河谷史夫の『失楽園』(渡辺淳一)評

渡辺淳一を激怒させた、河谷史夫の評が1997年3月2日の朝日新聞・読書欄に載ってましたんで、少し引用。見出しは「大人の恋愛「指南書」風俗織り込み話題に」。


 「新聞で最も読まれないのは」と言った人がある。「小説と社説である。いま自分の新聞の連載小説は何々ぞと問われて即答できる社員は希である。社員でさえ知らない小説を知る読者はさらに希である」。
いきなりこれですか。5W1Hの欠如した、駄文というよりは新聞記事としての基本を満たしていないテキスト。「おれ、こないだ交通事故見ちゃったよ。すごいね、血がドバドバ流れててさ」←こんなのが新聞の社会面の記事としてあったら、読んだ読者はのけぞるだろう。いつどこで、お前は交通事故を見たんだ? 死者や怪我人はどのくらいで、その人間の名前は。
俺が知りたいのは、まず、「○○と言った人」は誰で(文体から考えると山本夏彦っぽいですね。余談ですが河谷史夫氏にも、山本夏彦の文章を3日ぐらい水でふやかしたような文体的類似を感じます)、何という本の、どういう文脈・テキストで、どういう形で新聞の連載小説を語っているのか、ということなんだが、それらは皆目不明。だいたい、もし仮にこのあとに「とはいえ○○という連載小説は例外的に面白い」となってて、その連載小説をほめるためのテキストだとしたら、それの一部を使って別の連載小説を貶めるために引用してる、みたいな行為は少しまずいと思うんだが。もし俺のテキストがそういう形で引用されたら激怒しますよそりゃもう。
続けます(でもまた後日)。