今週の時代歴史小説(2006.7.24-29)

今回は13冊でした。今週の1冊は、これ。
 
★『黎明に叛くもの』(宇月原 晴明 著/中央公論新社/1,000円)【→bk1】【→amazon
ペルシアの暗殺法を伝える山で刺客として育てられた美貌の稚児。志を胸に山を下りた少年は、長じて松永久秀と名乗り、京を手中に収める。織田信長より過激、斎藤道三よりしたたか―戦国一婆娑羅な悪党は、妖しの法を自在にあやつり、信玄、謙信、光秀はじめ群雄たちを翻弄する。虚と実の狭間に屹立する異形の戦国史
 
伝奇っぽいの好きです。



★『妻の背中の男 幽剣抄』(菊地 秀行/角川書店/700円)【→bk1】【→amazon
九鬼原の美しき妻・知也の背に浮かび上がった三十半ばの脂肪ぎった男の顔。それはかつて、知也に求愛していた千田君平のものだった。千田は、何者かに襲われ命を落とし、その後、知也の背中にとりついたのである。なんとか千田を成仏させようとする九鬼原だったが―(「妻の背中の男」より)。藩のため、家のため、剣のためすべてを失った下級武士たちの姿を悲哀とユーモアで綴った時代小説怪異譚。◆妻の背中の男◆鯛の顔◆うるさ方◆覗く◆生ける死者◆夜の番所◆からくり進之丞◆蜃気楼◆僕の世界◆元服宣言◆戦さ人

★『最勝王』(服部真澄/著/中央公論新社/1,995円)【→bk1】【→amazon
空海とその時代。王とは、仏教とは、生きる意味とは何か。すべてを開く秘密の鍵。渾身の長篇小説。

★『闇の処刑人 刺客請負人』(森村 誠一 著/中央公論新社/620円)【→bk1】【→amazon
剣客漢那行雲直伝の剣の腕を買われ、助っ人稼業を始めた松葉刑部だが、ある日、「化け猫退治」を依頼された。引き受けた刑部が探りあてたのは激突する赤穂浪士の生き残りと吉良の残党、そして幕府新旧権力者の暗闘だった…!森村流時代小説「刺客請負人」シリーズ完結。

★『恋ほおずき』(諸田 玲子 著/中央公論新社/620円)【→bk1】【→amazon
江戸は浅草田原町。恋の痛みをいやしてくれる若き「女医者」がいた。自身も切ない過去を抱える女医は、叶わぬ恋に落ちてしまう。あろうことか、子堕ろしを取り締まる同心と…。連作時代長篇。

★『青き剣舞』(花家 圭太郎 著/中央公論新社/680円)【→bk1】【→amazon
秋田・佐竹藩で婿入りした男が、親友に義父を殺められた。仇となった友を追い求め江戸へ出立。一度は市井に生きようと決心するも、かつての友が現れる。義と情に揺れながら宿命の対決を迎えるが…。生類憐みの令や赤穂浪士討ち入りなど、激動する時代を背景に蠢く青春群像を描いた時代小説。

★『死化粧 介錯人・野晒唐十郎』(鳥羽 亮 著/祥伝社/600円)【→bk1】【→amazon
闇に浮かぶ白い貌に紅をさした口許。白皙異形の浪人が瞬く間に二人の侍を切り捨てた。無造作に剣を下げた秘剣下段霞は、太刀筋が読めない。小宮山流居合の達人狩谷唐十郎の前に立ちはだかる最強の刺客石神喬四郎だった。石神らが狙う奥州高桑藩の脱藩士を門弟の助造が助けたことで藩の内紛に巻き込まれたのだ。唐十郎、師範代弥次郎、助造の壮絶な闘いの行方は。

★『ラランデの星』(鳴海 風 著/新人物往来社/2,100円)【→bk1】【→amazon
江戸の天文学者高橋至時とその嫡男作助、そして弟子の伊能忠敬―。宇宙の真理を求めて、星々の輝きに魅せられた男たちの不撓不屈の情熱と生きざまを描く渾身の長篇力作。

★『草原の覇王 チンギス・ハーン』(津本 陽 著/PHP研究所/1,890円)【→bk1】【→amazon
広大なモンゴル高原に群雄割拠する遊牧騎馬民族を統一し世界帝国を築くに至るまでの人間チンギスのドラマを描く。 モンゴル建国800年の節目に、歴史小説の第一人者が、英雄チンギス・ハーンの並外れた戦略眼や政治力を描いた渾身の一冊。 チンギス・ハーンは中世モンゴル社会の強力な族長の子として生まれたが、9歳のときに父が毒殺されてから運命が変わる。当時のモンゴルでは、隙のある部族、弱小の部族に対しては、殺戮のうえ財産すべてを奪い、女・子どもだけを奴隷にするという徹底した弱肉強食の掟があったからだ。 母と弟たちを守りつつ、迫りくる刺客から逃れて、奇蹟的に命を落とさなかったチンギス・ハーンは、やがてモンゴル高原に群雄割拠する何十万という遊牧騎馬民族を切り従え、ついにハーンの座を手に入れる。 その後も東は中国の金、西はウイグル、西遼、ホラズムといった大国を征服し、ついにユーラシアの覇者となったチンギス・ハーンは推定で72歳の生涯を終える。 文字を持たないモンゴル族がなぜ世界帝国を築くにいたったのか。モンゴル軍団の強さの秘密とは何か。そしてチンギス・ハーンが後世に残した最大の功績とは。モンゴル建国800周年に贈る会心の大河小説。

★『旗本花咲男 上』(宮本 昌孝/ベストセラーズ/670円)【→bk1】【→amazon
慶長二十年、大坂夏の陣において、真田幸村の猛撃に徳川旗本衆は総崩れとなり、家康の命もあわやという土壇場、ひとり踏みとどまり、御大将の窮地を救った初代から数えること、百三十年。時は八代将軍の御世が終わりを告げる頃。下膨れの童顔に大きな瞳。眉間には「桃割れきず」。八百八町、その名を知らぬ者なき茶乙女家七代目、留主水之介康景。「身の生業も旗本の、分を超えた人助け。只今参上仕る!」。

★『旗本花咲男 下』(宮本 昌孝/ベストセラーズ/670円)【→bk1】【→amazon
そちの嫁とりは、天下の一大事―朋友、田沼意次によれば、縁組は前将軍、吉宗のお声がかりらしい。窮した留主水之介はあの手この手を使うが…。九月末の深更、ついに婚礼の支度が相整う。花嫁は熊本藩主の妹君で、名は冴姫。その花嫁が遁走した。捨て台詞は「奪いに来るのを待つ。心して参れ」。じゃじゃ馬姫に一目ぼれした留主之介にふりかかる災難とは?時代小説界の気鋭が放つ幻の続編。

★『寒中の花 死斬人 鬼怒玄三郎』(本庄 慧一郎/ベストセラーズ/700円)【→bk1】【→amazon
紀伊国屋文左衛門の影の用心棒を務める浪人・鬼怒玄三郎。師と仰ぐ佐貫炎十郎とともに、裏稼業の元締め・明石の文蔵が持ち込む標的を闇の裡に仕置きし、修羅場を潜り抜けてきた。奸智と策謀で俄成金となった材木商の奈良屋茂左衛門は、文左衛門を目の仇と狙い、目障りな玄三郎に次々と刺客を放ってくる。この茂左衛門同様、幕府御用の利権に係わって、しこたま儲けた役人と似非医者たち。悪遊びにうつつを抜かし、江戸の庶民をいたぶる悪党どもを、玄三郎の怒りの剣が斬る。

★『剣豪の城 北畠具教』(深水 聡之 著/叢文社/1,890円)【→bk1】【→amazon
塚原卜伝上泉信綱の高弟。将軍義輝と「竜虎」と呼ばれた具教(とものり)の守る南伊勢の大河内城に、天下布武を目ざす信長の七万の大軍が押し寄せる。攻防五ヶ月。信長は遂に糧道絶ちを仕掛けてくる。誇りに生きヨ、斬り死にこそ本望…と怒号する具教。「二十倍の大敵、勝算なし、降伏して部下の命を救え」と、父の怒りの木刀の前に立ちふさがる具房。無気味に迫る九鬼水軍。智略戦しかできない己を恥じて暴走する藤吉郎―。和睦の使者の訪れに開城を決断した剣豪具教は、その前日、数騎で城門を開き敵中に突入。修羅となって斬ってまわる―。