2005年1月12日付け「朝日新聞」記事以降のいわゆる「NHK問題」に関する報道について(DOCUMENTARY JAPAN)(2005年1月20日)

2005年1月12日付け「朝日新聞」記事以降のいわゆる「NHK問題」に関する報道について(DOCUMENTARY JAPAN)(2005年1月20日)(←DOCUMENTARY JAPANより転載)

 弊社に関係する昨今の報道に関し、重ねてコメントいたします。
 弊社は、これまで4年間、本番組の制作過程に関して、法廷の場以外ではコメントしてきませんでした。本番組に限らず、制作者として番組制作の過程について公にすることは控えるべきだとの立場からですし、今後もその立場に変わりはないつもりです。しかし、今回の報道には事実と異なる点がいくつかあり、そのうちの次の2点は看過できないと考えるので敢えてコメントすることとします。
 第一点は、先にもコメントしましたが、番組を企画発案したのは弊社ではありません。もともとの企画発案者は、NEP21のチーフ・プロデューサー(CP)であり、同CPから企画案作成の依頼を受けた弊社のディレクター(今回の四夜シリーズの問題となっている第二夜ではなくて第三夜を担当。3年以上前に弊社を退社)は一度断ったものの、他の製作会社への依頼(東京地裁にその製作会社のプロデューサーからの陳述書が提出されています)も奏功しなかった同CPから再度の強い要請を受け承諾し、企画書を作成したという経緯です。なお、企画書自体も、同CPおよびNHKのCP、長井デスク(当時)との協議を経て、合意の下で作成されました。なお、弊社は四夜のシリーズのうち第二夜と第三夜を担当しました。
 第二に、弊社が独自で取材・編集作業をし、その視点が主催団体に近く、法廷の記録を中心として制作していた、との報道は、事実と異なります。
 まず、企画案作成から取材、編集に至る全過程で、弊社スタッフはNHKのCPの指揮・監督の下で動いていました。テレビ番組の制作過程において、製作会社とテレビ局はイコールパートナーであり、お互い意見を述べあい番組制作を進行していきます。決して製作会社が独断先行で取材・編集活動をするものではありません。それは、東京高裁に提出された専門家陳述書や、社団法人ATP(全日本テレビ番組製作社連盟)の2004年12月の声明からも明らかです。当該番組も、弊社とNHKの現場スタッフとが一緒に制作していました。その証左として、私たちの記録では、企画立案段階から1月24日まで、個別の打ち合わせ以外に、3者合同の取材制作会議、試写及び編集会議が10回以上繰り返されています。
 また、「女性国際戦犯法廷」(12月8日〜12日)の取材を終え、編集の初期段階である12月20日に開かれたNHK及びNEP21と弊社のスタッフとの制作会議において、弊社は、法廷の記録性だけではなく、反対運動などをジャーナルな視点で加味し、他国で開かれたいくつかの国際戦犯法廷を取り上げて歴史的意味を検証すると共に、この民衆法廷の趣旨と異なる立場の考え方を紹介することや日本政府の見解も番組の要素として盛り込んだ編集構成案を提出しました。これに対し、より法廷の記録性を主にした内容で行く方針を打ち出したのは、NHKのCPと長井デスクだったというのが、弊社の把握している事実です。また、この会議以前にも外務省の見解の取材を提案しましたが、採択されませんでした。そして、その20日の打ち合わせに沿って編集をし、NHK番組制作局教養番組部長による試写に臨みました。いずれにせよ、弊社スタッフと、NHKのCP、NEP21のCPの3者は、2001年1月24日の教養番組部長よる試写までは、一体となって制作に当たっていたというのが、東京地裁の法廷でもNHKのCP、NEP21のCPを含めた関係者全員が証言している事実です。
 また、その24日以降、弊社は実際の編集現場から外れ、サポート業務にまわったことを付け加えておきます。
 なお、今回ここで述べた制作過程については、すでに本日までに、東京地裁、東京高裁の場で、原告、被告それ
ぞれに証言がなされたり、陳述書、準備書面などが提出されております。
    
                                               以上