『どろろ』すげぇ面白い

信じられないかもしれませんが、あの映画とかあの映画とか、漫画・アニメの原作つきダメ映画にだまされたかたは特に信じられないかもしれませんが、
 
すげぇよかった。
 
妻夫木聡の過去作品映画を探してみたくなるぐらい。彼に限らずどの役者も最高の演技で、どろろが刀を捨てるところとか、エンディングのあれとか、もう泣けます(いい意味で)。
ちなみに、やおい脳」をお持ちのかたは、どろろを男性変換して見るとさらに楽しめます。
しかし、原作の手塚治虫先生の「戦争体験に基づく、いい意味での反戦映画」なんだよなぁ、これ、一応。
ゲド戦記』見て、(悪い意味で)泣けたかたには、特におすすめです。
ちなみに、どろろ百鬼丸に名前を聞く(それまではまぁ本当の名前はないわけですが)シーンの、「あなたのお名前何てぇの?」というのは、トニー谷という芸人が「アベック歌合戦」というTV番組で使ったギャグで、原作の『どろろ』連載当時(1967年〜69年)に映画化されていたらみんなズッコケていたギャグだと思うんですが、今映画館でそのネタで笑える人はどれぐらいいるだろう*1
あと、見ている女性客の半分ぐらいが「やおい脳」の人かと思えてしまえて困った。
ファファード&グレイ・マウザーもこの路線で映画化して欲しいものです。ええと、フリッツ・ライバーの小説翻訳とどっちが早かったかな。あちらは剣士と魔術師、こちらは剣士とシーフ。
なんか『エイリアン』っぽいネタもあったんだけど、それに関しては手塚治虫のほうが絶対に古いと思う。
Yahoo!映画 - どろろ - 作品ユーザーレビュー
あと、割とムダな映画のマメ知識として、映画の製作コストダウンにうまく成功している、という意味で、『ターミネーター』のジェームズ・キャメロン監督と同じプロ魂を感じました。
というのは、「人数をたくさん使う(出す)映画は、昼間に撮らない」というのがあるんですよ。
つまり、「○十人の出て来るシーンを×日」かけると、もうそれだけでコストアップが著しくなるわけで、しかも昼間撮影だと「自然光の影」がごまかせない。
そこで、夜あるいはスタジオの中で、人工的に光をつけて撮影を1日ですませたりする(結果的に夜のシーンばっかりになる)、と。
撮影人物が主役プラスアルファ程度だと、△日かけても大丈夫なんですが、自然光では原則的に一日の限られた時間しか撮影できない
映画作る人が実写面倒くさすぎてCG動画に逃げたくなる気持ちがわかります。
それから、この映画の甲冑の中の人は何人か、絶対に日本人でない(ニュージーランド人である)と思います。
ニュージーランドで撮影した 映画「どろろ」 > New Zealand

今回の「どろろ」撮影にあたっては、世界で最も美しく豊かなニュージーランド大自然の中にオープンセットを制作して、広大な丘陵地帯や森林地帯、岩地など、日本国内では見ることが出来ない環境の中で「どろろ」の世界観を構築しました。

それでも製作費20億円か! 世界市場を狙ってますな*2
 
これは以下の日記に続きます。
『どろろ』はそこがいいんだよ、柳下毅一郎さん
 

*1:ぼくもくわしく知っているわけではありません。『おそ松くん』の「シェー!!」ぐらい有名なギャグだったかな。

*2:狙える映画だとも思います。