Twitter社は検閲できないし、削除も多分しないと思う

 池田信夫氏みたいな見出しになったし、多分池田氏も絶対何か書く。商売の邪魔してごめん。
 けっこうネットでは大きいところがネタにしてるみたいなんで、メモ。
 2ちゃんねるまとめブログの煽り見出しなみにひどい。
Twitterが国の状況により、検閲を行う意向を表明 -INTERNET Watch

 Twitterは26日、特定の国の状況によっては、検閲を行う意向であることを公式ブログで発表した。
 「現時点で検閲を行なったことはない」としているが、今後しかるべき国の当局から要求された場合、ユーザーに明示したうえで検閲が行われることになる。Twitterでは、検閲の透明性を高めたいと考えており、どのような要求が当局から行われているかを、Chilling Effectsと提携することによって公開するとしている。
 検閲を行うためにTwitterはシステムを改良。これまでは国から検閲要求があった場合、該当アカウントを削除する以外に方法がなかった。改良によって、該当するツイートのみをその国で見られないようにする一方で、それ以外の国々では通常通り閲覧できるようにする。国を特定する方法としては、閲覧者のIPアドレスを利用する。
 検閲が行われている国のユーザーは、検閲されたツイートがタイムラインの中でグレイアウトして表示されるため、検閲されていることを知ることになる。検閲されたツイート、または検閲されたユーザーがその国からのアクセスでは表示されないことが明示的に示される。Twitterでは、検閲されたメッセージの例をヘルプページで公開している。
 Twitterは、2011年にチュニジア、エジプトなどで起こったいわゆる「アラブの春」で民主化運動の大きなツールになったと言われている。このため一部の国では、Twitterサイトへのアクセス制限が行われている。

Twitterがツイートの検閲をはじめます(ギズモード・ジャパン)

実際はこれと少し違いますが、Twitterが検閲をはじめるそうです。Twitterが、特定の国の状況によって、検閲を行う意向であると公式ブログで明らかにしています。これからは国の当局が「このツイートは検閲しなさい」とTwitterに要求したら、Twitterは該当のツイートをその国のユーザーから閲覧できないようにするとのこと。
当局からどのような要求が行われているかは、反検閲サイトのChilling Effectsと提携して公開されるとのことですし、検閲が行われる国のユーザーは、該当ツイートがタイムライン上でグレイアウト表示されることで、検閲されていると知ることができるそうです。ちゃんと透明性がありそうではありますね。
日本では(censored)としないといけないような言葉が入ったツイートがたくさんふぁぼられたりする文化がありますが、そのあたりはまた別の話。

 ギズモード・ジャパンひでぇな。
法律違反の短文投稿は削除 ツイッター社、検閲助長の恐れ - 47NEWS(よんななニュース)

 【ロサンゼルス共同】短文投稿サイトを運営する米ツイッター社は28日までに、ある国の法律に違反する書き込みが行われた場合、その国では見られなくする措置を開始すると発表した。政府が国民の目に触れさせたくない情報の検閲につながる恐れがある。
 ツイッターは昨年の中東の民主化運動「アラブの春」で、民衆が連帯して政府に対抗するのに大きな役割を果たしただけに、ツイッター社に対して批判が出ている。
 AP通信によると、「国境なき記者団」はツイッター社の措置に「極めて失望」と表明。中東からはツイッターのボイコットを呼び掛けるメッセージが多数書き込まれた。

 まず最初に、検閲なめんな、という感じです。
検閲 - Wikipedia

現代日本においては憲法第21条第2項にて禁止されており、その憲法における「検閲」とは「行政権が、思想内容等の表現物の発表前にその内容を審査した上、不適当と認められるものの発表を禁止すること(最大判;昭和59年12月12日)」とされている(詳細は日本における検閲を参照)。

 基本的に「検閲」は、日本語の用語的には「行政権のあるところ(具体的には日本国政府?)」でないとできないし、日本国憲法は検閲を禁止しています。
日本国憲法第21条 - Wikipedia

検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

 要するに、日本国内では、朝日新聞だろうがフジテレビだろうが講談社だろうが、「はてな」その他のネットサービスだろうが、やれることは「自主規制」。
 さらに、Twitter社の公式。全文引用して置いておきます。
Tweets still must flow

Twitter Blog
Tweets still must flow
Thursday, January 26, 2012
See below for an update.
 
One year ago, we posted "The Tweets Must Flow," in which we said,
“The open exchange of information can have a positive global impact … almost every country in the world agrees that freedom of expression is a human right. Many countries also agree that freedom of expression carries with it responsibilities and has limits.”
As we continue to grow internationally, we will enter countries that have different ideas about the contours of freedom of expression. Some differ so much from our ideas that we will not be able to exist there. Others are similar but, for historical or cultural reasons, restrict certain types of content, such as France or Germany, which ban pro-Nazi content.
Until now, the only way we could take account of those countries’ limits was to remove content globally. Starting today, we give ourselves the ability to reactively withhold content from users in a specific country ― while keeping it available in the rest of the world. We have also built in a way to communicate transparently to users when content is withheld, and why.
We haven’t yet used this ability, but if and when we are required to withhold a Tweet in a specific country, we will attempt to let the user know, and we will clearly mark when the content has been withheld. As part of that transparency, we’ve expanded our partnership with Chilling Effects to share this new page, http://chillingeffects.org/twitter, which makes it easier to find notices related to Twitter.
There’s more information in our Help pages, both on our Policy and about Your Account Settings.
One of our core values as a company is to defend and respect each user’s voice. We try to keep content up wherever and whenever we can, and we will be transparent with users when we can't. The Tweets must continue to flow.
 
Update - Jan 27, 2:20pm.
Since yesterday’s post, we’ve gotten a number of questions that we’d like to broadly address with this update.
In short, we believe the new, more granular approach to withheld content is a good thing for freedom of expression, transparency, accountability― and for our users. Besides allowing us to keep Tweets available in more places, it also allows users to see whether we are living up to our freedom of expression ideal.
Q: Do you filter out certain Tweets before they appear on Twitter?
A: No. Our users now send a billion Tweets every four days―filtering is neither desirable nor realistic. With this new feature, we are going to be reactive only: that is, we will withhold specific content only when required to do so in response to what we believe to be a valid and applicable legal request.
As we do today, we will evaluate each request before taking any action. Any content we do withhold in response to such a request is clearly identified to users in that country as being withheld. And we are now able to make that content available to users in the rest of the world.
Q: What will people see if content is withheld?
A: If people are located in a country where a Tweet or account has been withheld and they try to view it, they will see a alert box that says “Tweet withheld” or “@Username withheld” in place of the affected Tweet or account.

「Update - Jan 27, 2:20pm.」とあるんで、その後も追記されるかもしれない。
 あとそのうち公式の翻訳テキストが出るかもなので、自力翻訳は省略します。
 …本文のどこにも「検閲」(censorship)に相当する語はないですね。「restrict」(制限する)「been withheld」(保留する)はありますが。
 内容的には「もうお前らナチの話がウゼェんで、うちらも手を考えるよ!」って話。そもそもはナチス系?
 くわしいことは、以下のまとめ参照。
Twitterが検閲を始めるってホント? - Togetter

いいえ。これはむしろ、Twitter社様による表現規制している国家」を国際レベルで晒すための機能強化です。
Twitter社が本気になるとはどういう事なのか、存分に思い知るとよい。フハハハハハハハ!

 国によっては「検閲」みたいなことをしている国もあると思うけど(ネット検閲 - Wikipediaとか参照)、日本国内では憲法改正しないと無理。日本でも「青少年ネット規制法」があることはありますが…。
 よかったなお前ら! これからも「朝鮮人死ね」とか「東電社員死ね」とか「あずにゃんペロペロ」とか好きなこと呟けるよ! もっとも多分「これから朝鮮人を殺します」みたいな呟きは、一般人によって警察に通報されると思う。
 参考リンク。
「Twitterが検閲?」に見る各社の報道姿勢 | E-WA’s Blog
 
(2012年2月8日追記)
 Twitter社の日本語公式出ました。
Twitterブログ: これからも自由に発言できるために

これからも自由に発言できるために
2012年1月30日月曜日
Twitterでは、1年前に「 ツイートを自由に発言できるように」でこのように書きました。
 
「オープンな情報交換は世界にポジティブな影響を与える」、これが実務上、かつ道徳上の私たちの信念です。…道徳上、世界中のほとんど全ての国 (リンク先は英語) は言論の自由を人間の権利として認めています。多くの国では、言論の自由は責任感を生み、制限を生むと考えられています」
 
Twitterが世界のさらに多くの人々に使われるようになった今、言論の自由という考えに対して違う見方を持っている国々でも利用されるようになりました。言論の自由というものに対し、国によってはTwitterとはまったく異なる考えを持っているため、Twitterが利用できない場合があります。また、言論の自由についてTwitterと同じような考えを持っていても、歴史や文化的な背景から特定のコンテンツは表示できない場合があります。例えば、フランスやドイツでのナチスの扱いがこれに該当します。
 
これまではこのような国々からの該当ツイートそのものを削除することで対処していました。これからは、特定の国からの該当するツイートがその国で規制されているという場合は、そのツイートはその国では非表示にされても、他の国々では表示することができるようにしました。また、非表示にされたコンテンツはなぜ非表示にされたのかを明確に表示できるようにしました。
 
もし特定の国であるツイートを非表示にしなくてはならなくなった場合、そのツイートを書いたユーザーにお知らせし、いつそのツイートが非表示になったかを明確にします。ツイートの非表示についてより透明性を持たせるためにChillling Effectsとの関係を強化し、このようなことが起きた場合はhttp://chillingeffects.org/twitterに表示されるようにしました。
 
Twitter自らがツイートのフィルターを行うことはありません。特定のツイートの非表示は適切な法的要求があった場合のみ行われます。また、該当ツイートにはどこの国で非表示にされているか、なぜ非表示にされているかがわかるようにします。
(中略)
Twitterが一番大切にしていることのひとつがユーザーひとりひとりの声を尊重することです。どこからでもいつでもツイートができるように可能な限りの努力を行いますが、もしそれが無理であればなぜツイートを表示することができなくなったのかを明らかにしたいと思います。これからも、ユーザーが自由にツイートで発言できるように努力を続けます。