「天声人語」の人は、イグ・ノーベル賞については知っていた様子

↓以前のコラムではこんなことを書いてました。2003年10月22日づけ。
http://www.asahi.com/paper/column20031022.html


 ノーベル賞の季節が終わったが、裏ノーベル賞とでもいうべきイグ・ノーベル賞をご存じだろうか。まじめな研究や功績に与えられる賞だが、まじめなだけでは受賞できない。
 水には記憶する能力がある。フランスの科学者が衝撃的な実験結果を88年、ネイチャー誌に発表した。多くの科学者はあきれかえった。しかし何千人という科学者が同じような実験をしてみたという。芳しい結果は出なかった。
 後にネイチャー誌はその論文を削除することにしたが、本人は91年、第1回のイグ・ノーベル化学賞を受賞した。彼は「正統派は新しい研究の邪魔をするばかりだ」と嘆いたそうだ。
 バーベキュー好きの米エンジニアは、バーベキューグリルの炭にいかに早く点火させるかの実験を繰り返し、ついに4秒以下にまでたどりついた。ロケット燃料用の液体酸素を使っての点火だった。難点は、グリルも燃えてなくなってしまうことだ。これが96年の化学賞だった。
 平和賞が英海軍に贈られたのは00年である。砲術学校の訓練で実弾を使うことをやめて、そのかわりに「バーン」と叫ぶことにした。3年間で500万ポンドの節約になるという。節約とともに平和と静けさへの貢献が評価された。日本も、犬語翻訳機のバウリンガルが02年の平和賞を受賞するなどたびたび受賞者を出している。
 米ハーバード大学出身の雑誌編集者が始めた賞で、「まず人々を笑わせる。そして考えさせる」が趣旨という。 「イグノーブル(不名誉な)」をもじった賞だが、どうして、なかなかすてきな賞である。
2003年は誰のどの論文が受賞していたのかについて触れていないのがステキです。