そろそろ「そんなの関係ねえ」が本気を出すようです(田母神俊雄航空幕僚長の発言について)

 「天木直人」という、メディア・リテラシーの(ぼく観点では)低い人がおりまして、その人が自分のブログでこのようなことを書いていました。
Blog(ブログ) | [公式] 天木直人のブログ
自衛隊幕僚長の暴言を放置する政治とメディアのゆるみ

 発売中の週刊朝日10月3日で自衛隊の現役幕僚長が暴言を繰り返していた事を知った。
 今年4月、名古屋高裁が「イラクでの航空自衛隊活動は違憲であるという」という判決を下した時、「そんなの関係ねえ」という浅薄な暴言を吐いたのは田母神俊雄航空幕僚長(60)だった。

 田母神俊雄航空幕僚長が「そんなの関係ねえ」と言ったのは、あれこれの報道を見ると事実なので、テキストのこの部分を否定するのは無理なんですが、しかしこのような紹介のされかたでは「そんなの、俺(田母神)には関係ねえ」的ニュアンスになってしまいそうです。
 新聞記事としてはもうテキストが消えているものばかりですが、一部に残された当時の発言を復元してみます。
田母神俊雄 そんなの関係ねえ - Google 検索
デイリースポーツonline/田母神空幕長が「そんなの関係ねえ」/芸能社会速報

 防衛省田母神俊雄航空幕僚長は十八日の定例会見で、航空自衛隊イラク空輸活動を違憲とした名古屋高裁判決が現地で活動する隊員に与える影響を問われ、「純真な隊員には心を傷つけられた人もいるかもしれないが、私が心境を代弁すれば大多数は『そんなの関係ねえ』という状況だ」と発言した。
 有名お笑いタレントの言葉を使い、司法判断をやゆしたと取られかねない発言に批判が出そうだ。
 判決自体については「非常に残念。与えられた任務をこなすのがわれわれ自衛隊の役割なので、今後も整斉と活動したい」と述べ、判決がイラクでの活動に影響しないことを強調した。
 判決でバグダッドが「戦闘地域」とされたことについては、「現地は日本のように安全ではないが、戦いに巻き込まれる危険はないと思っている」と話した。

「関係ねえ」発言 空幕長、「一部不適切だった」 - MSN産経ニュース

 航空自衛隊イラクでの活動を「違憲」とした17日の名古屋高裁の判決に対し、航空自衛隊田母神俊雄航空幕僚長が18日の会見で「関係ない」と述べた発言が国会などで問題視されていることについて、田母神空幕長は25日、発言の一部は不適切だったとした上で、真意は別の所にあるとして理解を求めた。
 田母神空幕長はまず、「発言の真意は判決によって自衛隊が直ちに行動できるわけでない、航空自衛隊は国会で決められた法律に基づき、政府の命令で派遣されており、違憲判決で直ちに撤収できるということでなく、あくまで政府の命令で動くという意味で、われわれの行動に関係しない、という意味だった」と説明し、理解を求めた。
 その上で、「お笑いタレントと同じような表現となって、不適切だった」と発言の一部が不適切との認識を示した。

 防衛大臣の公式発言。
平成20年4月22日(9時22分〜9時31分)

Q: 先週、航空自衛隊イラクへの派遣をめぐって田母神空幕長が「そんなの関係ねえ」というふうに会見で発言されました。これについては批判の声も上がってはいるのですが、大臣自身はこの表現を含めてどのようにお考えになりますでしょうか。

A: 私は地元に帰ってバタバタして見ていないのですが、この映像はライブで流れていますか。

Q: あの日はテレビカメラが会見には出ていなかったかもしれません。

A: 出ていなかったのですか。文字でしか読んでいないので、実際にどういう感じだったか、つまり会見で言われた状況と文字になったものと印象が異なる場合があるので、これをその場で見ているかあるいは、映像を見ていればきちんとしたコメントができるのでしょうが、あくまで文字で見た上で、前提付きで申し上げれば、政府としてああいう判決が出たけれど、私はコメントで申し上げたように、この判決の結論を導き出すためにイラク派遣における空自の活動というものが、議論のプロセスとして必要であったかと言えばそうだとは思っていません。そしてまた当然基本計画においては、バグダッド空港というふうに書いてあるのであって、バグダッドというような漠然たることは言っていないわけであり、政府としてはああいう判決は出ているけれども、我々の活動は非戦闘地域で行われているものであって、いささかも活動が憲法に反するものとは考えていないということです。空幕長はそれと同じ趣旨を言ったものだと思います。ただ、空幕長の会見について、これはよく私もフォローしなければいけないことですが、私自身、大臣としてそのことを法的にまた、国会においてもどうなのだということであり、判決というものが法律の結論として出ているわけだから、政府としてどう思うかということを申し上げているのであって、幕僚たる方がそれと違うニュアンスでご発言になるということにはやや違和感は感じています。ただ、空幕長として現場の隊員に対して、いささかも士気を落とすことがないように、この活動が憲法に則った活動であるということを強調されたかったというお気持ちはよく分かります。ですから、田母神さんの心情、そして隊員を思う気持ちについて、いささかの疑いも持つものではありませんが、言い方として私は若干の違和感を覚えないではないということです。ただ、空幕長の隊員を思う真摯な気持ちは、私は、いささかも変わりがないものだと思っています。

 まぁとりあえず、判決について「そんなの関係ねえ」と田母神俊雄航空幕僚長は言った、ではなく、「(自衛隊員の)大多数は『そんなの関係ねえ』という状況だ」と言った、という感じではありましょうか。
 しかし、新聞記事が古くなると、「○○が××と言った」という情報は、分かりやすい(誤解を招きやすい)方向にパラフレーズされがちなので、少しメモとして残しておきたいところ。