高校生の請願書、中日新聞では「社説」で語られた様子

メールで教えていただいたのでご紹介(どうもありがとうございます)。
↓泣くな、請願の高校生 週のはじめに考える
http://www.chunichi.co.jp/00/sha/20040208/col_____sha_____000.shtml


 春愁は何となしの憂いですが、明瞭(めいりょう)な憂情も含めてみたくなります。そんな気分のこのごろですから。世がどんどん悪く、うそ寒くなっているようで…。

 春寒し悪しき予感の狂ひもせず           相馬 遷子

 他国戦場への自衛隊派遣をはじめとして、危惧(きぐ)した通りにもろもろ流れゆく時世ゆえ、立春後の余寒には心まで凍えるようです。

 わずかに春気を覚えさせるのは、長崎・国見高三年、平山相太君の姿でしょうか。サッカーの五輪代表候補、比類のない逸材。でも、本人は浮かれず謙虚に、進学してさらに人生の可能性を広げたい、と。大地を踏みしめて立つ、流されない若者を見つけてうれしくなります。

「よくぞ」高校生が…
 高三といえば、宮崎の女子生徒の行動力にも刮目(かつもく)させられました。武力によらないイラク復興支援の首相あて請願書を内閣府に手渡した今村歩さん。イラク民衆の惨状をテレビで見るうち黙っていられなくなり、友人らに呼び掛けて五千三百人余もの署名を集めたのだそうです。

 政治をめぐる大衆行動はこの三十年来、絶えてありません。そういう気力も、連帯し組織化する能力も、この国からは失(う)せたようです。かつて三十万人が国会を包囲した時以上に重大な課題に直面した今も、デモは小規模の散発のみで。

 民意を知る手掛かりはマスコミの論調と、世論調査の数字だけになったと言っても過言でないでしょう。その世論調査では、自衛隊派遣に反対の比率が賛成を上回ったのに、無視されて政治に反映されない。国会はむなしい仕組みとなり果て、派遣がズルズル決まり実行されてゆく。民意なぞどこへやら。民主主義が形骸(けいがい)でさえもなくなっているのでは、と不安の募る今です。

 だから、女子生徒の請願運動、その輪の広がりに「よくぞ」の思いを抱いた人は少なくないでしょう。イラクの人々が日本に望むのは、職の提供、経済復興や医療体制の支援なのだ、と伝えられています。自衛隊ではない。自衛隊にはまず関係のない分野です。そちらに手をこまねいて、米国支援の本音が隠しようもない自衛隊派遣では、早晩、イラク国民の反感を買うし、イラク内外で日本人が敵視もされかねない。

 女子生徒たちの請願運動はそこまで考え抜いていたようです。

 ところが、首相はこれに、にべもない反応ぶりでした。請願書に目を通す気配なし。それどころか、自衛隊派遣の「貢献」を学校でもっと教えよと、ゆゆしい教育介入発言です。若者が懸命に考えるのはいいことだね、くらいのコメントができなかったものか。

それはないわ、小泉さん
 あまりに度量が小さくないか、と首相の弁に寂しさを覚えます。民主主義国の政治家とは、いうまでもなく国民の代議をする者です。その頂点で国を率いる首相は、民意の掌握が何より大切なはず。ならば、あらゆる声に耳を傾ける、少なくともそんな姿勢が不可欠です。

 かねがね、自説に人一倍こだわって、忠告、異論に耳を貸さないタイプと評される首相。その靖国、日米同盟論、イラク戦争大義などなどに続くこの度の、高校生相手のかたくなさには、国の前途を思うと、何とも暗たんとさせられます。「政府批判ばかりするマスコミ。日本は世界一自由な国だよ」と国会で吐き捨てる首相に悲しい思いも抱きます。

 高校生の頑張りが印象的なのは、大人たち一般の緩みが気になる世だからでもあります。

 イラク派遣が実行されるや、反対と賛成の比率が世論調査でどうも逆転の雲行き。既成事実によって易々(やすやす)と意識が変えられてしまう。あきれるほどに現実主義的です。あきらめが早く変化に影響されやすい。物事を安易に安易にすませてしまう。で、時流に流される。

 いつも言いますが、豊かになって食ってはいける世になって以降、この国民性向は強まる一方のようですね。まるでクラゲのように浮遊している。強い潮流が来れば、一気に持っていかれるかもしれません。

 変化の時代だ、付いていけ、たくましく変わらなくちゃ−そんな合唱が不気味です。

 小泉政治に不満でも、後継者がいないんだから仕方ない、と高支持率を与えて、ほしいままの政治を許す。万事、易きにつき、漂い、笑いほうけながら、人間としての力、社会の力を落とし続けています。子らの体力、勉強意欲は衰える一途。みんなが甘くなって、子らを虐待から救うこともできません。

この人も請願書を読まずに、「読まなかったと言った小泉首相を批判している人」のような気がします。
それから、小泉首相が「自衛隊派遣の「貢献」を学校でもっと教えよ」と言っているというのは、どうも「自衛隊は平和的に貢献するんですよ。学校の先生もよく生徒さんに話さないとね。いい勉強になると思いますよ」と言ったと報道されている小泉首相の「平和的に」を省略し、「話さないと」を「教えよ」というような、故意の歪曲・捏造があるように思えます。本当に何と言ったのかは不明なので、中日新聞の社説の人が、本当に言ったことをもとにしてこの社説を書いたのなら別ですが、本当はやはり「自衛隊派遣の「平和的(な)貢献」を学校で先生はもっと話さないと(いけない)」じゃないかと思います。「○○しろ」という命令形と、「○○して欲しい(しなければいけない)」というような希望・願望を伝えるテキストとは、俺的にはニュアンスが全然違うんですが。
また、この社説では小泉首相が国会で「政府批判ばかりするマスコミ。日本は世界一自由な国だよ」と言ったといっていますが、検索してみた限りではその発言は見当たらなかったのでソースキボンヌです。この日記をご覧のかたでご存じな人は下の「コメント欄」ででも。