劣化ウラン弾:テーマの少年漫画に反響 単行本化決まる

http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20031212k0000m040144000c.html


 米軍がアフガニスタンイラクで使用したとされる劣化ウラン弾をテーマとし、週刊少年マガジン(11月12日発売)に掲載された読み切り漫画「汚れた弾丸―劣化ウラン弾に苦しむイラクの人々―」に読者からの反響が相次ぎ、出版元の講談社は来月中旬に単行本化して発売することを決めた。「劣化ウラン弾の恐ろしさを初めて知った」など電子メールなどで600件を超える感想が編集部に届いたという。漫画が、アフガンやイラク問題への関心を呼び起こした。

 同誌は5月、アフガンで医療支援に取り組む医師のルポを掲載。「次はイラクを取り上げよう」との声が編集部で上がり、医師のルポも担当した漫画家の三枝義浩さんの執筆による60ページの読み切り漫画が実現した。

 主人公は、同弾問題を追っているフォトジャーナリストの森住卓さん。森住さんが出会ったイラクの戦争被害者のことや、人体に影響を与える同弾の恐怖などを描いた。

 編集部には、幅広い年代から反響が寄せられた。同誌の読者層は、主に男子中・高・大学生などだが、主婦や女子高校生からのものもあった。「親に漫画を見せてもらった。これから隣県である写真展に行こうと思う」(13歳の女子)▽「親なら誰でも子どもが健やかに育つことを願うのに、イラクではその願いもかなわないなんて……」(主婦)▽「劣化ウラン弾を使う米国こそ悪の枢軸国家だ」(19歳男性)▽「授業で取り上げたい」(大学教授など)など、内容を評価する意見が約8割を占めた。

 「平和を訴えるデモをしても仕方がないと思っていたが、漫画を読んで、そうも言っていられないと思った」「薬の援助の必要性を感じた。何かできることをやりたい」など、意欲を感じさせる感想もあった。

 一方、「米国を一方的に悪いと決めつけている」「フセインも悪かったのだから、戦争に至る経緯をちゃんと書いてほしかった」といった批判的な意見も約2割あったという。

 編集部は「新聞やテレビ報道の『すき間』で、これまで劣化ウラン弾を知らなかった人の心を、漫画がうまくとらえたのではないか」と話している。【小山内恵美子】

◇ことば劣化ウラン弾

 放射性廃棄物劣化ウランで作られる弾丸。標的に当たって燃焼する際、劣化ウランが微粒子となって飛び散り、土壌や地下水なども汚染。過去の使用例から、兵士や周辺住民に、がんや白血病を含むさまざまな健康被害が生じていることが報告されている。

毎日新聞12月12日] ( 2003-12-12-03:00 )

劣化ウラン弾」「汚れた弾丸」をキーワードに、あちこちのはてなダイアリーを覗くと、この件について言及しているサイトがいろいろ見つかります。俺もこの漫画を読んでみたんですが、森住卓氏のレポート(調査)に依拠しすぎているアジテーション漫画みたいで、あまり好感は持てませんでした。それについて語ると長くなりそうなんですが、まず「反米フォト・ジャーナリスト」のかた(森住卓さん)が、「フセイン独裁政権下」で病院を取材して、正確な情報を得られるか、得られたとしても正確に情報を伝える能力があるか、という疑問が大きいです。毎日新聞の解説でも「がんや白血病を含むさまざまな健康被害が生じている」とは言ってますが、放射線による、とは言ってないみたいです。あと、「天然ウラン(イエローパウダー)」を保管していたドラムがイラク国内にあった、ということ。森住さんは「そこからドラムを持ち出したイラクの人がいたのは、アメリカの管理不行き届きがあったからだ」とアメリカの管理体制を責めてますが、天然ウランをイラクが持ってた理由がよく分かりませんでした。フセイン核兵器開発のためでは、とか、そのために子供たちの病気が増えたのでは、とか、俺は思ってしまったんですが。
報道機関を利用した捏造の一例としては、ユーゴ(ボスニア)の「民族浄化」キャンペーンがすでに有名なので、リンクなど。
↓ユーゴ人道介入の口実「虐殺」デッチ上げ
http://www.jca.apc.org/~altmedka/yugo-series.html
セルビアの demonisation
http://homepage2.nifty.com/bet-aramaye/wtc/marco.html

難民施設を強制収容所に仕立て上げたTV会社

 レイプ同様、セルビア人の悪魔化を決定的にした死の捕虜収容所となると、さらにひどい情報操作が行なわれたという。死の収容所の存在が初めて世界で報道されたのは1992年夏だった。イギリスのテレビ局がボスニアに入り、トノポリャ捕虜収容所の取材に成功したのだ。

 この時、彼らが撮影した1枚の写真は世界中に衝撃を与えた。鉄条網の前に立つ、ガリガリに痩せこけ、肋骨の浮き出ている男の姿は、まさにアウシュビッツを連想させる写真だった。

 だが、これは完全な偽物だったのである。

 ガシックはカップの中に残っていたカプチーノを飲み干し、皮肉な笑いを浮かべて言った。

 「あの写真はジョーク以外の何物でもなかった。なぜなら、鉄条網の内側にいたのは、あの痩身の男ではなくカメラマンのほうだったからだ。

 実際、収容所の建物の周囲には鉄条網などなかった。あれは、近くに建っていた倉庫の周りに張り巡らされていたものなのだ。テレビ局の連中は倉庫の前にいたのだ。

 私はITN局がその時、撮影したビデオを入手し、そのすべてを見てみた。その中で鉄条網の外側から男たちがリポーターの質問に答えている場面があった。

 彼らは口々にこう言っていた。ここは難民キャンプだ、身分証明書を提示すれば自由に出入りできる、外は戦争で危ないからここにいる……。

 笑ってしまったのは、あの肋骨の浮き出た男にリポーターが、なぜあなたはそんなに痩せているのかと聞いた時だ。

 彼は、こう答えた。

“いや、俺は太らない体質で、ガキの頃がらこうだった”(大爆笑)」

写真や映像によるメッセージ効果は、常に高いものがありますが、誰が何の目的でその画像・映像を手に入れたのか&流しているのか、については、考える必要があるのでは、と思います。「テキストの恣意的な引用」と似たようなニオイを感じてしまうわけですね。