「JAXA廃止」は毎日新聞の飛ばし記事?

 こんな報道があったわけですが。
日本が変わる:「独法」見直し 「埋蔵金」回収、難航も − 毎日jp(毎日新聞)

日本が変わる:「独法」見直し 「埋蔵金」回収、難航も
 <世の中ナビ NEWS NAVIGATOR>
 
 民主党政権交代後に、「天下り」や「非効率な事業運営」が問題視される独立行政法人の抜本的な見直し作業を本格化させる。通則法の改正などで独法の「埋蔵金」を回収し、新たな財源を確保する方針で、公務員制度改革の一環として天下り先となっている独法の「解体」を図る狙いもある。だが、独法の廃止や事業縮小は行政サービスの低下につながる恐れもあり、見直しには重い政治決断が必要になりそうだ。【平地修】
 
 ◇大胆な事業縮小・廃止 「高度な政治決断要する」
 
 民主党は多数の官僚OBが天下りする独法を「無駄の温床」として批判。不要事業を廃止するなど「独法のあり方は全廃を含め抜本的な見直しを行う」としている。99法人の資産と負債の差に当たる純資産は計24・4兆円で、このほとんどを政府による出資金が占めている。独法を廃止して資産と負債を整理した場合、超過資産に相当する純資産の大半は国に戻すことができる。
 ただ、財務省などには慎重な見方が強い。例えば、純資産額が6・4兆円と最も大きい「日本高速道路保有・債務返済機構」。資産の大半が高速道路などの施設で、資産の整理は不可能に近い。3・3兆円の「年金積立金管理運用」も資産の大半は年金給付の財源となる積立金で、取り崩すことはできない。財務省幹部は「国が回収できる資産は限られている」と主張する。
 自民党政権下で策定された独法の「整理合理化計画」では、不要と判断された独法の資産は約6000億円に過ぎなかった。民主党はより大胆に事業の要否を判断する方針で、ロケットの打ち上げなどを事業とする宇宙航空研究開発機構JAXA)について「もはや必要ない」などの声も出ている。
 だが、宇宙開発からの撤退は判断が分かれるところで、その他の事業の廃止も行政サービスの低下につながる恐れがある。民主党は、一つ一つの独法の事業を慎重に精査する方針だが、「事業廃止は高度の政治決断が必要になる」(財務省幹部)との声が出ている。
 
 ◇公務員制度改革の試金石
 
 自民党政権下でも独立行政法人の見直しが議論され、福田康夫政権の07年12月に「整理合理化計画」を策定した経緯がある。しかし、当時の計画は101あった独法を16法人減らすだけにとどまった。08年4月に国会に提出された独法の通則法改正案は、今回の民主党案と同様、独法の不要資産を国が回収するなどの狙いがあったが、審議が行われないまま廃案となった。背景には、天下り先を失うことを恐れる霞が関官僚の強い抵抗があった。
 独法改革の先頭に立ったのは渡辺喜美・元行政改革担当相。だが、整理合理化計画の策定のため、廃止できる法人を挙げるよう求められた各省庁は「ゼロ回答」で応じた。それぞれの閣僚との協議も難航を極め、渡辺行革担当相が思い描いた改革案は水泡に帰した。08年8月に渡辺氏が行革担当相を退任した以降は、改革の機運は急速に低下した。
 民主党政権公約で、国家公務員の天下りあっせんの全面禁止を掲げており、自民党政権ができなかった公務員制度改革を推し進める考えだ。独法の見直しは、「埋蔵金」を財源として活用するだけでなく、天下り先に膨大な国費が流れるシステムそのものを解体する狙いがある。
 しかし、再び官僚の強い抵抗に遭う可能性も高い。独法の見直しは公務員制度改革の試金石で、新政権の力量が問われることになりそうだ。
 
 ◆純資産の大きい法人(07年度末)◆
 (1)日本高速道路保有・債務返済機構   6兆4117億円
 (2)福祉医療機構            3兆6414億円
 (3)年金積立金管理運用         3兆3225億円
 (4)鉄道建設・運輸施設整備支援機構   2兆3271億円
 (5)雇用・能力開発機構           7003億円
 (6)日本原子力研究開発機構         6436億円
 (7)都市再生機構              5497億円
 (8)中小企業基盤整備機構          4475億円
 (9)宇宙航空研究開発機構          4165億円
(10)国立印刷局               3411億円
 独立行政法人合計           約24兆4000億円
 
 ◆政府の補助金が多い法人(09年度予算)◆
 
 (1)国際協力機構              2928億円
 (2)宇宙航空研究開発機構          2410億円
 (3)新エネルギー・産業技術総合開発機構   2346億円
 (4)住宅金融支援機構            2240億円
 (5)日本原子力研究開発機構         1848億円
 (6)日本学術振興会             1568億円
 (7)日本学生支援機構            1514億円
 (8)農業者年金基金             1289億円
 (9)石油天然ガス・金属鉱物資源機構     1284億円
(10)都市再生機構              1141億円
 独立行政法人合計             3兆4227億円
 
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毎日新聞 2009年9月13日 東京朝刊

 この記事に反応した人で、昨年すでに「宇宙基本法」というものが成立していることを知っている人がどれだけいたことやら。
宇宙基本法

第三条  政府は、この法律の施行後一年を目途として、独立行政法人宇宙航空研究開発機構その他の宇宙開発利用に関する機関について、その目的、機能、業務の範囲、組織形態の在り方、当該機関を所管する行政機関等について検討を加え、見直しを行うものとする。

 と、「附則」の第三条で、すでに「検討・見直し」の件は話に出ているわけなので、特に民主党がどうこう、ということではないんですけどね。
ネットで検索したらこんな記事も出てきたよ。
asahi.com(朝日新聞社):「日本版NASA」構想、前原宇宙担当相が表明 - 政治

「日本版NASA」構想、前原宇宙担当相が表明
2009年9月17日21時14分
 
 前原誠司・宇宙開発担当相は17日、複数の省庁にまたがる宇宙行政を一元化し、将来は独立した組織にする方針を示した。民主党の党政策集に盛り込まれた構想で、米大統領直轄のもとに設置された航空宇宙局(NASA)がモデルのため、「日本版NASA」などと呼ばれている。
 国土交通省での会見で「各省庁の宇宙に関係するセクションと宇宙航空研究開発機構の企画部門を内閣府のもとに再編、一元化することを手始めにやらせていただく。その先に宇宙機構を含む独立した組織を作りたい」と述べた。時期については「行政刷新会議国家戦略局とすりあわせが必要」と明言を避けた。
 宇宙行政は宇宙機構を所管する文部科学省のほか、人工衛星の種類や用途に応じて国土交通省気象庁経済産業省内閣官房防衛省など多岐にわたっている。自公民の共同提案で昨年、宇宙基本法が成立、首相をトップに据えた宇宙開発戦略本部ができ、今年6月に宇宙基本計画が策定された。(行方史郎)

 あと、JAXAとか宇宙基本法に言及している「内藤正光」議員の日記テキストなど
宇宙基本法の成立へ(2008年05月19日の記事)

明日の参議院内閣委員会、さらに明後日の参議院本会議での可決を経て宇宙基本法が成立する見込みです。
自分とは縁遠い話のことをよく「雲の上の話」と言いますが、宇宙基本法はその雲よりもずっと高い上空100キロメートル以上の話で、宇宙開発に強い関心を示す議員は決して多くはありません。
国民にしても、米国スペースシャトルの打ち上げや国際宇宙ステーション、それに取り付けられる日本の実験棟「きぼう」に興味は抱いても、我が国自身の宇宙開発の現状なり問題点を理解している人は残念ながら多くはありません。
だからこそ、大学で物理学(*高エネルギー物理学)を専攻してきた私としては、我が国の科学技術行政を根本的に立て直すことこそ自身が政治活動を行っていく上での使命だと自覚しながら、民主党宇宙政策プロジェクトチーム事務局長として宇宙基本法の制定に奔走してきました。
そもそも今回の宇宙基本法の検討は、2年前に我が国の科学技術行政を見直そうと、民主党の文部科学部門会議の下に科学技術政策検討ワーキングチームを立ち上げたことに遡ります。そこでの議論を経て辿り着いた結論は、(1)我が国の科学技術は縦割り行政ゆえに学術研究に留まり実用化へとつながっていかないこと、(2)何のための科学技術なのか、科学技術行政の責任の所在はどこなのか等が不明であること、でした。
そんな議論を続けている中、自民党が「宇宙基本法」を提出する動きがあることを察知しました。各方面を通じて提出を抑えるように奔走(*参院選以降のことで単に民主党自民党の衝突で法制化自体が実現できない結果に終わってしまう!)すると同時に、ワーキングチームとしても宇宙に焦点を絞った議論を加速させました。
が、その甲斐虚しく、結局自民党は法案を提出してしまいました(*もちろん審議は始まりません)。この間、民主党は我々の宇宙開発行政の見直しは省庁横断的なものになるということで、昨年末に部門横断的な宇宙基本法プロジェクトチーム(*役員は横滑りで座長に野田佳彦衆議員・事務局長に内藤正光参議員)に格上げして議論を続けてきました。
そして、我々の考え方がまとまったのが今年3月。その骨子は、(1)自民党案の考え方について宇宙開発行政の司令塔が必要などとするその方向性については共有する、(2)しかし首相を本部長とする戦略本部の設置だけでは魂が入らず、将来の日本版NASA(宇宙庁)への発展を睨んで、現在各省に散在している宇宙開発部局やJAXAの企画部門を内閣府に新設する宇宙局へと統合する、(3)その戦略本部ならびに宇宙局が宇宙開発に関する中長期計画の策定ならびに予算を管理する、(4)特に安全保障分野における宇宙利用に一定の歯止めをかけるために、「日本国憲法の平和主義の理念を基調とする」ことを明確に謳いあげるべきこと、そしてもう一つ、(5)既に提出した自民党案を取り下げ、共同提案(*本法案については与野党共同が大切であるとの自身の考えに基づく)とすること、でした。
ただ、政局は年金やガソリンを巡って与野党がっぷりよつ、私と西村康稔議員(自民党の事務局長)との間で、水面下での交渉を始めることになりました。ただ、互いに宇宙開発行政の問題点と在るべき姿を共有し合っていたこともあり、基本的・大局的な合意は早々になされたのです。
そして、本格的に表で議論が開始したのは4月に入ってからでした。しかし、党内ではこれ以上ないくらい丁寧な合意形成を進めてきたのですが、新聞等で「宇宙の軍事利用」という側面のみが取り上げられ、その誤解をとくことには少々てこずりました。
確かに、1969年の「宇宙の平和利用決議」の採択において、平和利用とは非軍事であるとの解釈がなされました。しかし、実態はと言えば、いわゆる一般化理論やその都度の官房長官談話等で穴を開けられ続けているのが実情です。また、軍事と宇宙開発との線引きが難しくなってきているのも事実です。
だからこそ、世界的には「非侵略(*条約上は宇宙に大量破壊兵器を配備しない)」となっているところを、我が国としてはより厳しい「日本国憲法の平和主義」という基準を明確に定めたのです。さらには、宇宙開発利用に際しては、戦略本部が策定する中長期計画に則ったものでなければならないのです。また、現在も曖昧のままのミサイル防衛などについては、全て霞ヶ関白紙委任するのではなく、法案成立後に立ち上げられる与野党の宇宙政策政策検討会(仮称)において政治主導で議論していくことも確認し合っているのです。
宇宙基本法の立法趣旨は、「開発によって生まれた成果は災害対策をはじめ環境保全や資源開発など広く人類に貢献するもの」であるべきことを謳いあげることで何の為の宇宙開発なのかを明確にすると同時に、無駄が多く方向性も明確でない宇宙開発行政を一元化等を通じて立て直していく点にあります。
いずれにしても、この厳しい政局の最中、たいへんな激論と努力の末に成立に漕ぎ着けようとしている宇宙基本法です。我が国の宇宙開発がしっかりと進展し、また子供たちに夢と希望を与えられるよう、本法律の運用もしっかりとグリップしていきます。

 ↑のテキストは一応2008年夏の時点での話、ということを留意しておいてください。
 個人的には見直しって、そろそろ宇宙に関しては、実験・研究レベル中心ではなく、実用・実践レベルの研究開発をしてもらいたい(そのための組織を設けたい)という政府の意向があるのかな、とは思いました。