朝日新聞社への抗議文(2005年1月18日)

朝日新聞社への抗議文(2005年1月18日)(←NHKオンラインより転載)

4年前、NHKが放送した番組「ETV2001」に関する1月18日付の朝日新聞朝刊について、1月18日夕方、朝日新聞社に対して文書で抗議するとともに訂正記事の掲載を求めました。
抗議文は次のとおりです。
平成17年1月18日
朝日新聞社
代表取締役社長  箱島 信一 様
NHK放送総局長
関根 昭義

拝啓
NHKが4年前に放送した「ETV2001〜戦争をどう裁くか〜第2回『問われる戦時性暴力』」について、貴紙が1月12日付で報じた記事は、あたかもNHKが、政治的な介入を受けて、番組を変更したかのごとく、事実を歪曲しているとして、1月14日に、貴紙に対して厳重に抗議致しましたが、それに対する回答をいただかないうちに、18日付朝刊に、同じように誤った内容の記事が一方的に掲載されました。しかも、この記事では、「NHK幹部の一人」からの取材結果だとして掲載されていますが、その内容がこの人物の回答と明らかに反し、さらには、その取材の際の方法などに大きな疑問を抱いております。
ここに、抗議するとともに、訂正を求めます。

NHKは、この「NHK幹部の一人」から、きょう午後事情を聞きました。その結果、この人物は、その時の取材について、貴紙の本田雅和記者と高田誠記者の取材を、1月9日自宅で受けたと話しています。

この人物によりますと、本田記者は、取材の中で、まず、安倍氏と中川氏の2人に、29日に会ったかどうか質問をしたということです。この際、本人らのそれまでの長期にわたる取材の結果として、「(この人物は)安倍・中川両氏に会っていると言う事実がある。面談のやり取りのすべての取材は終わって知っている」とした上で、この人物が両氏に会ったのが事実かどうかの確認を迫ったということです。

これに対して、この人物は、「記憶をたどりながら、安倍氏とは会ったと答え、中川氏については、記憶は定かではないと回答した」と話しています。

ところが、18日付け朝刊の記事では、平成13年1月29日に両氏に相次いで会ったことを認めていたと記載されており、取材を受けたこの人物が答えた内容と明らかに、食い違っています。
本田記者が、この人物に取材した時点では、まだ安倍、中川両氏に取材していなかったのは、貴紙の記事によれば明らかです。安倍、中川両氏への取材は、翌日の10日であり、本田記者の取材は、意図的に、この人物の答えを誘導しようとしたものと考えます。

また、この取材で本田記者は、この番組の制作過程で、政治的な圧力があったのではないかと何度も聞いたと言います。そのたびに、この人物は、「政治的な圧力は感じなかった」と、政治的な圧力があったことを否定しています。

これに対して、貴紙の記事では、「圧力と感じた」と、全く逆の、政治的圧力があったことを認めた記述になっており、上記の点同様、取材を受けたこの人物の回答内容と明らかに異なっています。

こうした度重なる事実を歪曲した報道は、極めて遺憾であり、ここに、厳重に抗議し訂正を求めるとともに、14日付で貴紙に抗議したこととあわせて、速やかな回答を求めます。


敬具