NHK番組改変問題7―当時の取材 安倍晋三議員

NHK番組改変問題7―当時の取材 安倍晋三議員朝日新聞2005年07月25日06時02分)

安倍氏には1月10日夕、2人の記者が同氏宅のインターホン越しに取材をした。
――内部告発では、01年1月29日の午後、松尾、野島両氏が安倍、中川両氏に呼ばれ、「偏った内容だから放送を中止しろ」と言われたということになっているが
「心ある人が何人かの人たちに言って、伝わってきたのではないか」
――それで2人を呼んで放送中止を求めたのか
「説明を聞いたんだ」
――どのような説明か
「覚えていない」
――偏った内容でそれを流すのか、みたいなことを言ったわけか
「いや、そういうことではなくて、公平性に著しく欠けますね、と言った。そしたら『そうですね』と。それで、私の考え方が違うというのなら反論してください、と言った」
――そうすると
「それはもういい」
――告発では、政治家による放送の独立に対する事前検閲、介入にあたると主張している
「票を得て当選し、そういう委託をされていて、その代表として意見を申し上げて当然じゃないのか」
――放送中止を事前に求めたとされているが
「そんなこと求められるわけがない」
――中川氏はそういうふうに言ったとおっしゃっているが
「放送中止を?」
――ええ。中川氏は議員会館でNHK幹部と会ったが、安倍氏はどちらで会ったのか。自民党本部か、首相官邸
「よく覚えていない。そこには中川さんがいたわけじゃないから」
――NHKは放送内容まで説明したのか。慰安婦問題でこうだが、こう変えるとか
「言っていない」

      ◇

取材後、安倍氏は「正確を期したい」と次のコメントを寄せた。
だれから情報を得たか、記憶が定かではないが、偏っている報道と知るに至り、NHKから話を聞いた。中立的な立場で報道されなければならないのであり、反対側の立場の意見も当然、紹介しなければいけないし、時間的な配分も中立性が保たれなければいけないと考えている、ということをNHKに申し上げた。NHK側も、中立な立場での報道を心がけていると考えている、ということだった。国会議員として当然、言うべき意見を言ったと思っている。政治的圧力をかけたこととは違うと思う。