『和算書「算法少女」を読む』ほか

今日の読みたい本・おすすめ版。
1日3冊紹介(当分)。
 

和算書「算法少女」を読む (ちくま学芸文庫)

和算書「算法少女」を読む (ちくま学芸文庫)

★『和算書「算法少女」を読む』(小寺裕/筑摩書房/1365円)【→amazon
小説『算法少女』(遠藤寛子著)は実在の江戸時代の和算書『算法少女』にその想を得ている。和算が成人男子の占有物であった時代、町医者・千葉桃三が娘あきと書いたとされるその書は、初級10問、中級以上20問から成る。本書はその全30題をていねいに解いた初めての和算書『算法少女』詳解書。和算になじみの薄い読者のために、現代の数式表記を用い、使われた和算の術も解説。題意理解のための時代背景や文化も紹介。古書を判じながら和算に親しむ実践的入門書であり、中学・高校の先生方には絶好の教材解説書である。遠藤寛子氏のエッセイと研究者の立場からの土倉保氏の解説を付す。
 
失われた近代建築 I 都市施設編

失われた近代建築 I 都市施設編

★『失われた近代建築 1 都市施設編』(増田彰久・写真/講談社/5040円)【→amazon
消されてしまった日本。もう、写真の中でしか見ることができない、明治・大正・戦前の荘厳なる文化遺産。とくに歴史的価値の高い52施設と巻末リストの48施設、計100施設の建築写真を収録。
 ★『京都の空間遺産 社寺に隠された野望のかたち、夢のあと』(大森正夫/淡交社/1575円)【→amazon
東寺・清水寺金閣寺をはじめとする京都の世界文化遺産8社寺に見られる、美の作法をひもとくための芸術空間ガイド。社寺とは、思いを込めて時代を生きた人と造形(建物・庭・物等)とのコラボレーション。そこは日本文化のかたちが、ニッポン国の文化のスタンダードが凝縮している場所。本書では当時を再現したCGと解説から、そこに隠された決まり事を造形学的手法から解き明かし、為政者の野望のかけらを見つめてタイムスリップ。日本文化に携わる人、造形デザイナー必読の書。