スタージョンの法則

↓こんなのにリンクしたり。
http://www.cypress.ne.jp/hp10203249/p/0305a.html#p030508a
例の「何でも90%はクズだ」という法則なんだが。
スタージョンがどういう意味でその言葉を言ったか、を考えないといけないんですな。また、どういう場でそう言ったのかも。
俺自身は未調査なのでくわしいことは語れないのだが、それを理解するのに2つのことを知っていなければいけない。まず、彼はそれを、SF大会のようなSFのファンが集まっている場の講演で言ったこと(どういう場なのか、ってのが未調査です)、そしてスタージョンはどのような作家であるか、ということ。
彼はどうやら最初に「みなさん、SFの90%はクズなんです」と言い、次に「なんでも90%はクズなんです」と言ったらしい。
ここで強調しなければいけないのは、その後にあえて彼が言わなかった言葉だ。それは、「にもかかわらず私とここに集まっているみんなはSFが好きだし、私はクズだらけの世界が好きだ」ということなんですね。
それは、SFが好きでスタージョンを読んだことがある人間なら、ほぼ常識だと思う。あのスタージョンが、「世界は(ほとんど)クズだ」という言葉を、世界に対する愛のない形で口にするほど、この、彼が生きている世界を嫌っていたわけがない(たとえクズだらけだとしても)。俺は、この「法則」を口にする人間が、たとえばあるジャンルのある作品や作家を馬鹿にしたり貶めたりするために使っているのを見るのはつらい。
どうか、もしできるならあなたが、世界の何か(たとえば、クズSFとか)に接して「ああ、これはクズだなぁ」と思い、さらに「何でも90%はクズだから仕方がない」と感じたとしても、その何かに対して「しかし、にもかかわらず俺はこれが好きだ。そしてそれが存在する世界・宇宙そのものが好きだ」とつぶやけるだけの強さを持って欲しい。多分それがスタージョンの本当の気持ちなんだから。
↓その起源に関してはこんなのもありましたが
http://www2s.biglobe.ne.jp/~s-narita/bbs1/12469482421875.html
多分日本で一番最初に商業誌でこの法則に触れたのはS・Fマガジン(早川書房の雑誌)中の連載コラム「SFスキャナー(マガジン走査線の時代だったかも)」の伊藤典夫。1960年代後半ぐらいでしたか。同人誌レベルではもっと古いのもあるので、賢者の言及を待ちたいです。リンク先と伊藤典夫のやった「法則」の紹介とは微妙に違うんだけど、資料が見当たらない。