女が出てくるアニメ」と決めつけないでほしい。たしかにそれは一面の事実だが、しかしふたりはこれから自分の性格がひきおこす災難に苦しめられていくことになるのである。自分勝手な行いには、ちゃんと報いがあるのだ。

ぼくは「NANA」がオタクには楽しめない作品だとは考えない。もちろんひとそれぞれだから、楽しめないひともいるだろう。しかし、もともと決して間口の狭い作品ではないのだ。楽しもうと思って見れば、良いところも見えてくるのではないか、と思う。甘いだろうか。

こうなるともう、「イギリス小説的伝統」な物語なのかも。オースティンとか。
 
(追記)
猪瀬直樹さんの「タバコ」に関する言及があった、ということで。地下鉄の全ゾーン禁煙措置について。
喫煙者の脳ミソというのは、たぶん(ry(中の人などいない日記)

ファシズムの原因を軍部の暴走とばかり考えていると、大まちがいのもとである。怖いのは論理が飛躍することなのだ。理由のない禁止が広がれば、なんにでも際限なく適用できてしまう。
禁煙についてはアメリカのほうが厳しいではないか、という反論もあろう。だが違う。たしかにアメリカは禁酒法をつくったり極端に振り子がぶれるが、禁酒法を試してみて駄目ならちゃんと廃止するフィードバック機能がある。日本は一度決めたら、絶対に戻らない。そこが怖いのだ。論理を無視した「正義」というダンビラを振り回すときが、もっとも危ない。 (88.4)

タバコを猛烈に愛している人みたいです。タバコの税金があがることについても何か言っているかなぁ。
しかしこのテキストは18年も前のものなので、猪瀬さん、ひょっとしたらタバコを止めたのかもしれません。