『彼女のいる背表紙』ほか

今週の読みたい本・おすすめ版。
1週間に14冊紹介(当分)。
 

彼女のいる背表紙

彼女のいる背表紙

★『彼女のいる背表紙』(堀江敏幸/マガジンハウス/1575円)【→amazon
書物のなかの“彼女”と書き手の生きた道すじを清謐な筆致で重ね綴る―。雑誌「クロワッサン」で好評を博した、上質な随筆集。
 ★『荷風と左団次―交情蜜のごとし』(近藤富枝/河出書房新社/1890円)【→amazon
芝居への愛が二人をつないだ――歌舞伎界の風雲児・二世市川左団次との温かく純情な交流から浮かび上がる、荷風の意外な素顔。これまで誰も書かなかった荷風論の意欲作。
 
カラーひよことコーヒー豆

カラーひよことコーヒー豆

★『カラーひよことコーヒー豆』(小川洋子/小学館/1260円)【→amazon
雑誌『Domani』に2年間にわたり連載したエッセイに書下ろしを加え、待望の単行本化。泣きたいほど優しい気持ちになれる、愛に充ちたエッセイ集。
 
からっぽを充たす (小さな本棚)

からっぽを充たす (小さな本棚)

★『からっぽを充たす』(佐伯一麦/日本経済新聞出版社/1995円)【→amazon
本とは単に文章を読むものではない。装幀、肌触り、活字の風合いまで、本が置かれている場所の空気すべてを織り合わせたタペストリーである――そんなことを立ち止まって考えさせる滋味豊かな百篇の読書エッセイ集。
 
きのふの東京、けふの東京

きのふの東京、けふの東京

★『きのふの東京、けふの東京』(川本三郎/平凡社/1680円)【→amazon
岩淵、参宮橋、四つ木、小岩、抜弁天…。やがて失われゆく、懐かしき東京の気配を探して、またきょうも小さな町を歩く。
 
欠陥捜査

欠陥捜査

★『欠陥捜査』(川本三郎/三浦良治/1575円)【→amazon
仙台市でバイクを運転中、市バスと衝突して死んだ大学生の息子。慟哭の後に押し寄せる父の疑問。「なぜ、彼だけが被疑者にされたのか…‥」。父は神戸地検検察事務官である。一人の親として地を這いながら、その手抜き捜査の実態に迫る渾身の手記!
 
ごはんのことばかり100話とちょっと

ごはんのことばかり100話とちょっと

★『ごはんのことばかり100話とちょっと』(よしもとばなな/朝日新聞出版/1260円)【→amazon
普通の家庭料理がやっぱりいちばんおいしくって奥深い。ごはんを共にする大事な家族や友人にふれながら、食いしん坊である著者が、日々つくるスパゲッティナポリタン、キュウリとしその簡単サラダ、キムチと鶏挽肉のビビンバ……。行きつけの串揚げ屋、台湾料理店さんの味と雰囲気は? コロッケ、餃子、バナナケーキのとっておきの「楽しいレシピ」(カラー)付き。はじめての書き下ろし食エッセイ。
 
作家の愛したホテル

作家の愛したホテル

★『作家の愛したホテル』(伊集院静/日経BP社/2310円)【→amazon
パリのぬくもりのプチホテル、スペイン巡礼街道のパラドール、ケニア、メキシコ、スコットランド、エジプト、バリ島、そして京都の三年坂の宿―作家・伊集院静の旅と執筆をささえた52のホテル。芳醇な旅のエッセイ集。
 
したくないことはしない

したくないことはしない

★『したくないことはしない 植草甚一の青春』(津野海太郎/新潮社/2310円)【→amazon
百年前に生まれた、日本一POPな男。外国に行ったこともないのにニューヨーカーみたいで、貧乏なのにお洒落、若者を夢中にさせた老人―。J.J氏の知られざる前半生を、名編集者が明かす。
 
正午派

正午派

★『正午派』(佐藤正午/小学館/1995円)【→amazon
このようにして作家の人生は続いていく。小説やエッセイから、幻の映画脚本にまでおよぶ単行本未収録原稿と25年にわたる小説家の足跡が結集した究極の「佐藤正午読本」。
 
昭和二十年夏、僕は兵士だった

昭和二十年夏、僕は兵士だった

★『昭和二十年夏、僕は兵士だった』(梯久美子/角川書店/1785円)【→amazon
南方の前線、トラック島で句会を開催し続けた金子兜太。輸送船が撃沈され、足にしがみついてきた兵隊を蹴り落とした大塚初重。徴兵忌避の大罪を犯し、中国の最前線に送られた三國連太郎。ニューブリテン島で敵機の爆撃を受けて左腕を失った水木しげるマリアナ沖海戦、レイテ沖海戦、沖縄海上特攻を生き延びた池田武邦。戦争の記憶は、かれらの中に、どのような形で存在し、その後の人生にどう影響を与えてきたのか。『散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道』(大宅壮一ノンフィクション賞)の著者が綴る、感涙ノンフィクション。
 
人生の色気

人生の色気

★『人生の色気』(古井由吉/新潮社/1680円)【→amazon
七分の真面目、三分の気まま―。僕はこうして生きてきた。作家渡世四十年、文学の達人が語る人生処方箋。
 
創作の拠点

創作の拠点

★『創作の拠点』(森村誠一/講談社/1995円)【→amazon
日本ミステリー文学大賞受賞など、文学の王道を営々と歩んできた著者が、文芸作品創作のヒントを詳言。芥川龍之介の才能や、司馬遼太郎の観察力、松本清張の作家の業にも渉る、刺戟と衝撃に富んだ最新エッセイ集。
 
黄昏 (ほぼ日ブックス)

黄昏 (ほぼ日ブックス)

★『黄昏』(南伸坊/東京糸井重里事務所/1470円)【→amazon
南伸坊糸井重里が、鎌倉、日光あたりを小旅行。旅のおともは、めくるめく会話、雑談、冗談、比喩。人生の話からタコの話、嫁の話から天狗の話までヒマをつぶすために交わされた巧みなことばたちはちょっとした芸として老若男女に歓迎されています。ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」でじわじわ大反響を読んだ読み物が、語りおろしをたっぷり収録して書籍化されました。たっぷりの写真と、赤瀬川原平さんのあとがきを添えて発売です。ウェブで公開された「鎌倉編」と「日光・東北編」に未公開の回を加えて完全収録されたこの本にはさらに、語りおろしとなる「東京編」を収録しています。全400ページ、しかも二段組みというまさかの大ボリュームで愉快な雑談がいつまでも続く、厚くて軽い本です。また、あとがきには赤瀬川原平さんの特別エッセイ「黄昏いろいろ」を掲載。南伸坊糸井重里がそれぞれに宛てた直筆メッセージも収録しています。