『ハイ・シエラ(ハイ・シェラ)』----暴力的なボガートがかっこいい

ハイ・シェラ - goo 映画
 前に見た西部劇『死の谷』の元ネタということで、ちょっと見てみた。
『死の谷』----かっこいいワルモノが犬のように死ぬ
 『死の谷』ほど荒廃してはいないのですが、かなりすさんだギャング映画の世界で、ハンフリー・ボガートが初主演をつとめる。もういきなり同業者に張り手かましたりぶん殴ったり、凶悪犯のイメージそのままのキャラ作りではあるが、女性や一般市民にはやさしい、という演出。車の接触事故すれすれの事故で知り合った、農地を棄てて旅をする一家の娘の足を、治療費負担で直してあげたり(一応恋愛がらみ)。話は主人公が若いチンピラと組んで(ボスの指令が入っているので、いやいややる、みたいな感じ)、富裕層対象のリゾート・ホテルの金と宝石を奪う、という単純な計画。これに若い奴が連れてきた女子と、不幸を招く犬が絡んでくるところがややこしい。強奪計画は警備員を射殺、逃亡の途中で若者の乗っていた車は転覆、という最悪の失敗を招き、ボガートのボスも病気をひどくして死んでしまう。若者と一緒にいたダンサーくずれの女性および犬と別れ、指名手配のさなかをボガートは逃げ回り、ハイ・シェラ山脈の山中で撃たれて死ぬ。どこをどう取っても救いようのない話で、このようなギャング映画の需要に疑問を抱きながらも、類似作品をまたまたチェックしてみたくなるような、妙な中毒性のある設定なのだった。悪い奴が悪いことをして、最後に死ぬ、というのは、ヌーベルバーグやアメリカン・ニューシネマ以前から一定量作られていたんだな。西部劇とあわせてギャング映画・フィルムノワールとかもっといろいろ見よう。