謎のちょう化学兵器・「白リン爆弾」とは何か

すでに以下のところで細かく語られてますが、
謎の超兵器と化した白燐弾 : 週刊オブイェクト
だいたい、その内容とかはあちらのテキスト(コメント欄含む)を見てもらうとして、新聞の報道ではこんな感じ。
米、白リン爆弾使用 イラクのファルージャ攻撃Yahoo!ニュース - 共同通信 -)

【ワシントン16日共同】ロイター通信によると、米国防総省スポークスマンは16日、米軍が昨年11月、イラク中部ファルージャを攻撃した際、高熱で人体を焼く白リン爆弾武装勢力に対し使用したことを認めた。
 同スポークスマンは、民間人に対する使用については否定。この爆弾は条約などで禁止された化学兵器には当たらないとして、使用は合法的と主張した。
 一方、英BBC放送(電子版)は同日、イラク人権省高官の話として、現地に調査団が派遣されたと伝えた。また、8日に同爆弾の使用を報じたイタリア国営テレビは、民間人が被害に遭った可能性を指摘している。
 国防総省は、煙幕を張ったり、武装勢力を隠れ場所から追い出したりする目的で使ったと説明した。
共同通信) - 11月17日10時44分更新

は、白リン爆弾
ロイターの最初の報道は、こんな感じ。
US used white phosphorus on Iraqi civilians-report(Reuter)2005年11月8日

By Phil Stewart
ROME (Reuters) - U.S. forces in Iraq have used incendiary white phosphorus against civilians and a firebomb similar to napalm against military targets, Italian state-run broadcaster RAI reported on Tuesday.
A RAI documentary showed images of bodies recovered after a November 2004 offensive by U.S. troops on the town of Falluja, which it said proved the use of white phosphorus against men, women and children who were burned to the bone.
"I do know that white phosphorus was used," said Jeff Englehart in the RAI documentary, which identified him as a former soldier in the U.S. 1st Infantry Division in Iraq.
The U.S. military says white phosphorus is a conventional weapon and says it does not use any chemical arms.
"Burned bodies. Burned children and burned women," said Englehart, who RAI said had taken part in the Falluja offensive. "White phosphorus kills indiscriminately."
A U.S. military spokesman in Baghdad said he did not recall white phosphorus being used in Falluja. "I do not recall the use of white phosphorus during the offensive operations in Falluja in the fall of 2004," Lieutenant Colonel Steven Boylan said.
An incendiary device, white phosphorus is used by the military to conceal troop movements with smoke, mark targets or light up combat areas. The use of incendiary weapons against civilians has been banned by the Geneva Convention since 1980.
The United States did not sign the relevant protocol to the convention, a U.N. official in New York said.
The Falluja offensive aimed to crush followers of al Qaeda's Iraq leader, Abu Musab al-Zarqawi, said to have linked up with local insurgents in the Sunni Arab city west of Baghdad.
Some Western newspapers reported at the time that white phosporus had been used during the offensive.
In the documentary called "Falluja: The Hidden Massacre," RAI also said U.S. forces used the Mark 77 firebomb, a weapon similar to napalm, on military targets in Iraq in 2003.
It cited a letter it said came from British Armed Forces Minister Adam Ingram, claiming 30 MK 77 weapons were used on military targets in Iraq between March 31 and April 2, 2003.
RAI posted a copy of the document at: http://www.rainews24.rai.it/ran24/inchiesta/foto/documento_minis tero.jpg.
Italy has nearly 3,000 troops in Iraq despite strong opposition to their presence there.
Prime Minister Silvio Berlusconi is trailing in opinion polls ahead of April elections, and his center-left rivals have vowed to eventually pull troops out of Iraq.
RAI posted the full report, including television images, at http://www.rainews24.rai.it/ran24/inchiesta/
(Additional reporting by Alistair Lyon in London and Claudia Parsons in Baghdad)

この記事のソースになったものは、イタリアの放送局(RAI)が流したドキュメントのようです。
そのサイトはこちらなわけですが、
INCHIESTA - IRAQ, LA STRAGE NASCOSTA - RAINEWS24
俺はイタリア語はよくわかりません。
この、白リン弾白リン爆弾)について、元情報をたどっていくと、だいたいこのドキュメントになるんですが、これはやはり本物を、日本語の翻訳ではないもので読める・見られるような状況にならないと判断が難しいところです。
今回のネタは、ソースの紹介・引用してると日本語でないテキストばかりになってしまうので、ほどほどにしておいて、それを伝言ゲームのように伝言しているリベラルな人たちの、ちょっとした間違いだけを指摘しておきます。
まず、新聞の記事(日本語の奴)をいくつか紹介します。
米軍、イラクで「白リン爆弾」使用認める 「通常兵器」と(CNN)

2005.11.17
Web posted at: 10:48 JST

  • CNN/AP

ワシントン――米国防総省は15日、昨年11月のイラクファルージャ大攻勢の際、高熱で人体を焼くことのできる白リン爆弾武装勢力拠点に対し使ったことを認めた。イタリア国営放送(RAI)の報道を部分的に認めたものだが、白リン爆弾を市民にも無差別に使ったとするRAI報道は否定した。また白リン爆弾化学兵器ではないと強調している。
国防総省のベナブル報道官は、見えにくい標的を浮き上がらせるなどのために白リン爆弾を使ったほか、武装勢力拠点に対して発火性の高い武器として使ったこともあると認めた。
一方で、「市民に対しては使っていない」と繰り返した。さらに、白リン爆弾は通常兵器で、米政府が批准している国際条約で禁止されているものではないと述べた。
ベナブル報道官は、陸軍機関紙の今年3〜4月号に掲載されたファルージャ戦記を報道陣に示した。ファルージャ戦に参加した士官や兵士たちが、戦闘法や使用武器・兵器について説明しているこの記事で、兵士たちは白リン爆弾は略号「WP(white phosphorus)」と呼び、「WPは効果的で使いやすい武器だった」「武装勢力を隠れ場所から引き出す作戦で使った」「塹壕やクモの巣状の穴に隠れている(武装勢力に)対する心理的武器としても有効だった」などと書いている。
米軍がファルージャ化学兵器を使ったとのRAI報道を受けて、イタリア共産党系などの団体がローマの米大使館前で14日、座り込んで抗議した。
国務省は当初、白リン爆弾を敵対勢力に使ったことはなく、あくまでも「照明弾」や煙幕として空中に放ったのみだと公式サイトでコメントしていたが、後にこのコメントは誤りだったと訂正。その上で、「米軍はファルージャをはじめイラクのいかなる場所でも、違法な兵器は使っていない」と強調していた。
兵器として使われる白リン爆弾は、酸素に触れると高熱を発して黄色い炎となって発火し、濃い白煙を上げる。人体に触れると重度の火傷を引き起こす。

まず、「WP(white phosphorus)」は「白リン爆弾」ではなく「白リン弾」です。
以下のところのコメント参照。
謎の超兵器と化した白燐弾 : 週刊オブイェクト

先週末、ぼたんの花がこのネタを暗いニュースリンクから引いていたので少し調べていました。
ネタ元は、イタリアのテレビ局RAIによる米元兵士のインタビュー番組です。
これをBBCが取り上げて英語ソースになったことで広まりました。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/middle_east/4417024.stm

BBCの記事のタイトルは「アメリカはイラクで incendiary arms(焼夷兵器)を使った」、記事中では「white phosphorus bombs」、「chemical arms」を使ったとなっています。
どうもRAIおよびBBCは、白リン弾をbomb、つまり焼夷弾と考えているようなのです。
対して米政府の公式コメントは、まとめると
http://usinfo.state.gov/media/Archive_Index/Illegal_Weapons_in_Fallujah.html
・焼夷兵器は違法な兵器ではなく、米軍は焼夷弾Mark-77をイラクで使用した。
・「Phosphorus shells」は違法な兵器ではなく、照明弾として使用されている。
ファルージャで「Phosphorus shells」は使われたが、敵兵士に向けて撃ってはいない。
でした。
どうも、shellとbombが混同されているようです。
そして今回、CNNが報じた記事の原文はこれです。
http://www.cnn.com/2005/WORLD/meast/11/16/white.phosphorous.ap/index.html
タイトルは「米軍は白リンを(敵を攻撃する)武器として使用したことを認めた」。
記事中ではペンタゴン側は「phosphorus shells」と表現、CNN側は「phosphorus」のみで、形態についてはボカした書き方です。
つまり、日本語版の「白リン爆弾」はフカシ、あるいは思い込みの産物でしょう。
(後略)
Posted by 岩魚 at 2005年11月19日 02:37

米軍:白リン爆弾の使用認める ファルージャ攻撃で−ヨーロッパ毎日新聞

ロイター通信によると、米国防総省スポークスマンは16日、米軍が昨年11月、イラク中部ファルージャを攻撃した際、高熱で人体を焼く白リン爆弾武装勢力に対し使用したことを認めた。
同スポークスマンは、民間人に対する使用については否定。この爆弾は条約などで禁止された化学兵器には当たらないとして、使用は合法的と主張した。
一方、英BBC放送(電子版)は同日、イラク人権省高官の話として、現地に調査団が派遣されたと伝えた。また、8日に同爆弾の使用を報じたイタリア国営テレビは、民間人が被害に遭った可能性を指摘している。
国防総省は、煙幕を張ったり、武装勢力を隠れ場所から追い出したりする目的で使ったと説明した。
ロイター通信によると、白リン爆弾はいったん火が付くと消すのは難しいという。特定通常兵器使用禁止制限条約の議定書は、人口密集地での使用などを禁じている。(ロンドン共同)

毎日新聞 2005年11月17日 10時08分 (最終更新時間 11月17日 13時17分)

とりあえず、「白リン爆弾」というものは存在しないんですが、「特定通常兵器使用禁止制限条約の議定書」の中でも別に「白リン弾」の「人口密集地での使用」を禁じているわけではありません。
特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)

(3) 焼夷兵器の使用の禁止又は制限に関する議定書(議定書III)
文民及び民用物を焼夷兵器による攻撃目標とすること、人口周密地域にある軍事目標を焼夷兵器による空中からの攻撃目標とすること等を禁止している。

要するに、禁じているのは「人口周密地域にある軍事目標を焼夷兵器による空中からの攻撃目標とすること」なので、毎日新聞(ロンドン共同)の記事は、条件3つぐらい無視してます。
さらにくわしいテキストは、こちら。
焼夷兵器の使用の禁止又は制限に関する議定書(議定書III)

1 「焼夷兵器」とは、目標に投射された物質の化学反応によって生ずる火炎、熱又はこれらの複合作用により、物に火炎を生じさせ又は人に火傷を負わせることを第一義的な目的として設計された武器又は弾薬類をいう。
(中略)
(b) 焼夷兵器には、次のものを含めない。
(i) 焼夷効果が付随的である弾薬類。例えば、照明弾、曳光弾{曳=えいとルビ}、発煙弾又は信号弾
(ii) 貫通、爆風又は破片による効果と付加的な焼夷効果とが複合するように設計された弾薬類。例えば、徹甲弾、破片弾、炸薬爆弾{炸=さくとルビ}その他これらと同様の複合的効果を有する弾薬類であって、焼夷効果により人に火傷を負わせることを特に目的としておらず、装甲車両、航空機、構築物その他の施設のような軍事目的に対して使用されるもの

今のところ白リン弾が「焼夷効果が付随的である弾薬類」であるのは、劣化ウラン弾が「放射線効果が付随的である弾薬類」であるほどではないですが、まぁ似たようなものです。
やはり、「ロンドン共同」の記者は、「特定通常兵器使用禁止制限条約の議定書」をちゃんと見てみたのか、という疑問が。
で、以下はプロ市民なかたがたの、俺にとっては既知の外なテキストをいくつか。
だいたい、他のサイトのテキストの、引用・転載が多いです。
★遊牧民★のメディア棒読み!:米国防総省はイラクでの(国際法違反の)白リン爆弾の使用を認めた!
Let's blow!毒吐き@てっく: アメリカ軍化学兵器使用−イタリア国営放送より
暗いニュースリンク: 「イラク駐留米軍はファルージャで化学兵器を使った」イタリア国営放送がドキュメンタリーで証拠ビデオを放映
シバレイのblog 新イラク取材日記:「恩人」に冷たい日本/ファルージャで毒ガス?
[AML 4449] FW: イラクでの米軍による化学兵器使用を証明するドキュメンタリー
まず、白リン弾化学兵器ではありません。日本のリベラルな人がブログで書いている以外の場所では、すべて「化学兵器」(=一部の人間は化学兵器って言っているけど、記事を書いている人間はそうは思わない)と、カッコつきの紹介をしています。これも悪い伝言ゲームで、いつの間にやら「化学兵器」の定義を知らない人たちが勝ってしまったようなものですね。軍事用語的には、核兵器化学兵器という言葉については、厳密な定義に基づいて使っているのが普通です。
あと、翻訳的(誤訳的)に面白いと思ったのは、こんなテキスト。
白燐兵器:誰が誰に偽情報を流しているか?(Falluja, April 2004 - the book)

実際、「Field Artillery」誌では、白燐兵器を、ファルージャで用いた役に立つ対人兵器リストの第一にあげているのである:
「a.弾薬の範囲。我々はこれらの弾薬を用いることで優れた柔軟性を実現した。・・・・・・」
「b.白燐(White Phosphorus:WP)。WPは有効で使い道の多い弾薬であることが明らかになった。我々は白燐を部隊後尾で二度敵を遮断するために用い、その後の戦闘では、塹壕線や偽装蛸壺にいるゲリラに対してHE[高爆発物]でうまく行かないときの心理的兵器として使った。我々はそれをゲリラに対する「即席」作戦で使った。奴らを炙り出すためにWPを、引きずり出すためにHEを」。

その元テキストはこちらですが、
TF 2-2 IN FSE AAR:Indirect Fires in the Battle of Fallujah(PDFファイル)

b. White Phosphorous. WP proved to be an effective and versatile munition.
We used it for screening missions at two breeches and, later in the fight, as a potent psychological weapon against the insurgents in trench lines and spider holes when we could not get effects on
them with HE. We fired “shake and bake” missions at the insurgents, using WP to flush them out and HE to take them out.

「flush them out」は普通「暴き出す」の意で、照明弾として使った、という解釈で特に問題はないような気がするんですが、「炙り出す」じゃ、白リン弾で敵を丸焼きにしているみたいな印象操作を感じました。「burn them out」じゃないんだから。
(補足:この件に関しては、→「Falluja, April 2004 - the book」←の人から、コメントへのものすごくていねいなレスをいただきました。どうもありがとうございます。→http://teanotwar.blogtribe.org/entry-2e24d6450aa1d9682d1dd8959b576f91.html ご参考までにご覧ください。判断としては「煙幕として「いぶり出す・炙り出す」ために使ったっぽい」、という感じで、それだと「誤訳」ということはないですね。どうも申し訳ありません)
あと、「“shake and bake” missions」っての、よく知らなかったんですが(「即席」作戦でも何のことだか不明です)、こちらのコメント欄ではこんな解説が。
謎の超兵器と化した白燐弾 : 週刊オブイェクト

【ミックス・フルーツ・プディング
 迫撃砲の射撃パターンの一つ。榴弾1発のあとに白燐弾1発というパターンを繰り返せといった意味。「ミックス・フルーツ・プディングを10発」といった具合に使う。
軍事百科事典より
ttp://www003.upp.so-net.ne.jp/Zbv/sub08.htm

・・・とまぁ、迫撃砲の射撃法としては古典的なものだのだが、何故かイラクでは Shake and Bake と呼ばれ、反戦運動家の間では恐怖の新戦術ということになっている。
迫撃砲は命中率が悪いから白リン弾を混ぜて「ほらほらこんなに着弾してるよ」という視覚的心理的効果を狙った射撃パターンなんだが・・・その為、友軍歩兵が突撃する直前に行われる事が多い。もし白リン弾が噂どおりの超兵器なら、友軍歩兵は巻き込まれて全滅してる筈だが・・・はてな
Posted by 名無しT72神信者 at 2005年11月20日 04:17

まとめると、
1・「白リン爆弾」などというものは存在しない(誤訳)
2・白リン弾化学兵器ではない
3・白リン弾の使用は、「特定通常兵器使用禁止制限条約」違反ではない(勘違いしている人がいる)
4・米軍が白リン弾を、敵(あるいは民間人)を焼く目的で使用した、という証拠は見当たらない
5・イタリアにも日本と同じく、センセーショナルで裏づけがはっきりしていない、リベラルな反戦番組がある(釣り番組ですか)
6・イタリアにも日本と同じく、反戦なのか反米なのかわからないリベラルな団体がある
みたいな感じでしょうか。
これは米軍がどのような状況で、どれだけ白リン弾を使用したのか、もう少し正確な情報がわかるまで、言及するのが本来なら難しい事件だと思います。

日本の「敵国」はどこか、ということと、探しかたがヘタな人について

こんなテキストがあったわけですが、
あざらしサラダ:▼見えないものが見えたら病院に行こう!

私には、どう見てもアジア諸国との関係が良好になっているとは思えないのだが。
例えば、日米首脳会談の直後に報じられたこのニュース。
●国連委員会、北朝鮮の人権侵害を非難する決議案採択[国連 17日 ロイター]
国連総会第3委員会(人権)は17日、欧州連合(EU)などが提出した北朝鮮の人権侵害を非難する決議案を、賛成84、反対22、棄権62で採択した。
○確かに決議自体は採択されたが、賛成と同数の84の国が反対や棄権を選択していることを、小泉氏はどう見ているのだろうか。
特に、アジア諸国に目を向けると中国、インドネシア、マレーシアが反対、韓国が棄権であり、私が調べた限りでは、賛成を選択したアジア諸国の名前は見つからなかった。
ちなみに、ネットでは、どのニュースを見ても賛成や反対国の一覧を報じているものがないが、これも不思議だ。
北海道新聞の高田記者が、「本当に必要な情報はネットでは見つからない」と語っていたが、こういうことか?

そ、そうなんですか。別に国連のサイトを見れば普通に「賛成や反対国の一覧」は掲載されているんですが。まぁ、新聞では見当たらなかったですね。
要するに「本当に必要な情報はネットでしか見つからない」ということです。
ていうか、これはちょっと困ったことなんですが、「本当に必要な情報はネットでは見つからない」と、「北海道新聞の高田記者」が語っていた、というテキストそのものが見つからないんですが。
この文章については、前後の文脈と、彼が何について探して、結局見つからなかったのか、がわからないと、判断が難しいです。
(補足:これは正しくは「ネットには例えば、当局に都合の悪い「情報」はほとんどありません」だったみたいです。どうもありがとうございます、→「あざらしサラダ」←様)
まぁ、それはさておき、それでは国連のサイトから。
PALESTINIAN SELF-DETERMINATION, HUMAN RIGHTS IN DEMOCRATIC PEOPLE’S REPUBLIC OF KOREA ADDRESSED IN TEXTS APPROVED BY THIRD COMMITTEE
採決はこんな感じでした。

In favour(賛成): Afghanistan, Albania, Andorra, Argentina, Australia, Austria, Azerbaijan, Belgium, Belize, Bhutan, Bolivia, Bosnia and Herzegovina, Brazil, Bulgaria, Canada, Chile, Costa Rica, Croatia, Cyprus, Czech Republic, Denmark, Dominican Republic, Ecuador, El Salvador, Federated States of Micronesia, Fiji, Finland, France, Georgia, Germany, Greece, Guatemala, Haiti, Honduras, Hungary, Iceland, Iraq, Ireland, Israel, Italy, Japan, Kazakhstan, Latvia, Liechtenstein, Lithuania, Luxembourg, Maldives, Malta, Marshall Islands, Mexico, Monaco, Nauru, Netherlands, New Zealand, Nicaragua, Norway, Palau, Panama, Papua New Guinea, Paraguay, Peru, Poland, Portugal, Republic of Moldova, Romania, Saint Vincent and the Grenadines, Samoa, San Marino, Saudi Arabia, Serbia and Montenegro, Slovakia, Slovenia, Spain, Sweden, Switzerland, Syria, The former Yugoslav Republic of Macedonia, Timor-Leste, Turkey, Tuvalu, Ukraine, United Kingdom, United States, Uruguay.
Against(反対): Belarus, China, Cuba, Democratic People’s Republic of Korea, Egypt, Gambia, Guinea, Indonesia, Iran, Lao People’s Democratic Republic, Libya, Malaysia, Myanmar, Russian Federation, Sudan, Swaziland, Tajikistan, Turkmenistan, Uzbekistan, Venezuela, Viet Nam, Zimbabwe.
Abstain(棄権): Algeria, Angola, Antigua and Barbuda, Bahamas, Bahrain, Bangladesh, Barbados, Benin, Botswana, Brunei Darussalam, Burkina Faso, Burundi, Cameroon, Colombia, Cote d’Ivoire, Democratic Republic of the Congo, Djibouti, Equatorial Guinea, Eritrea, Estonia, Ethiopia, Ghana, Guinea-Bissau, Guyana, India, Jamaica, Jordan, Kenya, Kuwait, Kyrgyzstan, Lesotho, Mali, Mauritius, Morocco, Mozambique, Namibia, Nepal, Niger, Nigeria, Pakistan, Philippines, Qatar, Republic of Korea, Saint Kitts and Nevis, Saint Lucia, Senegal, Sierra Leone, Singapore, Solomon Islands, South Africa, Sri Lanka, Suriname, Thailand, Togo, Trinidad and Tobago, Tunisia, Uganda, United Arab Emirates, United Republic of Tanzania, Vanuatu, Yemen, Zambia.
Absent(欠席): Armenia, Cambodia, Cape Verde, Central African Republic, Chad, Comoros, Congo, Dominica, Gabon, Grenada, Kiribati, Lebanon, Liberia, Madagascar, Malawi, Mauritania, Mongolia, Oman, Rwanda, Sao Tome and Principe, Seychelles, Somalia, Tonga.

反対の国を日本語に直すと、「ベラルーシ、中国、キューバ北朝鮮、エジプト、ガンビアギニアインドネシア、イラン、ラオスリビア、マレーシア、ミャンマー、ロシア、スーダンスワジランドタジキスタントルクメニスタンウズベキスタンベネズエラベトナムジンバブエ」ですか。
賛成の国は、ちょっと全部に言及するのは難しいんですが、欧州と太平洋諸島の国が目立っている印象でした。「アジア諸国」という範囲を広く取ると、イラクアフガニスタン・トルコとかも賛成グループですが。
やはり、「インドネシア、マレーシア、ベトナム」あたりを日本の味方につけておいたほうがいいんじゃないか、と思いました。まぁ、特定の国家に対して「非難決議」をすることに、デメリットしか感じない国、というのもあると思うので、まぁそれはそれで。
それより俺が興味深かったのは、「Vote on Practices Fuelling Racism(人種差別をあおる慣習についての投票)」ですか。これは明らかに、以下のテキストで言及したものと連動してますな。
国連人権委員会とその関係者を政治的に利用している人たち(1):石原慎太郎発言の歪曲報道について ほか
で、こちらの投票結果は、こんな感じ。

In favour: Algeria, Antigua and Barbuda, Argentina, Armenia, Azerbaijan, Bahamas, Bahrain, Barbados, Belarus, Belize, Benin, Bhutan, Bolivia, Botswana, Brazil, Brunei Darussalam, Cambodia, Cameroon, Cape Verde, Chile, China, Colombia, Comoros, Costa Rica, Cote d’Ivoire, Cuba, Democratic People’s Republic of Korea, Democratic Republic of the Congo, Djibouti, Ecuador, Egypt, El Salvador, Ethiopia, Gambia, Guatemala, Guinea, Guyana, Haiti, Honduras, India, Indonesia, Iran, Iraq, Israel, Jamaica, Jordan, Kazakhstan, Kenya, Kuwait, Kyrgyzstan, Lao People’s Democratic Republic, Lesotho, Libya, Madagascar, Malawi, Malaysia, Maldives, Mauritius, Mexico, Mongolia, Mozambique, Myanmar, Namibia, Niger, Nigeria, Oman, Pakistan, Paraguay, Peru, Philippines, Qatar, Russian Federation, Rwanda, Saint Lucia, Saudi Arabia, Senegal, Singapore, South Africa, Sudan, Suriname, Syria, Tajikistan, Thailand, Togo, Trinidad and Tobago, Tunisia, Turkmenistan, Uganda, United Arab Emirates, United Republic of Tanzania, Uruguay, Uzbekistan, Venezuela, Viet Nam, Yemen, Zambia, Zimbabwe.
Against: Federated States of Micronesia, Japan, Marshall Islands, United States.
Abstain: Albania, Andorra, Angola, Australia, Austria, Belgium, Bosnia and Herzegovina, Bulgaria, Burkina Faso, Burundi, Canada, Croatia, Cyprus, Czech Republic, Denmark, Equatorial Guinea, Eritrea, Estonia, Fiji, Finland, France, Germany, Ghana, Greece, Hungary, Iceland, Ireland, Italy, Latvia, Lebanon, Liechtenstein, Lithuania, Luxembourg, Malta, Monaco, Morocco, Nauru, Nepal, Netherlands, New Zealand, Norway, Panama, Papua New Guinea, Poland, Portugal, Republic of Korea, Republic of Moldova, Romania, Samoa, San Marino, Serbia and Montenegro, Slovakia, Slovenia, Solomon Islands, Spain, Sri Lanka, Sweden, Switzerland, The former Yugoslav Republic of Macedonia, Turkey, Tuvalu, Ukraine, United Kingdom.
Absent: Afghanistan, Bangladesh, Central African Republic, Chad, Congo, Dominica, Dominican Republic, Gabon, Georgia, Grenada, Guinea-Bissau, Kiribati, Liberia, Mali, Mauritania, Nicaragua, Palau, Saint Kitts and Nevis, Saint Vincent and the Grenadines, Sao Tome and Principe, Seychelles, Sierra Leone, Somalia, Swaziland, Timor-Leste, Tonga, Vanuatu.

北朝鮮非難決議」の投票と見事に反対の結果になっているのが美しいです。まぁここらへんも国連のバランス感覚だと思うんですが、こちらのほうは日本ではほとんどニュース記事になっていない様子。
さて、「見えないものが見えたら病院に行こう」というのはいい考えですが、見えるものが見えない人は、どこへ行け、とアドバイスしたらいいんでしょうかねぇ。