教科書検定に関する読売新聞の社説
→沖縄集団自決 禍根を残しかねない政治的訂正 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
沖縄集団自決 禍根を残しかねない政治的訂正(11月3日付・読売社説)
政治的思惑を背景とした一連の動きは、将来に大きな禍根を残すことにもなりかねない。
来年度から使用される高校日本史教科書の沖縄戦・集団自決の記述について、教科書会社4社が文部科学省に対して、日本軍の「強制」に関する記述を復活させる訂正申請をした。
今春の教科書検定では、5社の7種類の教科書から、「強制」の記述が削除されていた。残りの1社も近く同様の訂正申請をすると見られる。文科省は教科用図書検定調査審議会に諮る。
政府が訂正申請に「真摯(しんし)に対応する」と方針転換する契機となったのは、9月29日に沖縄県宜野湾市で開かれた検定意見の撤回を求める県民大会だった。「参加者11万人」と主催者発表の数字が伝えられた。渡海文科相は「沖縄県民の気持ちにどう応えるか」と語った。
しかし、県民大会の俯瞰(ふかん)写真に写っている参加者を1人ずつ丹念に数えた東京の大手警備会社は、1万8000〜2万人と指摘している。主催者発表の5分の1以下だった。
検定で「日本軍に集団自決を強制された」などの記述が削除されたのは、近年の様々な証言などを通じて、集団自決の際に軍の「強制」や「命令」があったか否かが、必ずしも明らかではなくなったためだ。
「沖縄戦の実態について誤解する恐れがある」との検定意見が付けられた。
日本軍が、集団自決に一定の「関与」をしたことについて、否定しているわけではない。
政府は検定意見は撤回せず、教科書会社による自主的な訂正申請の形で手続きを進めようとしている。
検定済みの教科書の訂正申請は、誤植や脱字、誤った事実の記載が発見された場合など、省令に定めるいくつかの理由に該当する場合に限り行われる。今回は事実についての誤りではなく、「学習を進める上で支障がある」ことが理由として挙げられた。
例えば「『集団自決』においこまれ」という記述の前に「日本軍によって」が加えられた。
訂正しないと、なぜ学習上の支障が生じるのか。検定意見と辻褄(つじつま)が合わない訂正申請が認められるなら、教科書検定結果は政治介入で覆せる、という前例を残すことになる。
今後、検定を終えた教科書の記述に中国政府などが抗議した場合、政府はどう対応するのか。記述に誤りがなくとも、抗議する人々の「気持ち」に応えて訂正するのだろうか。
(2007年11月3日1時51分 読売新聞)
琉球新報・沖縄タイムス、あるいは産経新聞の「教科書検定」に関する記事・社説は見飽きてるんですが、読売新聞というところがちょっと新鮮なのでメモとして残しておきます。「左右関係なく、政治的訂正が問題」という姿勢(意見)なんだろうか。
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