『廃墟の群盗』----怪奇幻想西部劇

廃墟の群盗 - goo 映画
 時代は1867年、南北戦争終結し、元北軍の7人のならず者は、銀行を襲い金を奪ってデス・バレーに逃げる。7人のキャラの立て具合は、いろいろな「7人」ものの元祖みたいで面白いけど(七人の侍とかワイルドセブンとか)、そんなにはっきりキャラが立っているわけではないので、主人公(グレゴリー・ペック)と、打算的で自堕落ぎみの元賭博者(身なりは馬乗りというよりダンディ)の敵対者(リチャード・ウィドマーク)以外はあまり見分けがつかなくなる。死線ぎりぎりを越えて見捨てられた街・イエロー・スカイについた一行は、そこに留まっていた唯一の家族(祖父と孫娘)が隠している黄金を掘り出し、一攫千金を狙うが、仲間および家族の間に様々な思惑が生まれ、ついには仲間割れから殺し合いに至る。なんか不思議な映画で、馬もインディアンも銃撃戦も出てくるんだけれど、とても西部劇を見ている気にはならないのだった。この映画が作られた時代(1940年代後半)のサスペンス映画、というよりギャング映画の手法を多分使ってるんだろうな、と思う。あまりくわしくは知らないけれど、要するに西部劇を見るのなら、その周辺の同時代映画をある程度見ないと、不思議な感想しか持てないのかも知れず。西部劇の舞台を借りたサスペンス映画と考えればわかりやすいのですが、でもってとてもよくできていると思うのですが(画面というか映像のクリアさ加減は、デス・バレーを横断するシーンを中心に顕著で美しいです)、西部劇のジャンルとして期待されているものは、このような物語作りではないだろう、と、見ながら首を傾げてしまったよ。ということで、あまり万人にはおすすめしないけれど、話のネタとしてちょっと見ておくには「こんな映画見ている俺」的自慢にはなるだろう。しかしリチャード・ウィドマークはまるで作られすぎの悪党のようにカッコいい。このカッコよさは多分何かの参考になる。(追記・手塚治虫が参考にしていたようです。コメント欄参照)