亀井静香氏の「ほとんど殺されてる」発言

例によって、いろいろな記事を読み比べてみる。
↓「拉致被害者ほとんど殺されている」と亀井氏発言(朝日新聞
http://www.asahi.com/politics/update/0709/001.html


 自民党亀井静香政調会長は8日、福岡市内で講演し、北朝鮮による拉致被害者について「ほとんど殺されているんでしょうけど、あと100人以上おられるかもしれない」と発言した。安全保障政策に関するくだりで述べたが、拉致被害者の家族は帰国を信じて救出を訴えており、発言には批判が出る可能性もある。

 亀井氏は小泉政権外交政策について持論を展開しながら、「日米安保条約があるからといって米国が守ってくれるのか」などと述べた。

 さらに北朝鮮について、「ミサイルが飛んでくるなら撃ち落とす。向こうに対しては攻めていかない。そうした懸命の努力を日本がして初めて我々は安全。拉致された人はほとんど殺されているんでしょうけど、あと100人以上おられるかもしれない。その問題が解決できると思う。非常に残念ながら政治家として責任を感じる」などと述べた。

(07/09 00:38)

↓「拉致被害者ほとんど殺された」亀井氏が講演で発言(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20030708ia31.htm

 自民党亀井静香・前政調会長は8日夜、福岡市内での講演で、北朝鮮による日本人拉致問題に関して、「拉致家族、拉致された本人も含め、ほとんど殺されているでしょうけど、あと100人以上おられるかもしれない」と述べた。

 被害者の生存を前提に運動している拉致被害家族の感情を逆なでしかねない発言だが、その根拠は言及していない。「自ら(国を)守るという懸命の努力をして初めて、その問題も解決できると思う。政治家として非常に責任を感じる」とも語った。

(2003/7/9/01:38 読売新聞 無断転載禁止)

拉致被害者:「ほとんど殺されている」 亀井氏が講演で(毎日新聞
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/881483/8bT88e4-0-2.html


 自民党亀井静香政調会長は8日の福岡市内での講演で、北朝鮮による拉致被害者について「ほとんど殺されているんでしょうけど、あと100人以上おられるかもしれない」と述べた。
 発言は、米国追従の安全保障政策を批判するくだりであった。生存を信じて拉致被害者の帰国を待つ家族の心情を傷つける発言だけに、批判を呼ぶ可能性もある。

 亀井氏は「『米国が報復してくれるだろう。だから北朝鮮は攻撃しないだろう』という、あなた頼みの考えでどうやって北朝鮮と外交交渉をやっていくのか」と指摘。日本独自の外交・安全保障努力こそが「拉致問題を解決できる」との持論を展開する中で、この発言が飛び出した。

毎日新聞7月8日] ( 2003-07-08-23:22 )

産経新聞の記事は見当たりませんでした。
どういう「講演」なのかにどの新聞も言及していないのが気になりますが(調べがついたら後で書いておきます)、露骨に「拉致被害者の家族」およびその周辺の人間による「批判」をあおっている記事の方向みたいです。こういう「可能性もある」という記事の書きかたは、なんか抵抗があります。
ここで批判の可能性があるかたがたにぜひやっていただきたいことは、まず、新聞の記事を単純に信じないで、亀井静香氏およびその周辺に「本当にそのようなことを言ったのか」という事実の確認と(これはまぁ、新聞の報道に嘘はないと思いますが)、どういう場で、どのような文脈でそのようなことを言ったのか、講演の記録があれば確認したい、というお願いをしてみることでしょうか。新聞はどうも事実を歪曲しているのではないか、特に「文脈」を無視して一部の発言の刺激的な部分のみの「引用」によっておこなっているのではないか、という疑いを持ってしまいます。
今回の記事のポイントは、「亀井氏が拉致被害者の家族を刺激しそうなことを言った」ことではなく、「米国追従の安全保障政策(小泉政権外交政策)」について「持論を展開しながら」「批判」した、ということにあると思うんですが、反亀井&親小泉的な立場の人間が各新聞社に、刺激的な部分をクローズ・アップするような形で報道して欲しい、という意図を持って情報を漏らしたんじゃないでしょうか。
したがって新聞記者およびその読者が、もし亀井氏を批判するのなら、氏の考える「持論としての安全保障政策」という政策の是非でやってもらいたいと思います(言葉尻、という枝葉末梢ではなく)。