ハンブルグでの国際劣化ウラン/ウラン兵器会議 資料の翻訳(←リンク)

少しあれこれ検討してみたいようなことを言っているテキストがあったので、メモ。
いきなり、「本会議は、劣化ウランのような、微細な放射性微粒子による内部被曝に対して国際放射線防護委員会(ICRP)モデルを利用することを退ける」と言っているのはどうかと思いますが、たとえばこんなの。


 ウラン弾はその衝撃と同時にセラミックや他のウラン酸化物の微粒子に転換される。その直径は0.001?1.0マイクロメートルの範囲にあり、平均的な直径は0.01マイクロメートルである。
 そのような物質は完全に新しいものであり、それの持つ性質や効果を、ウラン鉱山事業や加工工程おいて発生するウランダストに関する従来の研究と科学的に関連づけることは不可能である。
 ウラン酸化物は数百マイル(数千キロメートル)にわたって飛翔することができる。
 劣化ウランのダストがその標的の近くに留まるということはなく、地球物理学的なメカニズムにしたがって広い範囲に飛散する。これはその紛争から10年が経ったイラクの砂漠において見出された(バスビー(Busby)、イラクのデータ)。また、それは使用されてから13ヶ月後のコソボのジャコブの通りの粉塵の中に見つかっている(バスビー、日本テレビBBC)。国連環境計画(UNEP)によれば、それはウラン弾の使用から13ヶ月経ったコソボで採取された全サンプルの46%に確認されており、ボスニアでもモンテネグロでもまた発見されている。
イラクのデータ」というところに疑問が残りますが…。「クウェート」やそれ以外の地域のデータというのはないのでしょうか。また、コソボの粉塵の中には、どれくらいの量が含まれていたのか、とか。
「国際放射線防護委員会(ICRP)モデル」については、こんな形の意見も。
ハンブルグでの国際劣化ウラン/ウラン兵器会議に参加して
http://www.jca.apc.org/mihama/d_uran/hamburg_uranium.htm

 ICRPモデルにしたがうとすると、帰還兵やイラク市民の間に実際に起こっている被害を劣化ウランによるものであると説明することはどうしても不可能である。そのモデルで計算された被曝線量はそれほど高くならないからである。
それはいいんですが、それが「ICRPモデルの否定」にすぐ関連づけていいものかどうかという疑問が。
たとえば、ノミの「科学的観察」で、「ノミの足の6本のうち、4本までを切り取っても、ノミは飛ぶことができる」が、「残りの2本を切り取ることによって、ノミは飛ぶことができなくなる」というのは正しいでしょう。しかし、その科学者が、ノミに「飛べ」と言ったら飛んだが、残りの2本の足を取ったらノミは飛ばなくなった、ゆえに「残りの2本の足を切り取ることによって、ノミは耳が聞こえなくなる」というような結論は、実験や検証のしかたが間違っているのでは、と普通に判断できます。
ノミがどういう状況になったら本当に耳が聞こえなくなるか、というのは(帰還兵やイラク市民が何によってどのような影響を受けているか、というのは)、「足を切り取る」という実験・検証以外の、さまざまな実験・検証が必要なのではないでしょうか。