劣化ウラン弾に関する国会議事録

↓国会でどのようなことが語られたかというのは、以下の「国会議事録検索システム」でわかります
http://kokkai.ndl.go.jp/
その「簡単検索」で「劣化ウラン」というキーワードを入れて検索すると、過去5年の間に72件あったということがわかります(ちょっとリンクは面倒なので略)。
それを一つ一つチェックしてみて、少し考えてみたい、という趣向です。いささか退屈かもしれませんがご容赦を。とりあえず半年分ぐらい見てみます。
議事録からの引用はしますが、元テキストへのリンクは、少し面倒なので省略します、すみません。
参議院・国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会(平成15年10月07日)


田英夫君(中略)最後に一つ、ちょっと話が飛びますけれども、防衛庁長官に伺いたいんですが、自衛隊劣化ウラン弾の処理能力がありますか。
国務大臣石破茂君) 劣化ウラン弾の処理能力を我々が有しているとは承知をいたしておらないところでございます。
田英夫君 これはイラクの場合が主ですから改めて、機会を改めて議論いたしますけれども、自衛隊劣化ウラン弾の処理能力があるなら、私は、そのために行くなら、必要なら行くべきかもしれないと。私は自衛隊の海外派遣は反対でありますけれども、そのくらい劣化ウラン弾というものの危険性ということを言いたいんです。
 劣化ウラン弾というのは本当に今、アメリカ軍がイラクで多用しまして、湾岸戦争のときの劣化ウラン弾の結果が今出てきています。ちょうど十歳ぐらいの子供さんたちが白血病やがんになる、それが急上昇していますよ。それはお母さんが、地下に撃ち込まれて不発弾になっている劣化ウラン弾から地下水に流れ込んで、放射能が流れ込んでそれを飲んで、日常生活の中で飲んで、そのお母さんから生まれた子供さんが被害を受けているという。
 今の、今度の戦争の結果はこれから十年後に出てくるということになるんで、これは半永久的にイラクという国は放射能の被害を受けることになるんです。そのことをもっと真剣に考えるべきだと思っているから申し上げました。
 一方的に話だけいたしましたが、お願いを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
放射能が流れ込んで」というのが少しひっかかります。放射能というのは「流れ込む」ものなのでしょうか? 劣化ウランの「放射性物質」としての影響にも疑問があります。ただ、地下水が重金属としてのウランによって汚染されて、それによる重大な影響が、子供たちに出てきている、という可能性はあるかもしれません。
アメリカ政府による「イランのプロパガンダ批判」の例としては、こんなテキストもありました。まぁ、これもアメリカ政府によるプロパガンダ、ではありますが。
↓欺まんの構造 サダム・フセインの情報工作とプロパガンダ 1990−2003年
http://usembassy.state.gov/tokyo/wwwhjp0283.html
劣化ウラン弾に関しては、こんな感じです。
劣化ウランの脅威
http://usembassy.state.gov/tokyo/wwwhjp0285.html#劣化ウラン

 連合軍は湾岸戦争の際、その高濃度性のため理想的な武器となる劣化ウラン製の徹甲弾を使用した。イラク政府は近年、連合軍が使用した劣化ウラン弾が、イラク国内でのガンや先天性異常を引き起こす原因となってきたとの虚偽の主張を広めようとしている。イラクは、先天性の異常を持った子どもたちを写した衝撃的な写真を配布し、劣化ウランがその原因であると主張してきた。この政治的な運動には、プロパガンダとして2つの有利要素がある。

・一般人は、ウラニウムという言葉に恐怖を覚えるため、この虚偽の主張が比較的通じやすいものとなっている。
反核活動家の国際的なネットワークが、劣化ウランの反対運動を独自に展開しており、イラクはこの組織網を利用することができた。

 しかし、世界保健機関(WHO)、国連環境計画(UNEP)、および欧州連合(EU)の科学者らは、劣化ウランに被ばくしても健康に影響はないとしている。

 しかし、こうした真実をもってしても、イラクの偽情報活動は止まることがない。ロンドンのアラビア語新聞「アルクッズ・アルアラビ」紙の2000年11月15日の報道によると、イラクはこの問題を追求するため、タリク・アジズ副首相の直接指揮下に「汚染の影響追跡のための中央委員会」と称する組織を設置した。同紙によれば、イラクのアブドアルワハブ・ムハマド・アルジュブリ少将を長とする、軍関係者や科学者等から成る作業グループが、データの作成や国際メディアのための視察ツアーを企画した。イラクは、劣化ウランの「悪影響」に関する国際会議を主催し、「専門家」を海外に派遣して、この問題について講演をさせている。その「専門家」の中には、イラクの「侵略的爆撃がもたらす汚染に関する委員会」の委員であるイラク人科学者モナ・カマス教授も含まれている。

この、「一般人は、ウラニウムという言葉に恐怖を覚えるため、この虚偽の主張が比較的通じやすいものとなっている」という部分は、特に核兵器を実践に使われた唯一の国である日本に住む人間の場合は、さらに顕著なんじゃないかと思います。
ただ、田英夫さんの主張は、たとえば放射能という言葉を抜きにして「イラクという国は劣化ウラン弾の被害を受けることになるんです」というようにすれば、人道的にはまっとうなものかも知れません。ウラニウムが人体に無害であるとか、健康にいいということはあまりないと思います。
次に行きます。
参議院外交防衛委員会(平成15年10月07日)

大田昌秀君 海上自衛隊は次期哨戒機ヘリSH60Kに搭載する予定の対艦ミサイルの発射実験を沖縄県久米島町の米軍鳥島訓練場を使用して今年の十二月に行う予定だと聞いていますが、なぜ鳥島訓練場を使用するのですか。
国務大臣石破茂君) これは、一つは艦載、船に載せるということを行っておりません。したがいまして、地上の基地から進出することが必要であるということが第一点。
 もう一点は、レーザーの反射率の問題でございまして、レーザーの反射率、すなわちこのミサイルの照準に使いますレーザーでございますが、その反射率が低い地域が必要でございます。したがいまして、鳥島が最適な地域であるというふうに判断をしたと承知をいたしております。
大田昌秀君 その米軍鳥島訓練場は米軍機による劣化ウラン弾の射撃訓練が行われたところで、まだその処理さえ済んでいないところですね。そこは非常に住民にとって大切な漁場になっておりますけれども、そういうところでいつまで沖縄の人たちに苦労を掛けるおつもりですか。なぜ、なぜ別のところでやらないんですか。
国務大臣石破茂君) 先ほど申し上げましたように、いろいろな諸条件を勘案をいたしまして最適地であるというふうな判断をしたと承知をいたしておりますが、他方、町議会あるいは漁民の方々の反対意見があるということも承知をいたしております。私ども、その点も重く受け止めまして、今後、誠心誠意取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
それに対する政府の公式発表は、こんな感じ。
劣化ウラン含有弾の誤使用問題に関する環境調査の結果について(平成10年実施分)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/10/09/980912.htm
衆議院憲法調査会(平成15年10月02日)

○北川(れ)委員 社民党市民連合の北川れん子です。
(中略) 大量破壊兵器は見つからず、イラク戦は違法であり、人道に反した侵略戦争以外の何物でもありません。イラク市民、医療関係者が求めているのは、医療貢献、殊に、劣化ウラン弾に汚染されているため、被曝治療、小児がん白血病治療など、いち早く日本は名乗りを上げるべきです。
これは答弁とか質疑応答ではなくて、当人の主張を場を借りて述べた、という感じです。これも「被曝治療」という部分が引っかかります。
衆議院安全保障委員会(平成15年10月02日)

○金子(哲)委員 社会民主党市民連合の金子です。
(中略) さきの代表質問の中で、我が党の党首が質問の、質問されたわけではありませんけれども、発言の中で触れられたイラク戦争における劣化ウラン弾の使用の問題です。これについて、さきの国会でも私ども質問しましたけれども、当時、川口外務大臣は余りはっきり、どうおっしゃったかといえば、どちらかといえば、使ったという確認を得ていないという御発言だったように思いますけれども、その後、イラク戦争における劣化ウラン弾の米英軍の使用についてはどのように確認されておりますか。
○川口国務大臣 前に申し上げたことは、劣化ウラン弾を米軍が使ったということについては、米軍はそういうことは確認をしていないということを話をしたわけです。その後、政府といたしまして、再度アメリカ側に確認はいたしております。そして、その結果、アメリカは、今回のイラクに対する軍事行動において劣化ウラン弾を使ったかどうかということについては、今後とも明らかにすることはしないということを言っているわけでございます。
 なお、健康被害との関連については、引き続き我が国として注視をしていきたいと考えています。
○金子(哲)委員 今発表しないということですけれども、党首も発言の中で申し上げておりますけれども、先日、米軍のブリックス准将は、使用したということを認める発言をしているわけですよね。にもかかわらず、今もってアメリカ軍が認めないというような答弁をここの委員会の中で繰り返すというのは、余りにもひど過ぎるんじゃないですか。この点についてはどうお考えですか。
○川口国務大臣 この間の党首の御発言を聞きまして、再度確認をいたしております。そういうことをブリックス准将が言ったことはないということでございます。
○金子(哲)委員 いずれにしても、イラクに使われているということは、さきの委員会で参考人が調査活動をもとにしておっしゃっているわけですから、その点については、もし仮に自衛隊を派遣するというようなことになれば、それは当然重大な問題になってくるわけですから、その点について、私は、引き続いて明快にするように努力すべきだということを申し上げて、質問を終わります。
これは、劣化ウラン弾を使ったか使ってないか、という情報に関する部分に興味を持ちました。米軍のブリックス准将による「使用したということを認める発言」があったのかなかったのか。社民党の人があったという情報源はどこなのか。