『めし』----戦後すぐの大阪の街並みが楽しめる

 成瀬巳喜男の映画ってはじめて見たけど、なんか面白いですな。舞台は大阪で、証券会社に勤める亭主(上原謙)を持つ、結婚5年目ぐらいの妻(原節子)が主人公。で、亭主の姪が家出して、狭い家に居候になる(彼女の観光案内ということで、当時=1950年代はじめの大阪が写りまくる。これはちょっと珍しい映像だと思う)。家計の遣り繰りその他で気疲れをした妻は実家に帰ったりとか、あれこれある。粗筋を書いていてもしょうがないのですが、大阪の下町長屋(とはいえ、2階建てだったりするから、暮らし的には中の上ぐらい?)に住む他の人とか、東京(というより川崎かな)の駅前商店街とか、なんか日本だけど日本じゃない風景がとてもいろいろ楽しめたのでした。ちょっと知っていそうで曖昧な過去の記憶。風俗はともかく、どこまでフィクションなのか、というのは例によって気になるところですが(当時の亭主がこんなにも家事のできない、というよりしようとしない、のが一般的なのかどうか)。原節子は美人ということになるんだろうけど、目と鼻と口の造形が大きめな人だなぁ、という印象しか持てなかった。外国人だとライザ・ミネリっぽい。
 ということで、成瀬巳喜男の映画もまた少しまとめて見ようかと思ったりしたんですが、どうも題名が似たのが多くて困りますです。小津安二郎もそうだけど、こういう題名のつけかたが普通・一般的だったのかな。