『感染地図 歴史を変えた未知の病原体』『皇居前広場』『絵画史料で歴史を読む』

本日の読みたい本・おすすめ版(2007年12月あたり)。

感染地図―歴史を変えた未知の病原体

感染地図―歴史を変えた未知の病原体

★『感染地図 歴史を変えた未知の病原体』(スティーヴン・ジョンソン/著 矢野真千子/訳/河出書房新社/2,730円)【→amazon
150年前のロンドンを見えない敵が襲った!大疫病禍の感染源究明に挑む「壮大な実験」と「壮絶な闘い」はやがて独創的な「地図」に結実していく。恐怖や惨劇のなかで進むスリルあふれる探偵劇から、公衆衛生の概念の転換点と、現代都市が抱える共通の問題を多面的に検証する話題作。
増補 皇居前広場 (ちくま学芸文庫)

増補 皇居前広場 (ちくま学芸文庫)

★『皇居前広場』(原武史/著/筑摩書房/998円)【→amazon
東京の中心にある「空虚な空間」皇居前広場。「日本人」なら誰でも知っているこの広大な広場は、しかしもう半世紀以上もほとんど使われていない。かつての、日本で最大の政治空間から、忘却された空間へというその変容は、なぜ起こったのか。ここを定点観測点として見えてくる「明治」「大正」「昭和」、そして戦後占領期や戦後独立期の思想状況とは。当時の新聞・雑誌、日記や回想録、小説、映像、書簡などを駆使して、政治空間としての「皇居前広場」から近現代の思想史を追い、近代天皇制における「視覚的支配」の実態に迫る意欲作。文庫化に当たり天皇制と音楽をめぐる補論を増補。
増補 絵画史料で歴史を読む (ちくま学芸文庫)

増補 絵画史料で歴史を読む (ちくま学芸文庫)

★『絵画史料で歴史を読む』(黒田日出男/著/筑摩書房/1,050円)【→amazon
史料として読み解くことで、過去の絵画の見方が変わる。鬼は「他者」の象徴?旅人の必需品は?死後の世界のイメージは?教科書でおなじみの源頼朝像は実は別人だった?「吉備大臣入唐絵巻」「一遍聖絵」「洛中洛外図屏風」「熊野観心十界曼荼羅」などの有名な絵巻や屏風絵・掛幅も史料として読み解けば、まったく新しい世界が見えてくる。長年にわたり絵画史料論・歴史図像学の分野を構築してきた著者の成果を、わかりやすい語り口で示した書。補論として、中世の土地争いのあり様を荘園絵図から読み解いた二論文を増補。