『シェイクスピアの墓を暴く女』

lovelovedog2004-11-24

シェイクスピアの墓を暴く女』(大場建治、集英社)(→bk1)(→amazon)(→書籍データ

シェイクスピアの著作を語る際に、いったい本当は誰が書いたのよ、という疑問として、フランシス・ペイコンというイギリスの哲学者(というか有名人)が挙げられることがありますが、この本はその説の起源となったアメリカ人、ディーリア・ベイコン(苗字が同じなだけで血縁はありません)という女性の評伝を中心に、シェイクスピアは実は誰々だった、みたいなネタを、近代的テキスト解釈が中心になった(要するに、テキストをテキストそのものとして解釈する手法が勃興した)現代では少しトンデモ系を意識しながらも割とマジメに扱っている、という感じの本でした。俺もこのシェイクスピア=ベイコン説については聞いたような気もするけど、原典がこんなにも妄想と直観(別の言いかたをすると、独断と偏見)に満ちていたものだったとは。まぁそこらへん、著作を直接読んだわけではないので伝聞情報ですが。その他フロイトも心理学的手法から独断なアプローチをしていたとか、シェイクスピアのテキストに出てくる文章から暗号を解読したりとか(アナグラムや固有の単語の使われている位置とかによって)、などなど、いい感じの解釈の歴史が紹介されています。