『HACHI』----この話が21世紀だったら

 割と評判いいみたいなので見てきましたが、「1998」年に飼い主が死んだことになっている(舞台はニュージャージー)というので、戦前の渋谷を舞台にしているオリジナルと比べると、やはり話の根本部分で無理があると思った。インターネットがごく当たり前に使われている世界(時代)なわけなので。
 21世紀のハチ公は、
・野良犬になったその日に通報されて保健所行き
 というのは想定の範囲内ですが、それ以前に、
・航空便で送った秋田犬は行方不明にならないだろ常考
 もう、「連載1回目が最終話の漫画」の風情です。
 まぁ、飼い主の問題は駅の人が仮登録すればいいのかな。
・「いぬ駅長」として名物に
・HACHIで町おこし
・ブログ「本日のHACHI」ができる
・観光客に写メール撮られまくり
・駅前のハンバーガー屋はHACHIセット出す
 ここらへんもまぁ想定できる。
・HACHIをちゃんと世話できなかった娘夫婦は「極悪非道の家族の家」とネットでスネーク・自宅の写真が曝される。
・娘夫婦のもっと恥ずかしい写真が全世界に流出。
・個人情報がどんどん曝され、娘の旦那の職場に動物愛護団体から抗議のメール。
・記事を書いた地方紙の記者は、他にどんな記事を書いているか(捏造しているか)が曝され、2ちゃんねるの人たちみたいな人たちに「また動物ネタかよ」と嘲笑される。
久米田康治が「忠犬があるのなら、忠○や忠×があってもいいのではないでしょうか」とネタにする(連載3回打ち切られても同じ雑誌の増刊に読みきりを書く少年漫画家。まさに忠漫)。
 こういった、ネットの「負・ダークな部分」もネタとして盛り込まないと。
 なかなか、「昭和初期の、朝日新聞記者が作った話」のように、いい話にはなりそうにない。