『ビッグ・トレイル』----西部劇初期の名作

 ジョン・ウェインが初めて主役をやった1930年の映画。キャラ設定は典型的なヒーローで面白みはない*1。でも若くてカッコよすぎ。彼が案内役となって、幌馬車の農民を導いてカリフォルニアまで行く話。川があったら何も考えずに渡る(牛や馬流されまくり)し、森や林は木を切って進むし、断崖絶壁はクレーンみたいなのを作って、牛とか梱包して降ろす。それもものすごい断崖絶壁。砂漠では3日の行軍を無駄にし、いいインディアン*2とは交渉して「通行するだけ」ってことで許してもらい、悪いインディアンとは幌馬車を円陣隊形にして、銃を撃ち合って戦う。猛烈な人海・牛馬海戦術の映画。はじめは少しタイクツだけど、旅が進むにつれてもう目が離せなくなる。西部劇映画の活劇的要素はほとんど入っている、想像を絶する名作、というか傑作。どんな西部劇を見るよりも、まずこれを見なくてはいけない、ぐらいの位置づけ。SFで言うならレンズマン・シリーズぐらい。悪者は簡単に、ジョン・ウェインとその仲間たちに殺されて、あまりドラマ的カタルシスはないのですが、女性も出てきて割と普通のハッピーエンド。幌馬車隊が軍事任務をこなしているように思えるぐらいいろいろ大変な目に会う。映画作った人の目線で見ても、こりゃ大変だろうと思ってしまう。興行成績的には失敗作だったらしいんですが、大作として今日の鑑賞には十分耐えられます。
 

*1:そんなことを言ったらまぁ、ジョン・ウェインの映画はたいていそうかも知れないですが。

*2:翻訳字幕では「先住民」って言ってました。