『伝統との対決』ほか

今日の読みたい本・おすすめ版。
1日5冊紹介(当分)。
 

★『伝統との対決』(岡本太郎/筑摩書房/1680円)【→amazon
『今日の芸術』に続いて1956年に刊行された『日本の伝統』もたちまちベストセラーとなった。法隆寺壁画焼失のわずか数年後「法隆寺は焼けてけっこう」「自分が法隆寺になればよいのです」と言い放った太郎に対し、巷は賛否の渦で騒然となる。西洋への追従の裏返しとしての「伝統主義」を真っ向から否定し、縄文の美を発見し、雪舟の絵に挑みかかった50年代から60年代、岡本太郎は一画家から完全に脱皮し、独自の思想を背景にもつスケールの大きな芸術家へと変貌を遂げる。本巻ではその軌跡を追い、彼がこの時期集中的に「対決」した「日本の伝統」とは何だったのかに迫る。
 
ベルリン・フィルハーモニー その歴史秘話 (叢書・20世紀の芸術と文学)

ベルリン・フィルハーモニー その歴史秘話 (叢書・20世紀の芸術と文学)

★『ベルリン・フィルその歴史秘話−1882−1944−』(菅原透/アルファベータ/2310円)【→amazon
誕生の経緯、忘れられた常任指揮者、戦前に8人もいた女性指揮者、初期の国外ツアー…世界一有名なオーケストラの知られざる12のエピソード。
 
きれいな風貌―西村伊作伝

きれいな風貌―西村伊作伝

★『きれいな風貌 西村伊作伝』(黒川創/新潮社/2415円)【→amazon
大逆事件で叔父を喪い、戦争中は不敬罪で拘留―。戦争が終わるとこう言った。「これからは、マッカーサーに叱られるようなことをする」桁外れのセンスと資産を教育と芸術に注いで生きた、文化学院創設者の第一級の評伝。
 
世界史をつくった海賊 (ちくま新書)

世界史をつくった海賊 (ちくま新書)

★『世界史をつくった海賊』(竹田いさみ/筑摩書房/798円)【→amazon
スパイス、コーヒー、紅茶、砂糖、奴隷…これら世界史キーワードの陰には、常に暴力装置としての海賊がいた。彼らは私的な略奪にとどまらず、国家へ利益を還流し、スパイとして各国情報を収集・報告し、海軍の中心となって戦争に参加するなど、覇権国家誕生の原動力になった。さらに、国際貿易・金融、多国籍企業といった現代に通じるシステムの成り立ちに深く関与していた。厄介な、ならず者集団であるいっぽう、冒険に漕ぎ出す英雄だった海賊たちの真実から、世界の歴史をとらえ直す。
 
評伝 若泉敬 (文春新書)

評伝 若泉敬 (文春新書)

★『評伝若泉敬 愛国の密使』(森田吉彦/文芸春秋/945円)【→amazon
佐藤栄作の「密使」として沖縄返還交渉を進める中で密かに結ばれた「核の密約」。新たな資料と証言により謎に満ちたその生涯に迫る。