「この話はリアルだ」という場合の「リアル」について

 これは以下の日記のつづきです。
まさか「兄の人生の物語」をリアルだと思って読む人がそんなにいようとは
 
 はてなダイアリーのキーワードから。
リアルとは - はてなダイアリー

一般的には「リアルだ」の形で、現実に起こりうる、本物っぽい、という意味で使われることが多い。

 あと、以下のコメント欄から。
まさか「兄の人生の物語」をリアルだと思って読む人がそんなにいようとは

o_o_o_o
こんにちは。ブックマークコメントの引用元筆者です。
質問があるのですが、愛・蔵太さんはこの文章中においてどのような意味で「リアル」という言葉を使われているのですか?
また、私は「兄の人生の物語」に対して「リアルだ」と表現した事はないのですが、どのあたりで私が「兄の人生の物語」に対して「リアル」だと感じていると判断されたのでしょうか? お答え頂ければ幸いです。
ちなみに私は「リアル」という言葉を使用する場合、「現実感のある」という意味で使用しています。

lovelovedog
ぼくがリアルというのは、「現実にあった」という意味です(ノンフィクションとほぼ同意義)。o_o_o_oさんのブクマコメントは「創作と思っている人」「いない人」が初期段階でも混じっていた(創作と思わない人もいた)という例の中で、「フィクションか否かは不明」と思っている人の例として引用しました。しかし世間一般的に「リアル」というのは「現実感のある(現実感のある創作)」という感じで使われている言葉なんでしょうか

 で、ちょっと疑問に思ったんですが、「現実感のある」という表現の別の言いかたとしては「リアル感のある(リアルな感じがする)」という言いかたが一般的だと思ったんですが、そうじゃないのかな。
 「リアルと思って読む」「リアル感のある話と思って読む」「現実(にあった話)と思って読む」の使いかた・使いわけにずれがあるんじゃないかと思って、ちょっとメモ。
 前の見出しをたとえば、
「まさか「兄の人生の物語」をリアル感のある話だと思って読む人がそんなにいようとは」
「まさか「兄の人生の物語」を現実にあった話だと思って読む人がそんなにいようとは」
 とかに変えたほうがわかりやすいですかね。
 ぼくの判断は後者なんだけど、ぼくの思っている以上に「物語として読んだ人」が多いようなら、ちょっと訂正しないといけないかも知れず。
 リアル感のある話とは、創作度の高い(追記:創作の入っている度合いが、比率として高い)ことを意味し、現実にあった話とは、ノンフィクション度の高い(追記:実際にあったことの入っている度合いが、比率として高い)ことを意味します。前者は完全に虚構かもしれないし、後者は完全に事実かもしれないという判断を含みます。
「現実に起こりうる、本物っぽい」=「リアルだ」というのは、いくらなんでもその定義はないでしょう、というのが私感。
 少し古いエントリーだけど、こんなのを。
映画『ダーウィンの悪夢』に関する「嘘」について
ドキュメンタリーはノンフィクションなのかについて映画『ダーウィンの悪夢』で考える
 映画『ダーウィンの悪夢』のようなドキュメンタリーに「この映画はリアルだ」という表現を使うのは、個人的にはためらいがあるのですね。
 別の例として、たとえば『椿三十郎』は非リアルで、『恋空』はリアルか、というと、そんなことはないでしょう。どちらもフィクション(非リアル)。リアル度が高い、という判断を『恋空』に関して持つ人が多い、ということはあると思いますが。いくら時代劇でも『椿三十郎』はメチャクチャだ、とか、時代考証的には『椿三十郎』のほうがリアルだ、とか意見もあるかな。
 
 参考リンク。
2007-12-12 - 小野マトペの業務日誌(アニメ制作してない篇)

とここまで書いて、どうも『リアル』の意味がずれてるのかなあと思った。『リアル』はつねに『僕/僕たちのリアル』であって、往々にして主観的な心の揺さぶられ具合を指す用語だと思ってるんだけど、もしかして『ノンフィクション性』と同じものだと思われてる節があるのかな。『リアル』は主観的な共感であって、。ノンフィクションとはまた違うよなあ。ノンフィクション性が『リアルさ』に寄与する事はもちろんあるけど、それも表現が伴っていなければ『リアル』にはならない。

マークパンサーにリアルについて聞いてみた - 飽きたら消すよ。

質問者:へー、じゃあ、「リアル」と「現実」の違いは何なの?
マーク:じゃあ、簡単に説明してあげるよ。
まず、誰かの書いたテキストというのは全て創作です。
例えそれが事実に基づいていたとしても、その人の主観や価値観というフィルターを通している時点で多かれ少なかれ現実からは乖離してしまうものなんだ。
全てのテキストはそれが現実の出来事であるという保証はどこにも無い。
ただ、そのテキストを読んだ人が、それを現実のようだと感じたらそのテキストに対して「リアル」という感想を持つんだよ。
つまり「リアル」というのは個々の読み手の脳内に存在する感覚で、誰かにそのテキストの感想を伝えていく時のキーワードに過ぎないんだよ。

 
 これは以下の日記につづきます。
「Welcome to the "Real" World」と映画『マトリックス』のモーファイスは言った