『死の谷』----かっこいいワルモノが犬のように死ぬ

解説・あらすじ 死の谷 - goo 映画
 脱獄したお尋ね者ガンマンのウェス・マクイーン(ジョエル・マクリー)は、恩のあるデーヴのために、あまり気のすすまない列車強盗を、悪者二人と組んでおこなうことになるが…という話。これは1941年ボガート主演の映画『ハイ・シェラ』の西部劇版リメイクということなんですが、ノワール的なキャラの立ちっぷりは言われてみるとギャング映画みたいではあります。アクションとしての駅馬車襲撃(被襲撃)シーンや、列車と馬が駈けあうシーンなどは、ところどころ画面合成が、今の視点では笑ってしまうほどあからさまなんですが(アクション・スタントマンの使われ具合とかもね)、それを上回るスケールを感じさせて、今どきの映画じゃないなぁ、と毎度ながら思う感想をまたしても持ってしまったのだった。主人公の昔の恋人(?)の墓を訪れるシーンとか、複雑なキャラクターが描写のきれぎれに出てきていて、キャラ作りにものすごく成功している話のようにぼくには思えた。しかし最後は、主人公とその相手のヒロインにとってバッド・エンディングなんですね。ニューシネマとかヌーベルバーグじゃないバッド・エンディング映画なんて見るのは、西部劇でははじめてのような気がして、かなりおどろいた。そうか、こうやって終わらせてもいいのか。ミズーリの刑務所に入れられていた主人公をカンザスの田舎から差し入れに行く(助けに行く)とか、メインの「死の谷」はコロラドだとか、けっこう広い範囲を舞台にしていながら、それを感じさせないのも日本人にはアメリカ人的には映画を見ることはむずかしいと思った。主役はどうかんがえても正義キャラにもかかわらず、悪人としての業を背負っているところがこの話の魅力ではあります。とりあえず『ハイ・シェラ』も見ることにしなくては。