「安全」と「危険」の話と、どこまで何が真実なのかの判断について

たとえば、以下のテキストがサンプルになるかもしれないですが、

おまいら劣化ウランが無害だっていうなら
イラクへ引っ越して自分の体で証明して来いよw

まず、俺は劣化ウラン(弾)が「無害」だと言っている人を知りません。もしいたら、そう言っている人を教えてください。
俺の場合の主張は、劣化ウラン弾に関しては、反米・反日(反政府)・反核の人間・団体が主張しているほどには危険ではない、ということです。
イラク全土が劣化ウランで汚染されている」とか、「自衛隊員の劣化ウラン被爆は避けられない」とかは、とても科学者の言う言葉ではありません(いずれもドラコビッチ博士が言ったということになっている言葉ですが)。反政府的な立ち位置にいる、非科学的アジテータの言葉です。
安全と危険に関して発言・言及する際には、大多数の科学者はとても慎重で、それにはそれなりのわけがあります。世の中には無条件で安全と言えるものは存在しないからです。
たとえば、人間が生きていく上で必須の物質である「塩(塩化ナトリウム)」や「水(H2O)」でも、摂取しすぎれば死にます。で、これについてはどの程度までなら安全か、ということがかなりはっきりわかっており(個人差があるので、ちゃんとした数値ではありませんが)、世間の人の一般常識というものもあるので、「水は安全か危険か」という論争もなければ、「そんなに水が無害だっていうなら、水の中で住んでみろよおまいら」という人もいなければ、「塩分の取りすぎで奇形の子供が」という人もいません。
ところが、劣化ウランに関しては、その「どこまでがどう安全で、どういう状況であったらどう危険なのか」ということに関しての、ちゃんとした研究や世間の一般常識があるわけではありません。そこらへんに反米・反政府・反核の人・団体が「噂レベルの情報」を流すスキマがあり、無知ながら善意の第三者で噂の好きな人たちがそれに釣られる、というわけですね。
不十分な情報提供で、情報操作をすることは、実はとても簡単です。
たとえば、「劣化ウラン弾のせいで子どもたちがこんなすごいことに」という写真と画像があるサイトはそれなりにありますが、
森住卓写真展「イラク・湾岸戦争の子どもたち」Children of the Gulf War
この写真の子ども「サファア」が白血病なのは真実でしょうが、その原因が「劣化ウラン弾」である、ということは証明されていません。
サファア

バグダッドの2つの国立の小児病院では湾岸戦争後増え続ける白血病やガンの子どもたちの治療を専門に行う病棟を設けた。
その原因は湾岸戦争で米英軍が初めて使った放射性兵器の劣化ウラン弾だという

いや、森住さん、1998年というフセイン独裁政権下で流されている情報(故意に「噂」として流布されることを望まれている情報)をそのまま垂れ流しても。
こういうことを、アメリカ政府は言ったりしてますが。
欺まんの構造・サダム・フセインの情報工作とプロパガンダ
劣化ウランの脅威

連合軍は湾岸戦争の際、その高濃度性のため理想的な武器となる劣化ウラン製の徹甲弾を使用した。イラク政府は近年、連合軍が使用した劣化ウラン弾が、イラク国内でのガンや先天性異常を引き起こす原因となってきたとの虚偽の主張を広めようとしている。イラクは、先天性の異常を持った子どもたちを写した衝撃的な写真を配布し、劣化ウランがその原因であると主張してきた。この政治的な運動には、プロパガンダとして2つの有利要素がある。

  • 一般人は、ウラニウムという言葉に恐怖を覚えるため、この虚偽の主張が比較的通じやすいものとなっている。
  • 反核活動家の国際的なネットワークが、劣化ウランの反対運動を独自に展開しており、イラクはこの組織網を利用することができた。

 しかし、世界保健機関(WHO)、国連環境計画(UNEP)、および欧州連合(EU)の科学者らは、劣化ウランに被ばくしても健康に影響はないとしている。

どちらの「プロパガンダ」が正しいかは、実は不明です。それについて判断するのはあなたたちで、判断する材料を、俺はなるべく与えたいとは思います。
しかし、なるべく「画像」ではだまされないようにしてください。
白血病の少女サファア」がかわいそうと思った人には、たとえばこんな画像もあります。
栄養失調で入院していた子供。放射能の影響ですでに老化がはじまっている
どうです。かわいそうすぎるでしょう。
この画像を見てかわいそうすぎると思わない人がいるとするなら、その人は「サファア」の写真のどこまでが真実か、ということも判断できる人なんじゃないかと思います。
ということで、以下のところのテキストと、かわいそうな画像を見て、「画像・ヴィジュアルデータで嘘や噂を流すことは、ひょっとしたら簡単なのかも」とか思ってみてください。
衝撃! 戦慄! これが劣化ワラン弾の恐怖だ!
ここらへんは今まで俺が話していたことの繰り返しなので(昔から俺のサイトを見ていた人には、もう飽きているようなことでしょう)、ちょっと過去のコメント欄などを参考に、劣化ウランとか放射線とかについて、もう少し専門的とか最近わかったこととかも、次からは書くかもしれません。