ハンセン病(続き)

これは、昨日の日記の続きです。
↓昨日の日記
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20031126#p1
↓リファで「霞が関官僚日記」のかたからご指摘があったことを確認しました
http://d.hatena.ne.jp/kanryo/20031126#p3


予約は「ハンセン病団体」が行ったのではなく、熊本県が行ったものだ。潮谷・熊本県知事会見(会見の項目欄をクリックすると配布されたと思われる文書が表示される)や、その他新聞社のwebサイト(愛・蔵太氏が引用した毎日新聞、地元紙の熊本日日新聞)等を見ても、「宿泊予約をハンセン病団体が行った」とする記述は見あたらない。「相田寓話」において初めてそのような説に出会った。そして熊本県のことを「ハンセン病団体」とは普通言わないだろう。
熊本県知事会見のテキストはこちら
http://www.pref.kumamoto.jp/governor/links/interview/report/031120/index.html#04
↓「配布されたと思われる文書」はこちら
http://www.pref.kumamoto.jp/governor/links/interview/report/031120/04.html

1. ふるさと訪問事業について
・  本県では、昭和40年代から菊池恵楓園及び星塚敬愛園に入所の本県出身の方を対象として「里帰り事業」を実施していたが、平成14年度からは全国のハンセン病療養所に入所の本県出身者まで対象を拡充して「ふるさと訪問事業」を実施している。
2. アイレディース宮殿黒川温泉ホテルへの宿泊予約について
・  今年度は、アイレディース宮殿黒川温泉ホテルでの宿泊を計画し、予約を行った。
・  しかしながら、その後、11月に入って宿泊者名簿や人数等のやりとりをするなかで、宿泊予定者が菊池恵楓園の方達であることを理由に、宿泊を遠慮してもらいたい旨の発言があった。
ということで、文書を参考にしますと、予約手続きを取られたのは県の職員のかたで、多分「健康づくり推進課」名義なんじゃないかな、と思います(類推なので本当にそうなのかは不明)。昨日の日記に言及されるかたはご留意ください。鋭くて厳しいご指摘、どうもありがとうございます、id:kanryo様。私的には、厳しすぎるです、と思いますが、いい意味でのプレッシャーでもあります。
この件につきましては、地元の「熊本日々新聞」が一番くわしそうな気がするので、リンクしておきます。
↓特集・ハンセン病
http://kumanichi.com/feature/hansen/
↓宿泊拒否 熊本地検が告発状を受理
http://kumanichi.com/feature/hansen/kiji/20031125.2.html

 阿蘇郡南小国町の「アイレディース宮殿黒川温泉ホテル」が、国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園(菊池郡合志町)に入所する元患者らの宿泊を拒否した問題で、熊本地検は二十五日、熊本地方法務局と県が旅館業法違反容疑で提出していた告発状を受理した。

 同法務局と県は担当者を同ホテルなどに派遣し、事実関係を調査した結果、「悪質な人権侵犯事案に当たる」と判断。同容疑での告発状を二十一日に提出していた。

 旅館業法は正当な理由がないのに宿泊を拒否してはならないと規定。違反すれば二万円以下の罰金と定めている。

 この問題で、同ホテルの総支配人らは二十日、菊池恵楓園を訪れ謝罪。同園の入所者側は「責任の取り方が明確でない」として、謝罪文の受け取りを拒否した。

ここで触れられている「旅館業法」に関しては、こちら。
↓旅館業法
http://list.room.ne.jp/~lawtext/1948L138.html
どうもこれの「第5条」に抵触するようです。

第五条
 営業者は、左の各号の一に該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。

 宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかつていると明らかに認められるとき。

 宿泊しようとする者がとばく、その他の違法行為又は風紀を乱す行為をする虞があると認められるとき。

 宿泊施設に余裕がないときその他都道府県が条例で定める事由があるとき。
「左の各号の一に該当する場合を除いては」という部分が意味不明ですが、これは電子テキストではなく法文の印刷テキストに眼を通してみないといけないようです。(追記:問題解決しました。コメント欄参照)
ここで俺が気になったのは、県の職員がハンセン病のかたがたの宿泊予約を取る段階で、そういう団体であることを言ったら「満員(当日の予約がいっぱい)」を理由に断られた、というような裏事情があったか否か、ということでした。「宿泊施設に余裕がないとき」は、法令によっても宿泊をことわることが可能なわけで、たとえば都内のホテルに普通の人間が当日電話で宿泊の申し込みをしても「申し訳ありませんが、満室で…」と、実際には(多分まず間違いなく)満室でなくても断られるケースもあったりするわけです。
ただ、これに関しての調査は俺個人の調査能力を越えているし、たとえば満室を理由にことわった宿泊施設があったとして、後日その施設のその日の宿泊名簿を見て、空室があったことが確認できても、「それは当日(あるいは前日)にキャンセルがあったためで…」と言われれば、警察関係レベルの調査実行能力がないと、マスコミ・レベルでも難しいと思います。
熊本日々新聞では、以下のような記事もありました。
↓宿泊拒否ホテル 町の抗議に本社“門前払い”
http://kumanichi.com/feature/hansen/kiji/20031127.1.html

 県健康づくり推進課が予約を入れたのは九月十七日。「黒川温泉に」との入所者のリクエストを受け、担当者が数軒当たり、「希望日が空いていたホテルに決めた」という。この時は「県の事業のお客さんで、高齢者が多い」とだけ伝えた。

 同課とホテル側の話によると、ホテルが恵楓園の入所者と知ったのは十一月七日。ホテル従業員からの予約確認の電話のやりとりで、同課が入所者と伝え「既に病気は治った人たち」と説明。十日には支配人から「インターネットで調べたが、(病気は)うつらないのか」と電話があり、同課が重ねて説明した。

 十一日、ホテルにファクスで啓発資料を送付。支配人からは電話で「(内ぶろ付きの希望に)家族ぶろなら用意できます」と、「受け入れと取れる姿勢」(同課)をみせていた。ところが、十三日になって支配人から「本社の判断でお断りする」との電話があったという。

この「担当者が数軒当た」った宿泊施設への、担当者の申し込み具合と、それを断った宿泊施設の固有名詞が知りたい、ということになるんですが…。