朝日新聞・「素粒子」筆者(河谷史夫)と日本考古学協会

↓このテキストで何やらもめた様子。


 考古学と農政は覆されるためにある。どだい大雑把にしていい加減だから、
弥生期の始まりは500年さかのぼり、国敗訴の川辺川訴訟は上告を断念。
ともにつじつま合わせてとぼけるほかないか。
   ×  ×
 さても優しき日本よ。東の川に迷い込んだアザラシいれば休息用いかだを
と呼びかける民あり。西に死にかけた銀行あれば税金投入で再生を図ろうと
する官あり。
   ×  ×
 初鰹(はつがつお)酒は越より貰(もら)ひもの  忠栄
朝日新聞夕刊「素粒子」2003年5月20日
↓それに対する日本考古学協会の抗議はこんな感じ。

弥生時代」で朝日に抗議文 日本考古学協会
(会長・甘粕健新新潟大学名誉教授)は二十四日、今月二十日付朝日新聞夕刊に
掲載されたコラム「素粒子」に対し抗議文を出したことを明らかにした。
抗議文によると、弥生時代の開始年代が五百年ほどさかのぼるという研究が発表
されたことについて、「素粒子」で「考古学と農政は覆されるためにある。
どだい大雑把にしていい加減だから、弥生期の始まりは500年さかのぼり(後略)」
などと掲載されていた。これに対し、協会は「国民に考古学に対する誤った考えが
広まることを危惧する」とし朝日新聞に見解を解答するよう求めている。
朝日新聞社広報部は「『素粒子』は社会で起きている事象の一断面を風刺する
コラムです。日本考古学協会には近くお答えいたします。」とコメントしている。
産経新聞2003年5月25日)
↓で、「素粒子」筆者はこんな感じで謝罪のようなものをする。

 旧石器発掘捏造(ねつぞう)事件で日本考古学協会が「すべて捏造」と
検証結果を発表。70万年前までさかのぼった列島の旧石器起源はこれで
7万年前に逆戻りした。上げたり下げたり、定まりにくい学問だ。
   ×  ×
 その考古学協会から抗議文。弥生が定説より500年も早くずれて始まる
というのを小欄が「大雑把にしていい加減」と評したことに「強い憤り」とある。
厳密にして真摯(しんし)な考古学者を不快にさせたことは甚だ申し訳なかった。
朝日新聞夕刊「素粒子」2003年5月26日)
俺が知りたいのは、考古学協会の抗議文ですな。それから、素粒子はまずいきなり「考古学(と農政)」に対して「(どだい)大雑把にしていい加減」と言っている。倒置法的な文章の技法とはいえ、その「いきなり感」も考古学者の反発を招いたんでしょうね。謝罪のようなものが掲載されたテキストでも、前フリに「捏造」という、ある種「大雑把にしていい加減」なものの例を持って来ていることで、揶揄・挑発のいろあいが感じられるものにしているし。
ある人間がある人間・組織の悪口を言う場合に俺が見るものは、たとえば、その人間や組織に対する過去の因縁(私怨)なんですが、いったい素粒子河谷史夫)と考古学協会とは、何が昔あったんでしょうか。