『機関銃下の首相官邸−二・二六事件から終戦まで−』ほか

今日の読みたい本・おすすめ版。
1日5冊紹介(当分)。
 

★『機関銃下の首相官邸二・二六事件から終戦まで−』(迫水久常/筑摩書房/1260円)【→amazon
首相官邸は、今日まで二度、機関銃の銃火にさらされてきた。二・二六事件終戦の時である。いずれも昭和天皇が事態収拾のために、帝国憲法の枠組みから逸脱しかねない決断を下した時でもあった。前者の場合は、決起した部隊を「叛乱軍」として鎮圧する旨を指示し、後者においてはポツダム宣言を受諾するという「聖断」を下したのである。著者はその二度の偶然に、最初は岡田首相の秘書官として、二度目は鈴木終戦内閣の内閣書記官長として遭遇することになった。近代日本の歴史的な瞬間を目撃し、重要な脇役として参加した著者が、その体験を生々しく綴った迫真のドキュメント。
 
元禄文化  遊芸・悪所・芝居 (講談社学術文庫)

元禄文化 遊芸・悪所・芝居 (講談社学術文庫)

★『元禄文化−遊芸・悪所・芝居−』(守屋毅/講談社/798円)【→amazon
「遊び」から見える「元禄町人文化」の深層江戸太平の世、町人たちの担う都市大衆文化が豊かに花開いた。多様な芸事、悪所と呼ばれた遊里、人々を熱狂させた芝居。「遊び」の視点から活写する元禄文化史。
 
コミンテルンとスペイン内戦 (岩波モダンクラシックス)

コミンテルンとスペイン内戦 (岩波モダンクラシックス)

★『コミンテルンとスペイン内戦』(E.H.カー/岩波書店/3150円)【→amazon
スペイン内戦は、そのはらむ問題の多様性ゆえに、今日でも多くの関心を集めている。大著『ソヴィエト・ロシア史』に続き『コミンテルンの黄昏』で人民戦線戦術の形成を跡づけた著者が、資料的制約からこれまで研究が極めて不十分であった、内戦における人民戦線戦術の展開と外交的思惑の絡み合いを鋭く分析する、最後の著作。
 
世界を動かした21の演説――あなたにとって「正しいこと」とは何か

世界を動かした21の演説――あなたにとって「正しいこと」とは何か

★『世界を動かした21の演説−あなたにとって「正しいこと」とは何か−』(クリス・アボット/英治出版/2415円)【→amazon
いつの時代も、言葉が世界を変えていく。確信に満ちた言葉は、人の思考を変え、行動を変え、さらには世界まで変えてしまう力を秘めている。自由と平等、移民問題、死刑制度、テロ、気候変動、歴史問題、戦争と平和…世界と人類の大問題を論じ、良くも悪くも世界を動かした演説を軸に、いま考えるべき問いを突き付ける論争の書。
 
世界史をつくった海賊 (ちくま新書)

世界史をつくった海賊 (ちくま新書)

★『世界史をつくった海賊』(竹田いさみ/筑摩書房/798円)【→amazon
スパイス、コーヒー、紅茶、砂糖、奴隷…これら世界史キーワードの陰には、常に暴力装置としての海賊がいた。彼らは私的な略奪にとどまらず、国家へ利益を還流し、スパイとして各国情報を収集・報告し、海軍の中心となって戦争に参加するなど、覇権国家誕生の原動力になった。さらに、国際貿易・金融、多国籍企業といった現代に通じるシステムの成り立ちに深く関与していた。厄介な、ならず者集団であるいっぽう、冒険に漕ぎ出す英雄だった海賊たちの真実から、世界の歴史をとらえ直す。