映画『チェルノブイリ・ハート』の嘘、「ベラルーシでは現在でも、新生児の85%が何らかの障害を持っている」について

lovelovedog2011-10-09

 見出しは演出です。
 引き続き調査をしていますが、まだそれが「本当」というデータが見つからない。
 
 これは以下の日記の続きです。
『チェルノブイリ・ハート』というヤコペッティ度高そうな映画が公開されているようですが
 
 映画の宣伝文句から。
チェルノブイリ・ハート | Movie Walker

チェルノブイリ・ハートとは、“穴のあいた心臓”、“生まれつき重度の疾患を持つ子供”の意味である。ベラルーシでは現在でも、新生児の85%が何らかの障害を持っている。1986年4月26日、旧ソビエト連邦(現ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所4号炉が爆発事故を起こし、放射性降下物はウクライナベラルーシ、ロシアを汚染した。2002年、ベラルーシ共和国原発から半径30キロ以内の居住は禁止されている。さらに北東350キロ以内に、局所的な高濃度汚染地域“ホット・ゾーン”が約100ヶ所も点在している。ホット・ゾーンでの農業や畜産業は、全面的に禁止されている。そんななか、ホット・ゾーンの村に住み続ける住民、放射線治療の現場、小児病棟、乳児院の実態に迫る。さらに4年後、事故から20年が経った2006年、事故があってから初めて故郷を訪れた1人の青年は、廃墟となったアパートへ向かう。爆心から3キロの強制退去地域は、1986年で時間が止まっていた。青年は1986年のカレンダーを見つめて、近親者の10人がガンで死んだこと、自分もそうやって死ぬ確信があることを語る。その1年後、青年は27歳の生涯を閉じた。

 今のところ、データとして引き出せるのはこの図ぐらい。
チェルノブイリ原発事故によるその後の事故影響
今中哲二
 さらにそれの元データは、多分こちら。7p目の図。
Distribution of children (%) by health groups
 これを表にしてみます。

Legend 1 2 3 4-5
Gomel 11 57 32 1
Mogilev 11 69 19 1
Vitebsk 57 39 4 1

 で、「Gomel」「Mogilev」は、「contamination lebel」が「555kBq/m2」以上。日本の妊婦が「555kBq/m2」以上のところに住んでる可能性はあまりないんじゃないのかな。「555kBq/m2-1480kBq/m2の地域」って「計画的避難区域」だよね。
 俺としてはLegend1-3までの区別がとんとつかないので、重篤の障害と思われる、Legend4-5の率がそんなに違わないことを重視しておきたいです。なんで今中先生は3-5でくくってるんだろう
1・ベラルーシじゃないベラルーシの汚染地区とそうでない地区との比較)
2・新生児じゃない(子供)
3・15%じゃない(ていうか、「15%」とするLegendの基準が分からない)
 ということで、「チェルノブイリ原発事故によるその後の事故影響」からは、「ベラルーシでは現在でも、新生児の85%が何らかの障害を持っている」とは言えません。「ベラルーシの汚染地区(ゴメリ地区、モギリョフ地区)では過去に、子供の11%がLegend1だった(Legend4-5の率は汚染・非汚染地区とも変わらない)」ぐらいしか言えませんでした。
 一応、今中哲二氏の意見。
チェルノブイリ原発事故によるその後の事故影響

健康と認められる子供の割合は、ビテプスク州の非汚染地域では五六%であるのに比べ、ゴメリ州とモギリョフ州の汚染地域では、それぞれ一七%と一二%であり、非汚染地域に比べ汚染地域の子供たちの健康状態が極めて悪いことを示している。汚染地域の子供たちで増加している病気は、内分泌系、消化器系、神経・感覚器系、といった疾患である。子供たちの健康悪化の原因としてまず考えられるのは、放射能汚染にともなう被曝影響であるが、今の段階で被曝影響と断定するには「見せかけ要因」に関する情報が不足している。つまり、子供たちの健康状態には、食料事情を含めた生活条件や経済状態の変化とか、また、IAEAなどが指摘するように、精神的ストレスといった要因も関係するであろう。しかし、事故影響に関する別の視点、つまり、生活条件の悪化や精神的ストレスもひっくるめて事故の影響であると考える視点からは、図4に認められる子供たちの健康状態の全般的悪化は、チェルノブイリ事故の影響そのものを示していると言えよう。

 もう一人の意見。
チェルノブイリ事故健康影響-WHO・IPHECAパイロットプロジェクトについて-(岩崎民子)

被ばく群の子供では精神遅滞の発生率が対照群より高く, 行動および感情面での問題が増加傾向を示した。被ばく群の親では神経および心理的障害の発生率が対照群より高かった。しかし, これらの調査結果から精神遅滞児の増加とチェルノブイリ事故による放射線との関係について, 何か明確な結論を導き出すことは不可能である。得られた結果は解釈が難しく, 更に今後の調査確認が必要である。例えば, 親のストレスや不安が結果に影響を及ぼす可能性がある。

 もう少しいろいろ知りたいです。
 
 これは以下の日記に続きます。
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