書店のサブカル棚は去年の4月から、毎日百店単位でなくなっているらしい

 これは以下の日記の続きです。
『オタク論!』(唐沢俊一・岡田斗司夫/創出版)から、唐沢氏の間違いと思われるものを3つ指摘してみるよ(パガニーニ、野田高梧、蜀碧)
 
 ということで、以下の本の話の続きです。

オタク論!

オタク論!

★『オタク論!』(唐沢俊一/著 岡田斗司夫/著/創出版/1,575円【→amazon

オタク第一世代が語る「オタクって何だ!」限りなく拡散しつつある「オタク」なる存在を第一世代が今一度語り尽くした。

 p174より引用。

(唐沢)それよりも、『嫌オタク流』に出てくる人たちは主にサブカルの人たちなんですよね。サブカルはオタクのことを心配する暇があったら、お前たちのことを心配しろと言いたい。書店のサブカル棚は日本中で1日百店単位でなくなっているんですよ。こんなところでオタクの悪口を言ってる場合じゃないよ。がけの上で踊っている奴らを沈む船の甲板から笑っているようなモンで。

 これは2006年4月の記述ですが、まぁとりあえず、唐沢さん何かサブカル系に嫌な思い出があるのかな、みたいな憶測は置いておいて、確かにここ何年か、サブカル系の棚には勢いがない様子。こういう本だったらサブカル系の棚に置かれそうなんで出してみるか、みたいな本がやはり減っている印象があります。印象の根拠が、ここ何年か出版されている本のタイトルその他実感的なものでしかないので(客観的に判断できる材料を持っているわけではないので)説得力皆無なんですが、タレント本とか出版・ジャーナリズム本とか、あるいは新書棚・ケータイ小説になっているのでは、というのが率直な感じ。
 その理由はいろいろ考えられるんですが(本を読む人間の高齢化その他)、ぼくの判断では「もう人は本という商品に千円以上の金を出そうとは滅多に思わない」というのが理由なんじゃないかというところです。ケータイ小説も新書も、単価だいたいそれ以下なわけで(分冊もありますが)。
 サブカルのようにピント絞っているわりには広範囲の読者を目指している、少なくともそれなりの読者を目指しているフリをしている本というのが中途半端な感じでしょうか。SF・ミステリーの翻訳ハードカバーなんて、普通に2000円越えてるわけですが、それはそういうのを買う数千人の固定読者を対象にしているからできることで、文芸書も含めて1000円台後半という価格帯が一番支える層が薄くなっている。文芸(小説)関係はまだ文庫という価格で勝負できる(勝負できる作品もある)という点で何とかなっている気がするんですが、サブカルはそこまで読者層が広くないし、時事的なネタが多いため文庫にするにしても時期を逸してしまうようなものもあるわけで。
 ネットとか見てると、オタク・サブカルはまだまだ商売になる、と勘違いする人もいるかも知れませんが、オタク市場の数千億円は、商品の規模としては缶コーヒー市場の数分の1ぐらい。
JT、爽快なアロマを実感できる缶コーヒー「ルーツ リアルブレンドシンバウィンド」を発売 - マイライフ手帳@ニュース

 缶コーヒー市場は、微増微減を繰り返しながらも、飲料市場全体の22.5%(推定8770億円:食品マーケティング研究所2006年度推定)を占めている。そのなかでも6割を占めるのが「砂糖・ミルク入り」タイプだという。

 ていうか、漫画市場全部あわせても缶コーヒー市場に負けているので。
アニメ産業とビジネスの情報

しかし、日本国内の日本アニメのビデオグラム売上高は1200億円あまり(2005年)、それにおよそ5000億円(2005年)のマンガ雑誌・マンガ単行本を合わせると市場規模は6200億円になる。

 電車の広告でも、やたら飲み物が目立つのはそのせいか。
 話を広げすぎてもナニですが、要するにネットで見られるほどオタク・サブカル市場は世間ではたいしたことない(日本の基幹産業になんてはとてもならない)ことは明らかです。
 あと、最近の若い子はパソコンでインターネットなんかしてません。ネット的な情報収集・コミュニケーションはケータイでやってるわけで。さらに伝聞情報ではありますが、漫画を読まないとか、漫画の読みかたがわからない、ということもあったりしても不思議じゃないなぁ、とか思います。物語の伏線・回想という構造も理解できないんじゃなかろうか。お前らそれじゃダメだよ! と怒ってみても(怒ってみるフリをしても)、怒られるはずの対象(若者)は多分ぼくの日記なんか読んでない。
 で、話が元に戻りますが、諸物価が現在のような状況では、「本(新刊)の値段が1000円以上」というのは、ひょっとしてものすごく高いハードルなんじゃなかろうか、というのはあります。ロードショー映画だってレディースデイ・メンズデイその他○○割引とかを使えば1000円で見られるし、DVDはレンタルなら500円以下なんで。図書館の利用者・利用冊数は多分増えているんだろうな。増えている気が確実にする。
 この話はまたいつか、続けるかもしれません。