旧日本軍遺棄の毒ガス弾訴訟で、国に賠償命令(朝日新聞)

http://www.asahi.com/national/update/0929/018.html


 旧日本軍が日中戦争終了前後に中国本土に遺棄した毒ガスや砲弾がその後数十年を経て漏れ出したり、爆発したりして死傷した中国人とその遺族計13人が日本政府に計約2億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。片山良広裁判長は、「政府は72年に中国との国交を回復した後も、遺棄兵器をどこに隠したかの情報を中国側に伝えるなどの対応をしないまま放置を続けており、その行為にわずかの正当性も認められない」と述べて計約1億9千万円の支払いを命じた。

 旧日本軍の遺棄兵器をめぐっては、今年8月に黒竜江省チチハル市の建設現場で見つかったイペリットマスタードガス)入り缶から流出した液体に触れるなどして、1人が死亡し40人以上が負傷する事故が発生したばかり。この事故で日本政府は1億円を支払う意向を示したが、中国側はこれを受け取っておらず、見舞金との趣旨ではなく、補償そのものを求める世論が強まっている。

 訴えていたのは、同省の李臣さん(58)ら。

 判決によると、裁判で問題になったのは三つの事故で、(1)74年10月、同省佳木斯市の川で浚せつ中、船が引き揚げた砲弾から毒ガスが漏れだし、作業員3人が被害(2)82年7月、同省牡丹江市で下水道工事中に毒ガス缶が見つかり、4人の作業員が被害(3)95年8月、同省双城市の道路工事現場から発見された砲弾の信管を抜く作業中に破裂。農作業中の2人が死亡し、1人が重傷を負った。

 判決はまず、いずれの被害者も旧日本軍の遺棄兵器で死傷したと認定した。旧日本軍による遺棄行為について「単に物を置き去りにするという行為にとどまらず、生命や身体に危険な状態を積極的に作り出す作為的行為だ」と指摘した。そのうえで「日本政府には危険な状態を解消し、事故を回避するための義務がある」とし、72年の日中共同声明により、その義務を履行することが可能になったのに、それを果たさず各事故が発生したと認定した。

 さらに、74年の事件については民法の規定で20年の時効(除斥期間)が成立しているものの、「国がその適用を受けて損害賠償義務を免れることは著しく正義に反する」として適用を認めなかった。

 日本政府側は、事故を予見することはできなかったとして争っていた。

 今年5月、東京地裁の別の裁判部は同種訴訟の判決で、毒ガスの遺棄を違法と認定しつつも、「主権の及ばない中国で兵器を回収することは困難だ」として日本政府に撤去義務はなかったと判断し、原告の請求を棄却したが、原告側は東京高裁に控訴している。

 中国に遺棄された兵器は推計で70万発とされる。化学兵器禁止条約に基づいて07年の期限までに処理する必要があるものの、作業は遅れており外交問題となっている。今回の判決により、まだ地中や水中に残されている毒ガスなどによる被害が再発しないよう早急な撤去を求める声が強まりそうだ。

 【旧日本軍の毒ガス・砲弾遺棄をめぐる主な動き】

1945年ごろ 旧日本軍が毒ガス弾など約70万発を中国各地に遺棄(日本政府の調査による)

 74年10月 黒竜江省佳木斯市で浚せつ船が毒ガス弾を巻き上げ、原告の李臣さんら作業員が被害

 82年7月 同省牡丹江市で発見された毒ガス缶で被害

 91年   日本政府が現地調査に乗り出す

 95年8月 同省双城市で砲弾が爆発し、3人死傷

 97年   化学兵器禁止条約が発効

 99年   遺棄兵器除去の協力に関する覚書を日中政府が交わす

   8月 同省チチハル市の建設現場で毒ガス缶が見つかり、1人死亡、40人以上が負傷

   9月 同市の事故で日本政府は1億円を支払う方針決める

(09/29 14:59)

↓この判決をした、東京地裁の裁判長・片山良広氏についてgoogleで検索してみる
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&q=%95%D0%8ER%97%C7%8DL
週刊新潮の記事で名誉棄損 野村前監督夫妻が勝訴(産経新聞
http://www.sankei.co.jp/news/030827/0827bun079.htm

 週刊新潮の記事でプライバシーを侵害されたなどとして野村克也阪神前監督と妻沙知代さんが発行元の新潮社(東京)に計2750万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は27日、330万円の支払いを命じた。
 判決によると、週刊新潮は1999年9月16日号などで、野村夫妻それぞれの異性関係や過去の経歴についての記事を掲載し、離婚が確実、と報じた。

 片山良広裁判長は「夫婦関係は私生活上最も私的な要素が強く、著名な人物であっても公共性は認められない」とし「記事内容の真実性など判断するまでもない」とプライバシー侵害を認めた。

 週刊新潮編集部は「証拠調べもせずに判断を下すのは納得できない」とコメントしている。

↓名誉棄損:朝日新聞が敗訴 馬主協会前会長の報道で 東京地裁毎日新聞
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200205/13/20020513k0000e040056000c.html

 東京馬主協会の前会長(71)が「週刊朝日の記事で名誉を傷つけられた」として、朝日新聞社と記者らに約1億円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁(片山良広裁判長)は13日、220万円の支払いを命じた。

 問題となったのは00年9月29日号の「東京馬主協会長に『やめろ』コールの不徳騒動」と題する記事。静岡県熱海市の場外馬券売り場誘致に絡み、多額の不明朗な資金が前会長に渡ったとする疑惑などを報じた。

 判決は「前会長が受け取った金額が多額で、役員の地位を利用したと評価されてもやむを得ない面もある」としながらも、「公平な論評の範囲を逸脱している」と認定。協会内での風評などの記述にも、真実との証明がないとして一部で名誉棄損を認めた。

 週刊朝日側は「疑惑が協会内で問題となっている点を報じたもので、前会長を中傷してはいない」と反論していた。

 朝日新聞広報室の話 まったく意外な判決で、到底容認できない。直ちに控訴する。

毎日新聞5月13日] ( 2002-05-13-12:40 )

割と名誉毀損で週刊誌などを訴える場合には、この裁判長に当たるといいような気がします。朝日新聞は自分のところの訴訟ではヒドい目に会ってるにもかかわらず、毒ガス判決ではこの裁判官の判決を支持しているように見えるところが、報道機関としては私怨を感じさせずいい感じです。
原発関係ではこんな判決も
http://www2s.biglobe.ne.jp/~l-city/trace/nucle/n9902.html

北海道泊村の北海道電力泊原子力発電所1・2号機の運転差し止めを求めた「泊原発訴訟」の判決が札幌地裁で言い渡された。裁判は道内の反原発市民・労働団体グループなどが1988年8月に提訴したもの。
片山良広裁判長は、「多量の放射性物質を放出する事故の発生は極めて高い確率で防止され、生命身体に侵害を及ぼす事故が発生する具体的な危険は認められない」として、原告の請求を棄却した。
片山裁判長は判決の中で、「事故の可能性を完全に否定することはできない。地球の温暖化を防ぐため原子力発電を推進するというのも一つの選択肢だが、多少の不便は我慢して放射性廃棄物を生み出す原子力発電は中止するという選択肢もあってよい」とした上で、「自分たちの子供に何を残すのか。多方面からの議論を尽くし、賢明な選択をしなければならない」と述べた。
しかし、メディア(マスコミ)が報道しないことの一つに、ある裁判について、その結果は報道しても、その判決をくだした裁判長が過去にどのような事件にどのような判決をおこなったか、という情報提供があるようです。弁護士・裁判官といった法曹関係の人といえども人間なので、それなりの世界観や主義主張はあると思うし、あって当然とも思いますが(それについてはある程度の自制は、もちろんないと困りますが)、報道機関は判決(裁判の結果)を報道する際には、そこらへんもよろしく頼みたいと思いました。
まぁ、過去において「ダーウィン賞」の候補になった須藤典明裁判長ほどのすごさは、この片山良広氏には感じられませんでした。
↓参考・「「つくる会」が全面敗訴 市立図書館の著書廃棄訴訟(Yahoo!)」に関する俺の日記
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20030913#p2