高校生の「請願書」について

今日のは長いっすよ。
↓5300人署名集め首相に”直談判” 宮崎の高3・今村さん 内閣府に提出「軍隊の撤退を」(Yahoo西日本新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040202-00000071-nnp-kyu


 平和的手段でのイラク復興支援を小泉純一郎首相に求め、一人で署名活動に取り組んでいた宮崎県三股町の高校三年生、今村歩さん(18)が二日、首相あての請願書と五千三百五十八人分の署名を内閣府の担当者に手渡した。今村さんは「みんなの気持ちを小泉首相に届けたくて、直接持ってきた。ぜひ首相に勇気ある行動を取ってほしい」と話した。内閣府は同日午後にも首相秘書官まで届けるという。

 今村さんは昨年十二月十日から、高校の知人らに呼びかけ、署名活動を始めた。次第に活動が広がり、国内だけでなく米国やオーストラリアからも郵送してきたという。

 請願書では「イラクには雇用、電気、ガソリンなどが必要で、自衛隊派遣では本当の支援はできない」などと指摘、小泉首相に「イラク国民を傷つけないために、各国に軍隊の撤退を呼びかけてほしい」と求めている。また、米国の武力による解決は「非民主的」であり、劣化ウラン弾クラスター爆弾の非人道性を日米両政府に認めるよう求めている。

 今村さんは、イラク戦争終結後もテロが頻発していることを知り、「暴力の連鎖を断ち切るためには平和的な解決が必要だ」と思い、小泉首相への直談判を決意したという。この日、母親の理絵さん(44)と上京した。(西日本新聞
[2月2日14時47分更新]

↓高校生から自衛隊撤退求める署名 首相、内容には答えず(朝日新聞
http://www2.asahi.com/special/jieitai/TKY200402020256.html

 小泉首相は2日夜、平和的な手段によるイラクの復興支援と自衛隊の撤退などを求める小泉首相あての請願書を高校生が内閣府に提出したことに関連して、首相官邸で記者団に「自衛隊は平和的に貢献するんですよ。学校の先生もよく生徒さんに話さないとね。いい勉強になると思いますよ」などと語った。

 請願書を提出したのは宮崎県内の高校3年生、今村歩さん(18)。昨年12月から一人で署名活動を始め、ファクスやメールを通じて輪が広がった。1カ月余りで全国をはじめ、オーストラリアや米国からも署名が届いたという。5358人分の署名付きの請願書は、首相に自衛隊や各国軍隊の撤退を呼びかけるよう求め、「首相として勇気ある行動を」と訴えている。

 この活動について問われた首相は「読んでいない」とことわったうえで「この世の中、善意の人間だけで成り立っているわけじゃない。なぜ警察官が必要か、なぜ軍隊が必要か。イラクの事情を説明して、国際政治、複雑だなぁという点を、先生がもっと生徒に教えるべきですね」と述べ、請願の内容には応えず、独自の教育論を展開した。 (02/02 21:30)

id:kanryoさんからリファがあったので応えてみました
http://d.hatena.ne.jp/kanryo/20040206
このニュースに関しては、ネタとしては面白いんですが、俺のサイトで取り上げるには、
1・首相が本当は何て言ったのか
2・請願書の具体的な中身はどのようなものだったのか
に関してのソース(元資料)が不足していたので言及していませんでした。
また、続報として以下のようなニュースもありました。
イラク署名:小泉首相の発言撤回求める 教職員組合毎日新聞
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/seiji/20040204k0000m010099000c.html

 宮崎県の女子高校生が、武力に頼らないイラクの復興支援を求める署名簿を提出したことに対する小泉純一郎首相の発言をめぐって、「全日本教職員組合」(石元巌委員長、14万6700人)は3日、発言の撤回を求める文書を首相官邸に送った。

 文書は首相の対応を「人の心をふみにじる態度。考え方は違ったとしても自分の頭で考え抜き、自分の力で行動した高校生の姿を尊重するのが良識ある大人だ」と指摘。また、「政府の一方的見解を学校教育におしつけ、教師に教育活動の変質を求めることを公然と述べた」と批判している。

 女子高生が2日、一人で集めた5358人の署名を提出した際、小泉首相が「イラクの事情を説明して、なかなか国際政治、複雑だなあという点を先生がもっと生徒に教えるべきですね」などと発言した。女子高校生の母親は「問題を複雑にしたくない。コメントは控える」と述べている。【月足寛樹】

毎日新聞2月3日] ( 2004-02-03-21:30 )

↑これ、見出しは「教職員組合」となってますが、正確には共産党系の「全日本教職員組合(全教)ですね。よく日教組(旧社会党系)と間違えられる組織です。組合員の数は、全職員の8.5%。
日教組のほうは、このようなことを言っている様子。
↓「政府の考えを押しつけるな」 首相発言に日教組が抗議(朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0204/048.html

 イラクからの自衛隊の撤退を求める高校生の署名付きの請願書をめぐり、小泉首相が「学校の先生もよく生徒さんに話さないとね」などと学校教育に注文をつけたことに関連し、日本教職員組合日教組)の榊原長一委員長は4日、「国会の場でも意見が分かれている問題について、政府の考え方を教育現場に押しつけることは間違いだ」とする抗議声明を出した。

 委員長は「(請願を)読むこともせずに学校で自衛隊派遣の意義を教えるべきだとする発言は、若者の純粋な思いからの行動に対して非常に失礼な対応だ」と指摘。「小泉首相は直ちに発言を撤回し、若者の行動に誠意をもって応えるべきだ」と述べている。 (02/04 22:48)

また、国会では以下のようなやりとりがあった様子。
↓派遣違憲と教えるな 首相、教育に口先介入繰り返す(Yahoo!共同)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040205-00000133-kyodo-pol

 小泉純一郎首相は5日午後の参院イラク復興支援・有事法制特別委員会で、自衛隊イラク派遣に関連し「先生方が『自衛隊は戦争に行くんです。憲法違反です』と(生徒に)言ったら問題がある」などと、教育現場への「介入」とも取れる発言を繰り返した。
 首相は2日にも、女子高生が派遣反対の署名を提出したことについて「自衛隊は平和的貢献をする。学校の先生も生徒に話さないと」と発言し、教育現場に政府の考えを押しつけるものだと波紋を広げたばかり。
 民主党斎藤勁氏が「賛否両論ある問題で教育現場への強制と受け止められるのは問題だ」と追及したのに対し、首相は「なぜわたしが発言を撤回しなければいけないのか分からない」と反論。その上で「日教組には『憲法違反だ』とデモしている人もいる。先生は政治活動に精を出すよりも生徒の教育に精を出してほしい」と注文をさらにエスカレートさせた。(共同通信
[2月5日17時35分更新]
(追記:国会でのやりとりが実際にどうだったかは、「議事録」より俺の日記の以下のところに転載しました→http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20040219#p1
ニュースソースがバラバラで申し訳ないところですが、特定新聞社の特定記事を批判するためのものではなく、情報としての「記事」なのでまぁいいかと。なお俺の日記は、元記事の恣意的な印象を避けるために原則「全文引用」ということにしています。元記事がなぜか一定期間でネットから消えてしまうことも多いし。
小泉首相が「読んでいない」と言った背景に関しては、id:kanryo氏の以下の意見に同意
http://d.hatena.ne.jp/kanryo/20040205#p5

そもそも請願書自体はその日に内閣府に届けられたんだから、物理的に総理インタビューまでに届きようがない。受け取った内閣府の担当官が「これこれこういう請願がありました」とでも報告書をまとめて、それを順繰りに上げていく。そして普通の役人なら「こんなものをくそ忙しい官邸に上げるわけにはいかない」と思うだろう。本当に総理に見せたければ、内閣府の担当官なんか通さずに共産党の志位委員長が万難を排して直接総理に届ければいいじゃないか。ある人間に自分の意見を伝えること、それ自体が「政治」だ。
請願書の扱いがどうなっているかは不明ですが、「物理的」な問題というのはあると思います。まず、このニュースに関する「Yahoo西日本新聞」の引用テキスト作成時間は「2月2日14時47分」となっていますが、届けたのはその日(2003年2月2日)の、多分その日の午前中でしょう。根拠は「毎日新聞2004年2月2日大阪夕刊」に掲載されているらしいからです(Mainichi INTERACTIVEの以下の記事参照→http://www.mainichi.co.jp/edu/edunews/0402/02-3.html)。高校野球やその他のニュースを新聞で見る限りでは、たいていのニュースは昼ぐらいまでしか夕刊には載りません。しかしこの今村さん親子、マスコミ関係に対する情報提供が早いですね。
↓というか、ここに二人と、それを受け取っている人(内閣府の担当者)の写真が載っています(すぐに見れなくなると思うので注意)
http://newstopics.dion.ne.jp/pubnews/photonews/?dt=20040202
これに添付されているテキストには

5358人分の署名を内閣官房の担当者に手渡す今村歩さん(右)=内閣府で2日午前11時8分、手塚耕一郎写す
とちゃんと、渡した時間まで書かれていました。
さらに、「毎日新聞」のサイトで「今村歩」で検索したら、記事を書かれた人の名前も。
イラク支援:武力に頼らないで 高校生が署名提出(毎日新聞
http://www12.mainichi.co.jp/news/search-news/896761/8da191ba95e0-0-1.html

 武力に頼らないイラクの復興支援を求める5358人分の署名を1人で集めた宮崎県三股町の高校3年生、今村歩(あゆみ)さん(18)が2日午前、東京・永田町の内閣府を訪れ、担当者に手渡した。今村さんは昨年12月、友人に呼び掛けて始め、口コミで支援の輪は広がり、大勢の声を届けることになった。
 今村さんは同日、母の理絵さん(44)らと内閣府を訪れ、応対に出た内閣官房の担当者に請願書を読み上げ、署名とともに渡した。請願書は首相あてで、「平和的解決を目指し、各国軍隊撤退を呼びかけ、これ以上イラク国民を傷つけないよう、そして、日本国民一人一人の安全に責任を持つべき一国の首相として、勇気ある行動をしてください」と要望した。

 今村さんはイラク支援自体は支持しているが、「自衛隊や軍隊では問題は解決せず、イラクの人々との溝はますます深まっていくばかりだと考えます」などと主張。署名を手渡した後、「首相は平和を求めている国民の声に気付いてほしい」などと訴えた。

 署名はイラク戦争後、テロや誤射などでイラクの民衆が被害を受けるテレビの映像をみるうちに「黙っているだけではいけない」と思い立ち、始めたという。当初、友人らに署名してもらっていたが、友人からさらに別の友人と広がり、今村さんが1人で街頭に立って集めたこともあったという。【月足寛樹】

毎日新聞2月2日] ( 2004-02-02-12:48 )

最初からこちらを見ればよかったですね。要するに今村さん親子は、毎日新聞の記者・月足寛樹氏と、カメラマン・手塚耕一郎氏の立ち会いのもとに(他にも西日本新聞とか、いたかも知れませんが)、「請願書」を渡した、ということでしょう。
↓で、首相が当日何をしたか、というのは、Yahoo!の「首相動静」で分かります
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/prime_minister/
↓2003年2月2日は、こんな感じ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040203-00000064-jij-pol

 午前8時現在、公邸。朝の来客なし。
 午前8時41分、公邸発。同57分、国会着。同59分、参院第1委員会室へ。
 午前9時32分、参院第1委員会室を出て、同34分、国会発。同36分、官邸着。同37分、執務室へ。
 午前10時28分、執務室を出て、同29分、官邸発。同48分、東京・日本橋兜町東京証券取引所着。同取引所の故土田正顕社長の弔問。同49分、同取引所発。同11時5分、官邸着。同7分、執務室へ。
 午前11時54分、執務室を出て、同55分から同57分まで、大会議室前で報道各社のインタビュー。「加藤、古賀両元幹事長、亀井元政調会長を党総裁として処分する考えはあるか」に「幹事長に任せています」。同58分、首相会議室へ。
 午後0時19分、首相会議室を出て、同20分、執務室へ。
 午後2時から同18分まで、竹内行夫外務事務次官
 午後3時から同56分まで、経済評論家の田中直毅氏。
 午後4時から同19分まで、黒田東彦内閣参与。
 午後4時20分から同43分まで、加藤良三駐米大使、海老原紳外務省北米局長。
 午後4時57分、執務室を出て、同58分、官邸発。同59分、国会着。同5時1分、自民党総裁室へ。同2分、役員会開始。
 午後5時20分、自民党役員会終了。同21分、自民党総裁室を出て、同22分、国会発。同23分、官邸着。同24分、執務室へ。
 午後5時31分、執務室を出て、同32分、大会議室へ。第16回司法制度改革推進本部顧問会議に出席。
 午後6時4分、第16回司法制度改革推進本部顧問会議を途中退席し、同5分、執務室へ。同20分、執務室を出て、同21分から同24分まで、特別応接室で報道各社のインタビュー。「ヤンキースの開幕戦の始球式に出られるそうですが」に「あの時期は国会どうなっているかね。わたしも試合見てみたいですね」。同25分、官邸発。同27分、東京・永田町のキャピトル東急ホテル着。同ホテル内の「村儀理容室」で散髪。
 午後7時28分、キャピトル東急ホテル発。同33分、東京・紀尾井町赤坂プリンスホテル着。同ホテル内のコーヒーハウス「ポトマック」で秘書官らと会食。
 午後8時36分、赤坂プリンスホテル発。同52分、公邸着。
 3日午前0時現在、来客なし。(了)(時事通信
とても忙しそうですが(つきっきりの記者も大変そうですが)、「首相官邸で記者団に」この署名について語った(朝日新聞)とあり、そのニュースが書かれた時間(02/02 21:30)を考えると、午後6時「21分から同24分」の「報道各社のインタビュー」でのやりとりだと思われます(午後8時52分から何かあったという可能性もありますが)。
午前11時ごろに「内閣官房の担当者」が受け取ったものを、「首相秘書官」を通して首相が受け取り、午後6時ごろまでに目を通すのは、よほどの大事件に関する書類(某国からの宣戦布告書とか)でない限りは無理です。
また、一国の首相・総理といえば、分かりやすく言えば会社の社長(アメリカでは大統領も社長も同じ「プレジデント」)。日本国政府ぐらいに大規模な会社に勤めたことはないのですが(勤めている人もあまり知りませんが)、普通の会社勤めをしている人間が、特に急ぎでないうえ会社経営とも関係がない書類を直訴形式で持っていったとしても、どのような扱いを受けるかは常識の範囲内だと思うんですが。
俺にとってはさらに興味深いことが、実は一つあります。これらの記事に出てきた人の名前を、少し挙げてみます。
1・毎日新聞の記者・月足寛樹さんと、カメラマン・手塚耕一郎さん
2・朝日新聞の記者(名前不明)さんと、首相担当の記者団の皆さん
3・全日本教職員組合の石元巌委員長
4・日本教職員組合の榊原長一委員長
5・民主党斎藤勁議員
これらのかたがたは、首相が「読んでいない」と言った「請願書」に、はたして目を通した(読んだ)のかということです。
で、オフィシャルに公開しているネット上でのテキストに目を通してみました。
全日本教職員組合のものは、こちら。
↓平和を願う高校生の心をふみにじる小泉首相の対応に強く抗議し、発言の撤回を求めます
http://www.zenkyo.org/ganba/seimei/2003nen/040205.htm

2004年2月3日
全教 教文局長 山口 隆
 2月3日付毎日新聞は、宮崎県の高校3年生が武力に頼らないイラク復興支援を求める5358人の署名を提出したことについて、小泉首相が「よくイラクの事情を説明して…先生がもっと生徒に教えるべき」と述べたと報道しました。しかも、小泉首相は、「署名を読みましたか」という記者団の質問に対して「いや、読んでいません」と述べたと報じています。
 平和を願う、やむにやまれぬ若者の行動に対して、請願趣旨も読まずに切り捨てる小泉首相の態度は、二重三重に重大問題をもつものであり、断じて許せません。
第1は、こんなに人の心をふみにじる態度はないということです。
 請願書には「イラク復興支援は必要なことで、私たちもイラクの国民を救うことを望んでいます。しかし、自衛隊や軍隊では問題は解決せず、イラクの人々との溝はますます深まっていくばかりだと考えます」「私は日本にイラクのもっとも弱い立場にいる人たちのための支援と、これからのイラクイラク人、現在イラクに滞在している方々、そして地球環境のためになる支援をしてほしいと思っています」と述べられています。
 この請願書を読めば、だれもが、イラクへの平和的な人道支援を心から願うこの高校生の心をよみとることができるのではないでしょうか。にもかかわらず、署名を読みもせずに、平気でコメントするなどという態度は、まさに非常識であり、しかも、そのことがどれだけ相手の心を傷つける行為なのかということにも気づかない荒々しい神経は、常人には理解しがたいものです。
 第2は、こうした態度が、まさにこの高校生の、一個の人間としての人格をふみにじり、自主性をおさえつけるものであり、子どもの権利条約にもそむくものであるということです。
 この生徒は、いまイラクで起きている問題や、イラクへの自衛隊派兵について、自分の問題と日本のあり方をつなげながら、一生懸命悩み、考えた末に、何か行動を起こさなければと考え、たった一人で、署名をはじめ、5000人をこえる署名を集め、提出したのです。
 たとえ考え方は違ったとしても、自分の頭で考えぬき、自分の力で行動した高校生の姿を人間として尊重するのが、良識あるおとなとしての態度ではないでしょうか。
 ところが、そうして集めた署名に対して、「先生がもっと生徒に教えるべき」などと述べることは、この高校生の自主的判断と自主的行動をまったく無視するものであり、この高校生の持つ独立した人格をふみにじるものです。
 それは、同時に、子どもの権利条約が規定する子どもの意見表明権をふみにじるものです。
 先ごろ開かれた国連子どもの権利委員会は、日本政府に対し、子どもの権利条約にもとづくとりくみが不十分であること、学習と成長発達の主体である子どもの意見表明権を徹底して尊重すべきであることなど、厳しい勧告をおこないました。
 子どもの意見表明を認めようとしない今回の小泉首相の対応は、子どもの権利についての国際的基準である子どもの権利条約に真っ向からそむくものであり、およそ国際常識とかけ離れたものといわなければなりません。
第3に、自衛隊イラク派兵についての、政府の一方的見解を学校教育におしつけ、教師に教育活動の変質を求めることを公然と述べていることです。
新聞報道では、小泉首相は、「自衛隊は平和的貢献するんですよ。学校の先生も、よく生徒さんに話さないと」と述べたとされていますが、この発言は重大な教育介入を示唆したことを意味します。自衛隊イラク派兵という、もっとも政治的焦点となっている問題について、一方的に政府見解をおしつけるなど、教育にあってはならないことです。しかも、「自衛隊が平和貢献することを、教師は子どもに教えよ」と求めることは、教育内容に対する行政府の長としての介入以外の何ものでもなく、まさに、戦前の教育を彷彿とさせるものです。
以上のことから、一国の首相としての見識を根本から問われるにとどまらず、おとなとしての最低限の常識にさえそむく小泉首相の対応に強く抗議し、発言の撤回を求めるものです。
日本教職員組合のものは、こちら。
↓高校生の純粋な気持ちを踏みにじった小泉首相、河村文部科学大臣へ抗議
http://www.jtu-net.or.jp/news/04/02/04n9.html


                                 2004年2月4日
内閣総理大臣
小泉 純一郎 様
日本教職員組合        
中央執行委員長  榊原 長一 


 武力によらないイラク復興支援を訴えた高校生に対する発言に抗議

 一人の高校生が、武力によらないイラク復興支援と自衛隊の撤退などを求める請願を自分で集めた5358人分の署名とともに首相に提出しました。
 小泉首相は読むこともせず、学校で自衛隊派遣の意義を教えるべきだと発言され、請願の内容には応えられなかったと報道されています。
 若者の純粋な思いからの行動に対して、非常に失礼な対応であると言わざるを得ません。今回の自衛隊イラク派遣について、「首相は国民に対する十分な説明責任を果たしていない」との声も大きく、また自衛隊派遣に疑問を投げかける声も少なくありません。平和的な国際貢献を行う方策もさまざま考えられるはずです。そうした中、自衛隊派遣というかたちではなく、平和的な手段によるイラク復興支援を求めた署名は、若者がこれまで学び、話し合い、考えてきた中から、今起きていることがどういうことなのか自ら判断し訴えた、行動です。
 おりしも1月30日、国連子どもの権利委員会は日本の子どもをめぐる状況について「子どもの意見の尊重が制限されていることを依然として懸念する」とその総括所見の中で述べています。
 また、各学校で学ぶ内容についてですが、今現在自分の周りや世界で起こっていることに関して、様々な角度から、子ども・若者が教職員と共に議論し、学びあうということは大変重要なことです。国会の場でも意見が分かれている問題について、政府の考え方を教育現場に押し付けることは間違いです。
 小泉首相は、直ちに発言を撤回するとともに、若者の行動に誠意を持って応えるべきです。

                                                                                                                                                              • -



                                 2004年2月4日
文部科学大臣
河村 建夫 様
日本教職員組合        
中央執行委員長  榊原 長一 


 武力によらないイラク復興支援を訴えた高校生に対する発言に抗議

 一人の高校生が、武力によらないイラク復興支援と自衛隊の撤退などを求める請願を自分で集めた5358人分の署名とともに首相に提出しました。
 小泉首相は読むこともせず、学校で自衛隊派遣の意義を教えるべきだと発言され、請願の内容には応えられなかったと報道されています。また、河村文科大臣も同様の発言をされたと報道されています。
 若者の純粋な思いからの行動に対して、非常に失礼な対応であると言わざるを得ません。今回の自衛隊イラク派遣について、「首相は国民に対する十分な説明責任を果たしていない」との声も大きく、また自衛隊派遣に疑問を投げかける声も少なくありません。平和的な国際貢献を行う方策もさまざま考えられるはずです。そうした中、自衛隊派遣というかたちではなく、平和的な手段によるイラク復興支援を求めた署名は、若者がこれまで学び、話し合い、考えてきた中から、今起きていることがどういうことなのか自ら判断し訴えた、行動です。
 おりしも1月30日、国連子どもの権利委員会は日本の子どもをめぐる状況について「子どもの意見の尊重が制限されていることを依然として懸念する」とその総括所見の中で述べています。
 また、各学校で学ぶ内容についてですが、今現在自分の周りや世界で起こっていることに関して、様々な角度から、子ども・若者が教職員と共に議論し、学びあうということは大変重要なことです。国会の場でも意見が分かれている問題について、政府の考え方を教育現場に押し付けることは間違いです。
 河村文部科学大臣は、直ちに発言を撤回するとともに、若者の行動に誠意を持って応えるべきです。

こういうところ、共産党はえらいな(政府批判の野党として)と思うところなんですが、全日本教職員組合の石元巌委員長はともかく、教文局長の山口隆さんは、言及しているテキストを見る限りでは、ちゃんと読んでます(少なくとも、目を通しています)。
それに対して、日本教職員組合の榊原長一委員長は…よく分かりません。俺の主観では、請願書を読まないで、読まなかったと言っている小泉首相を非難しているだけのようにも思えます。
国会での議事録がまだ見られないんで、民主党斎藤勁議員と小泉首相とはどのようなやりとりがあったかは不明ですが、その場でぜひ小泉氏には斎藤勁氏に、「それで、あなたはその請願書は読んだんですか?」と訊いてもらいたかったところです。あと、質問された記者団のかたがたにも。(追記:国会でのやりとりが実際にどうだったかは、「議事録」より俺の日記の以下のところに転載しました→http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20040219#p1
これ読んで「そうだよなぁ」と思っているだけのかたがたも同じ。とりあえず目を通してください。