「集団自決」の教科書の記述は、ぼくが思っていた通りになったようです

 以下の記事から。
沖縄戦の集団自決、教科書で「軍の関与」表現承認…文科省 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

沖縄戦の集団自決、教科書で「軍の関与」表現承認…文科省
 
 来春から使われる高校日本史の教科書検定で、沖縄戦の集団自決に「日本軍の強制があった」とする記述が削除された問題で、文部科学省は26日、訂正申請をした教科書会社に対し、「軍の関与」などの表現で、日本軍が住民の集団自決にかかわっていたとする記述の復活を承認した。
 検定で一度修正された記述が再修正されるのは極めて異例。文科相の諮問機関「教科用図書検定調査審議会」は同時に、「集団自決に軍の直接的な命令はなかった」との見解も初めて示し、「軍の強制」の記述復活は認めなかった。 対象になったのは、同審議会の検定意見を受け、「軍の強制」などの記述を削除していた5社を含む6社8点の教科書。
 この6社は今年11月、削除した部分に、改めて「軍の強制」や「強要」などの表現を盛り込んだ訂正申請を出した。このため同審議会では、沖縄戦軍事史の専門家9人から意見を聞き、沖縄戦の「基本的なとらえ方」という見解を初めてまとめた。
 その中では、当時の戦況も含め「住民側から見れば、様々な背景・要因によって自決せざるを得ないような状況に追い込まれた」と分析し、集団自決の要因について「軍の関与はその主要なもの」と明記。一方、直接的な軍の命令で集団自決が起きたかどうかは「現時点で確認できない」と結論付けたうえで、これを教科書会社6社に伝えた。
 このため、教科書会社は「集団自決に追い込まれた人々もいた」という記述に「日本軍の関与のもと」との表現を加えるなどの再修正をしたが、「軍の強制」や「強要」の表記は盛り込むことを断念した。
 今回の教科書検定を巡っては、9月29日に沖縄県で抗議の県民大会が開催されるなどの反発が広がったため、渡海文科相が10月、教科書会社からの訂正申請を受け付けることを表明していた。

(2007年12月26日22時57分 読売新聞)

教科書検定:沖縄集団自決「日本軍関与」復活…審議会判断 - 毎日jp(毎日新聞)

教科書検定:沖縄集団自決「日本軍関与」復活…審議会判断
 
 沖縄戦の集団自決をめぐる高校日本史の教科書検定問題で、文部科学相の諮問機関・教科用図書検定調査審議会(会長=杉山武彦一橋大学長)は、多様な背景・要因を記述することを前提に、旧日本軍による集団自決への関与を認めた。教科書会社6社(計8冊)から出されていた軍関与の記述すべてを「承認が適当」と判断した。しかし、日本軍の命令が直接の原因だったことや断定的な「強制」の表現は認めず沖縄県民などが求めていた今春の検定意見の撤回は応じなかった。11月上旬に各社が提出した訂正内容を再修正させたうえで承認したケースもあった。
 渡海紀三朗文科相は審議会の決定通りに記述の訂正を認め、26日各社に承認することを通知した。
 同審議会の日本史小委員会は、沖縄戦の専門家ら9人に意見を求めたうえで、記述方針を示す「基本的とらえ方」をまとめた。その中で、集団自決にはさまざまな背景と要因があると指摘しながらも、「軍の関与は主要なものととらえることができる」と明記した。
 その一方で、「直接的な軍の命令を示す根拠は確認できていない」として、「背景・要因を過度に単純化した表現は、生徒の理解が十分とならない恐れがある」とした。
 小委が12月に入って、この考え方を教科書会社側に口頭で示した結果、5社(7冊)が最初の訂正申請を取り下げて、再度訂正申請をした。軍による「強制」「強要」としていた文言を、「関与」や「強制的な状況のもとで住民は追い込まれた」と修正した教科書会社もあった。
 また、従来の記述にはなかった集団自決を「強制集団死」と呼ぶこともあるという脚注も2社(計3冊)で認められたほか、9月29日の沖縄県民大会など一連の検定問題を紹介した2社(2冊)の記述も承認された。【高山純二、永井大介
 【ことば】教科書検定 民間の出版社が作成した教科書を、刊行前に文部科学省が審査する制度。文科相の諮問機関・教科用図書検定調査審議会が審査し、問題があると判断された場合に検定意見が付けられる。出版社は検定意見に基づいて修正を行う。検定合格後でも、誤字・脱字や「学習上の支障」があれば、訂正申請を行うことができ、今回計6社から提出された訂正申請は「学習上の支障」を理由にしている。
毎日新聞 2007年12月26日 21時57分 (最終更新時間 12月26日 22時16分)

沖縄集団自決、「軍の関与」認める・高校教科書検定問題日本経済新聞

沖縄集団自決、「軍の関与」認める・高校教科書検定問題
 
 沖縄戦の集団自決を巡る高校教科書検定問題で、渡海紀三朗文部科学相は26日、「日本軍の関与によって集団自決に追い込まれた人もいる」などとした教科書会社6社の訂正申請を承認した。「軍による強制」など直接的な表現は避けたが、集団自決の主因は「軍の関与」と認定。検定で削られた記述が復活し、事実上の検定意見の撤回となった。
 仲井真弘多沖縄県知事は同日の記者会見で「百点とはいえないが、まずまずの配慮をしていただいた」と評価。問題は決着する見通しとなった。
 教科書検定調査審議会は「軍に強制された」といった記述に「誤解のおそれがある」とした検定意見は撤回していないが、集団自決に複合的な背景や要因があると指摘。承認された記述には日本軍が手りゅう弾を配ったことなど軍の指導や住民への教育など背景事情が大幅に書き込まれた。(21:37)

沖縄知事「まずますの結果」 集団自決訂正申請 - MSN産経ニュース

沖縄知事「まずますの結果」 集団自決訂正申請
2007.12.26 20:30
 
 集団自決の記述を巡る検定問題について、沖縄県仲井真弘多知事は26日、「沖縄の声が口火となって、まずまずの結果となった」と大筋で評価する見解を述べた。
 また9月の県民大会実行委員長を務めた仲里利信県会議長らは、都内で会見し、「集団自決の記述がほぼ復活しており事実上、検定意見は消滅した。100点満点なら80点だ」とし、おおむね要望は取り入れられたと述べた。仲里議長らは「軍の強制」が削除されたことは大きな問題としたが、「処刑に近い“強制集団死”などの記述が認められた」などとした。
 一方、教科書会社では、承認された記述について東京書籍は「ある程度趣旨は通せた」と評価したが、「沖縄県民の感情の理解不足を含め、今回の対応は問題意識が足りなかった。異例な手続きだったが」と振り返った。
 清水書院は「どうすればいいか言ってくれという感じだった」と文科省の方針転換を批判。「現行制度では記述の後退もやむを得ない」とした。

asahi.com:沖縄戦の集団自決、検定意見を事実上修正 渡海文科相 - 社会

沖縄戦の集団自決、検定意見を事実上修正 渡海文科相
2007年12月26日15時06分
 
 沖縄戦の「集団自決」をめぐり、高校日本史の教科書検定で「日本軍の強制」が削除された問題で、渡海文部科学相は26日、教科書会社6社から出されていた訂正申請を承認することを明らかにした。日本軍の命令が直接の原因だったという記述は避けつつ、「日本軍の関与」や「戦中の軍の教育」などによって住民が自決に追い込まれたと記しており、「集団自決が起きたのは、日本軍の行為が主たる原因」と読める内容になった
 今回の訂正申請は、今春公表された検定意見に沖縄側が激しく反発したこともあり、渡海氏が「申請があれば真摯(しんし)に対応する」と表明していた。「日本軍の強制性」を認めるかどうかが焦点だった文科省は検定意見の撤回はしないものの、内容的には事実上、修正した結果となった。
 渡海氏は訂正申請が11月初めに出されたことを受けて、諮問機関の教科用図書検定調査審議会検定審)に検討を要請。検定審日本史小委員会は25日に訂正申請を承認する報告をまとめた。
 日本史小委は、沖縄戦軍事史の専門家9人に意見を求めたうえで、(1)集団自決が起きた要因として、軍の関与は主要なもの(2)軍命令で行われたことを示す根拠は確認できていない(3)住民側から見れば、自決せざるを得ないような状況に追い込まれたとも考えられる――という「基本的とらえ方」をまとめた。
 この「とらえ方」に沿って、教科書会社に訂正申請の根拠となる資料の提出や説明を求めた。その結果、三省堂実教出版清水書院第一学習社、東京書籍の5社が「自決を強要された」「集団自害と殺し合いを強制した」といった直接的な表現を取り下げ、「日本軍の関与」や「米軍の捕虜となることを許さないなど指導」「(住民の側からみて)集団自決に追い込まれた」との表現に変えて再申請した。山川出版社だけは、集団自決の事実関係について修正したが、背景や要因には触れなかった。

 上のほうから、報道時間が新しい順に並べてみました。だいたい今夜半(26日中)に、社説も含めて追加記事が書かれるんじゃないかと思います。社説は、めぼしいものをまた引用してみたいと思います。
 ぼくが前に書いた日記では、以下のとおり。
「集団自決」は日本軍の「関与」があったという感じで落ちつきそうな予感(2007年6月23日)

 沖縄県自民党所属の県会議員・仲里利信さんが積極的なので、「軍の命令」はともかく「軍の関与」は教科書検定的に復活する可能性もある(というか、ひょっとしたら高い?)気がします。どうも政治的決着になりそうなので、もしそうなった場合は「政治的に決着がついた」と書くことにします(メモ)。

 ということで、政治的に決着がつきました。
 もう「9月の県民大会実行委員長を務めた仲里利信県会議長ら」が「集団自決の記述がほぼ復活しており事実上、検定意見は消滅した。100点満点なら80点だ」と判断したため、これ以上さらに騒ぐ人はどこからどういう風に出て来るか、まだまだ興味は持ち続けたいところです。
 
(追記)
 こんな質問(アンケート)をしてみたよ。
2007年12月26日、教科書における「集団自決」の記述は「軍の関与があった」という文章は認められ、「軍の命令・強制」は否定される、という結論になったようですが、この決着についてあなたはどう思いますか(意見はコメント欄で)