あまり殺伐としないメディアリテラシー

↓以下のサイトに
http://d.hatena.ne.jp/Bear/
↓以下のような記述があったので
http://d.hatena.ne.jp/Bear/20040209#p1


■ [News]今月11日で牛丼販売中止 吉野家、米国牛在庫切れで(北海道新聞)

 牛丼チェーン最大手の吉野家ディー・アンド・シーは9日、牛丼販売を今月11日に中止することを明らかにした。一部店舗を除いた全国約970店で中止する。同社は使用する牛肉の99%を米国産牛に頼っており、牛海綿状脳症(BSE)発生による米国産牛の輸入禁止で在庫がなくなるため。
興味を持ってこのテキストの分析など。
まず、元テキストではリンク切れだったので、北海道新聞の過去記事検索から、以下のテキストを探し出してみました。
吉野家、牛丼販売あすから中止 道内21店舗−米国産牛肉在庫切れ  2004/02/09 14:30(北海道新聞
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?&d=20040209&j=0044

 牛丼チェーン最大手の吉野家ディー・アンド・シー(東京)は九日、大半の店舗での牛丼販売を十一日から中止すると発表した。中止するのは全九百八十六店舗のうち、札幌、函館、旭川など道内の全二十一店舗を含む九百七十六店舗。牛丼の在庫が無くなり次第終了で、ほとんどが十一日中に中止となる見通し。東京の一号店など残る十店舗では国産などの牛肉を使用して販売を継続する。

 同社は使用する牛肉の99%を米国産牛肉に頼っており、牛海綿状脳症(BSE)発生による輸入禁止で在庫切れとなるため販売中止に追い込まれた。

 記者会見した安部修仁社長は、「カレー丼」など既に投入した新メニューの値下げを検討するほか、新たな商品開発に力を入れる考えを示した。同社は禁輸が解除されれば牛丼販売を再開する。ただ、新メニューの一部は残し、牛丼と並行して販売する計画だ。

 大手チェーン店では、なか卯大阪市)、「すき家」のゼンショーが既に牛丼販売を中止。松屋フーズも今月下旬から来月初めには中止になる見込みで、チェーン店から牛丼の消える日が近づいてきた。

最初の段落を注意深く見ると、微妙に記事内容が異なっていることが分かります。つまり、「牛丼販売を」というのが、「大半の店舗での牛丼販売を」になっているみたいです。最初の記事の引用者が元テキストからの正確な引用をおこなったかは不明ですが、あえてテキストを変えて引用する必要性を、引用した人から感じなかったので、多分北海道新聞はあとからテキストを書き直したんじゃないかと思います。
このニュースを他の新聞はどう扱っているかについて、「見出し」とテキストを引用してみます。
吉野家、11日に牛丼販売停止 米産輸入禁止で在庫切れ(朝日新聞
http://www.asahi.com/special/bse/TKY200402090176.html

 牛丼チェーン最大手の吉野家ディー・アンド・シーは、11日に牛丼の販売を停止する見通しになった、と9日発表した。米国産牛肉の輸入禁止に伴う在庫切れのため。大手牛丼チェーンで牛丼販売が残るのは、定食メニューの多い松屋だけとなる。販売終了後の業績は「客数で7割、売り上げは75%になる」(安部修仁社長)と予想している。

 また吉野家は同時に、輸入が再開されたあとも代替メニューの一部の販売を継続する方針も明らかにした。

 店舗ごとに時間差はあるが、食材が切れ次第販売を打ち切る。牛丼だけでなく、牛皿、牛鮭(さけ)定食も販売を中止する。ただし、周辺の店で扱っている商品と競合する懸念から、新メニューの提供が難しい築地店(東京都中央区)と競馬場、競艇場内の計10店では、国産牛などを使って牛丼の販売を継続する。築地店の牛丼(並盛)の価格は500円とする。

 吉野家では、在庫切れを先延ばししようと、国産牛をブレンドしたり、国内にある米国牛肉を新たに調達したりしてきた。だが、「駆け込み需要」も多かった。今後は、いくら鮭丼の販売を順次全店に広げるほか、新メニューの価格の値下げも進める。
(04/02/09 19:41)

吉野家の牛丼販売 あすから休止(産経新聞
http://www.sankei.co.jp/news/040210/morning/10iti003.htm

 牛丼チェーン「吉野家」(九百八十六店)を展開する業界最大手の吉野家ディー・アンド・シーは九日、牛丼の販売を十一日から順次休止すると発表した。米国のBSE(牛海綿状脳症狂牛病)発生に伴う牛肉の輸入停止措置で在庫が底をつくため。大手牛丼チェーンの販売中止は、四位のなか卯、「すき家」を展開する三位のゼンショーに続き三社目。二位の松屋フーズも今月下旬に休止する見通し。

 安部修仁社長は同日の記者会見で、「今晩の工場出荷分が最後。駆け込み需要を見込んで普段の二倍近い量を準備する」としているが、販売継続を決めた東京・築地店など計十店を除く全店で、十一日中にはメニューから牛丼が消える見通しという。

 今後は新メニューとして販売を始めているカレー丼豚キムチ丼などを主力に据え、「来店客数で通常の七割、売上高で75%の水準」(安部社長)を予想している。

 業績への影響は懸念されるが、メニュー入れ替えや値下げによる来客増、昨年末以降、深夜営業を休止していた百七十四店舗を順次二十四時間営業に戻すなどで、牛丼販売休止による落ち込みを最小限に食い止める方針だ。

吉野家:11日で牛丼販売休止 予定より数日前倒し(毎日新聞
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/archive/200402/10/20040210k0000m020024000c.html

 牛丼チェーンの「吉野家」を運営する吉野家ディー・アンド・シー(本社・東京)は9日、全国986店のほぼ全店で11日に牛丼の販売を休止する、と発表した。BSE(牛海綿状脳症)発生の影響で米国産牛肉が輸入禁止となり、牛肉の在庫が底をついた。当初は2月中旬の予定だったが、“駆け込み需要”が増えて予定より数日前倒しで休止することになった。牛丼販売の休止は、大手では「なか卯」「すき家」に続き3社目。

 吉野家では、創業店舗の築地店(東京)や競馬場内などの計10店は例外として、国産や豪州産牛肉を使って牛丼販売を続ける。【藤田裕伸】

毎日新聞2月9日] ( 2004-02-09-18:43 )

吉野家の牛丼、ほぼ全店で11日から販売休止(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/business/news/20040209i203.htm

 牛丼チェーン最大手の吉野家ディー・アンド・シーは9日、築地店(東京・中央区)など10店舗を除く全国976店舗で2月11日から、材料がなくなり次第、牛丼販売を休止すると発表した。

 同社は材料の牛肉の99%を米国産に頼っている。BSE(牛海綿状脳症狂牛病)感染牛が見つかった米国産牛の輸入停止措置が長引いていることで、在庫が払底するため、休止を決断した。

 牛丼販売の休止は、牛丼チェーン4位の「なか卯」、同3位の「すき家」を展開するゼンショーに続いて3社目となる。残る同2位の松屋フーズも2月下旬以降に休止する見通しだ。

 吉野家は、店頭のメニューを、牛丼の代わりに「カレー丼」や「マーボー丼」などの新メニューに切り替えている。だが、価格は最も安いもので350円と牛丼より高く、今後客足の落ち込みが心配される。

 吉野家の安部修仁社長は同日の会見で、販売休止直後の影響について、「私見だが、客数は(現在の)70%、売り上げは75%ぐらいになる」との見方を示した。ただ、新メニューが顧客に定着すれば「(新商品の増加による)規模の拡大で利益も増える」と強調した。今後は、新メニューの値下げや新たな商品開発を進めて収益の維持を目指す。

 一方、販売中止を見越した“駆け込み需要”で、吉野家の1月の売上高は前年同月比0・7%増となった。このうち、東京・有楽町店では、販売休止前に食べようという顧客が増え、9日昼には20人以上の行列ができた。

(2004/2/9/22:14 読売新聞 無断転載禁止)

…わかりますか。
よくご覧になればお分かりの通り、見出しに「ほぼ全店で」という言葉を入れ、「11日からどの店でも牛丼がなくなるわけではないよ」ということを言っているのは読売新聞だけ。正確には各記事の本文の通り、「順次販売休止(在庫がなくなったら休止)」「ごく少ないが一部の店舗では販売継続」というのが正しい情報です。
↓さてここで、はてなダイアリーのキーワード「メディアリテラシー」を開いて
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%a5%e1%a5%c7%a5%a3%a5%a2%a5%ea%a5%c6%a5%e9%a5%b7%a1%bc
そこの「報道に対する十箇条」をご覧ください。

6.雑誌や番組のタイトルや見出しに惑わされず、中身を見るようにしましょう。
って書いてありますね。これがその一例です。まぁ、

1.情報を流して得する人を考えてみましょう。
ということまで考えることは、この場合はないと思いますが…。
で、次に、

2.可能な限り情報のリソースを確認しましょう。
↓ということで、「吉野家ディー・アンド・シー」のサイトを見てみます
http://www.yoshinoya-dc.com/top.html
そこにはちゃんと公式発表が載っています。
↓牛丼の販売休止のお知らせ
http://www.yoshinoya-dc.com/news/040209_ir.html

 昨年12月以降、米国産牛肉の輸入禁止措置が続く中、当社では牛肉の追加調達や営業時間の変更、新商品の導入などの諸施策により牛丼の販売を出来るだけ継続する様、努力を重ねてまいりました。
 しかし誠に残念ながら、現在の見通しでは 2月11日(水)から、順次、各店舗に於いて牛肉の在庫がなくなり次第、牛丼・牛皿牛鮭定食の販売を一時休止させていただく見込みです。
 なお、今後の営業につきましては、米国牛肉の輸入が再開されるまでの間、下記のメニューを販売してまいります。
 また、深夜営業時間を休止しておりました174店舗につきましては、体制が整い次第24時間営業に戻してまいります。
まぁ、これの見出しが「販売休止」となっていて、「一部販売休止」になっていないのは少し困ったものですが、ここで得られる情報が、新聞などを二次情報とすると一次情報として信頼度が高いものになります。
俺の場合はまぁ、このニュースを何で知ったかは別にして、興味を持ったらすぐに、その件について公式に語っている関係者のサイトを覗いてみることにしています。これはインターネットだから可能な「一次情報(に極力近いもの)に当たれる幸せ」でしょうか。
一次情報を流してくれない、警察とかが扱っている刑事事件などにはあまり言及できないというデメリットも、その代わりにあるわけですが。
本日の「メディアリテラシー」に関する初歩的なお話は、まぁこんなもんで。
(ダシに使ってしまってすみません、id:Bearさん。これを機会に、リンクと引用テキストを直しておかれるとよろしいのでは、と思います)