天声人語の引用に関する、今回は疑問

朝日新聞2003年9月21日づけ天声人語
http://www.asahi.com/paper/column20030921.html


 「自民党をぶっ壊す」はずの人が、「全党一丸になって……」との号令を発し始めた。誕生のときとはずいぶん違う小泉総裁再選劇である。当選あいさつや記者会見でも、得意の絶叫調でなく、慎重に言葉を選びながら語っていた。

 振り返ってみれば、総裁は古典的な手法を使ってなかなか巧みな党内操作をしたのかもしれない。「分断して統治する」。橋本派を追い込んだ手法である。そして「アメとムチ」。これは表には出ていない。しかしまわりは勝手に判断して群がってくる。本人は「自発的な支持をいただいた」と言っていればいい。

 分裂選挙になった橋本派内では、「毒まんじゅう」説まで飛び出した。ひそかに総裁選後のポストを約束された人が小泉支持にまわったというのだ。退屈だった再選劇を少しばかり揺さぶって巷間(こうかん)にぎわせたのが、この楽屋話だった。

 密約説を否定するさまには、落語の「まんじゅうこわい」を重ねてみたくなる。「実は、ポストがこわい」「うそだろう」「いや、ポストと聞くだけでふるえがとまらないんだ」「ていうと、たとえば幹事長とか」「そう、そいつが一番こわい」

 毒まんじゅうを食わされたのは実は小泉首相だった、との見方もできるかもしれない。「挙党態勢」「全党一丸」などという毒まんじゅうである。これを食べると、まず体が重くなる。口も重くなる。動こうとすると、体のあちこちを縛られているような拘束感に襲われる。

 党役員人事、そして内閣改造にかけてそんな症状が現れるとすると、要注意である。

この「自民党をぶっ壊す」という小泉総理の発言は、多分2001年の総裁選の時に出たフレーズだと思いますが、どうも彼は正確には「派閥政治の自民党をぶっ壊すくらいに変えないと日本は変わらない」とか「私の方針が入れられないならば、自民党をぶっ壊す」とか、「自民党が改革をつぶすなら、私が自民党をぶっ壊す」とか、要するに「もし○○なら自民党をぶっ壊す」と言っていたみたいです(少し古い発言なので、新聞などで確認してみたいです)。「自民党をぶっ壊すと言っていたのに、ぶっ壊してないではないか」と言っている野党の人はいるみたいですが、新聞の人は正確に『「自民党が改革をつぶすなら自民党をぶっ壊す」はずの人が…』と言ったほうがいいように思いました(もし小泉氏の発言が、俺の確認の取れた通りなら)。野党はともかく、俺が新聞に求めているのは「政府・与党批判」ではなく「正確な情報(報道)」です。それが結果として政府・与党批判になるのならいいのですが、情報の歪曲をしてまでの批判はあまり肯定的にはなれないです。
とりあえず2001年の総裁選に立候補した際の小泉氏の「公約」と、その際の発言を見てみたいとは思いますが…。