今村歩さんの請願書をめぐる国会でのやりとりと共同通信の記事
見つかりましたので掲載。めちゃくちゃ面白いです。
↓参議院・イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 第3号 平成十六年二月五日(木曜日)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0205/159/15902050079003c.html
太字のところが、俺的には楽しいやりとりでした。
○齋藤勁君 さてちょっと、今日は劣化ウラン弾の問題で中心に伺うつもりですけれども、つい先日、報道でも相当出ておるんですけれども、一高校生が武力によらないイラク復興支援を訴える請願署名を集めたことに関連しまして、総理がイラクに自衛隊を派遣する意義を学校で教えるべきだと、こういうふうなことを言われたんだということが報道されているんですけれども、この事実確認と、総理自身のこの発言の真意をお尋ねしたいというふうに思いますし、この請願の署名というのは、私自身もいろいろ新聞報道等で見る限り、イラクに対する我が国の復興人道支援の在り方、このことについて一人の高校生が純粋にその在り方を、私は、真剣に考えて五千三百五十八人集めたそうでございます、大変貴重なものだと思いますが。この署名をごらんになったんでしょうか、この請願の内容について。その上の発言だったのか、お尋ねしたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) そのときの記者団の質問の時点においては、そういう署名があったということは承知しておりませんでした。そういう記者団の質問に答えまして、私は、自衛隊は武力による支援じゃありませんと、武力行使しませんと、人道支援、復興支援であります、そういう点につきましても、生徒の皆さんの純粋な気持ちでしょうから、先生もこの際、国際政治を勉強する上において、こういう点については真剣に議論をしてもいいんじゃないでしょうかという発言を、趣旨の発言をしたわけでございます。
○齋藤勁君 これは今、まあオーバーに言えば、国論を二分とまでは申しませんが、賛否いろいろ、この国会でも議論され、世論でも様々な議論があるわけですね。私は、議論をしてほしいと、いろいろ国民の間で議論してほしいということについてとどまるなら、私はそれはそれでありようとしてあると思うんですが、いわゆる教育現場に対して、この評価が分かれていることについて、何か強制的なことに受け止められるということになりましたら、これは私は問題ではないかというふうに思いまして。
学校で教えるべきだというふうに言っていない、今答弁ですね。学校で教えるべきだというふうに言い切ってないようですけれども、そういうことでよろしいですよね、そういうことで。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) もし先生方が、これは、自衛隊の派遣は戦争に行くんですと、憲法違反ですとか、武力行使に行くんですといったことがあったらこれは問題だと思います。自衛隊は復興支援、人道支援に行くんであって、戦争に行くものではありません。武力行使をするものでもありません。
高校生も恐らく、弁論部等があるでしょう、議論の機会もあるでしょう。そういう意見が、高校生の間でもいろいろな意見があると思います。そういうことに対して客観的な判断ができるような材料を提供して、生徒間で議論するのもこれまたいいことではないかなと思っております。
○齋藤勁君 これは学校で、様々な立場に立って様々な資料に基づいて議論をする、こういうことなんですよ、必要なのは。いろんな多様な考え方がある、多様な価値観があるということについて学校で子供たちに学んでもらうということが大切なわけでありまして、ここで一人の政治家が、一人の総理大臣が今思っていることに、これが思ってもらわないと困るという発想の中でこれはやってもらうと、これはやっぱりありようとしておかしいと思いますので、私は前段申しましたそういう立場だと、いろんな材料があるということでいろいろ議論をしてほしいということであるならば──そういうことですね、防衛庁長官がそういうことですかと言うから。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私が言っているのは、日教組の中には、これは憲法違反だといってデモをしている人もいますね。しかし、今拝見したんですけれども、日教組の委員長が、私の発言を撤回しろという文書が来ております。なぜ私が撤回しなきゃならないのか分からないんです。
先生方も教育についてはよく考えていただきたいと。個人はいいですよ。生徒の中でも私はいろんな意見持っていると思います。国際政治を勉強する上において、ある人は、自衛隊、イラクに行くのは復興支援でも憲法違反だという考えがあるでしょう。いや、これは憲法違反じゃないという考えもあるでしょう。いい、両方の材料を提供して議論をするのもいいんじゃないかと。先生も、政治運動には余り精を出すよりも、教育、生徒の教育に精を出していただきたいと思います。
○齋藤勁君 まあ後半の方は余計ですよ、それはね、総理。
それはまあ、それは僕は別に日教組の委員長の文書を読み上げて話しているわけじゃないですから、私はね。日教組の委員長さんと会って、質問しろなんてことは、質問してほしいなんてことは私言われたわけじゃありませんから。冒頭から触れているとおり、報道ということになって、そして今総理が前段お話しになった様々な角度からいろいろ、それぞれの年齢に応じて材料、資料を提供して議論をする、あるいはいろいろ意見を述べ合うと、こういうやはり風土と申しましょうか、これがある意味じゃ民主主義国家だと思うんですね。
そういうことで、後半の方はいただけない部分がありますが、その部分について、このことをあとする時間もございません。その程度にとどめさしていただきます。
過去ログ見てみたら、共同通信はこれを以下のように伝えた様子。
↓派遣違憲と教えるな 首相、教育に口先介入繰り返す(Yahoo!共同)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040205-00000133-kyodo-pol
なかなか個性的な、情感の入った情報伝達をするところですね、共同通信は。
小泉純一郎首相は5日午後の参院イラク復興支援・有事法制特別委員会で、自衛隊イラク派遣に関連し「先生方が『自衛隊は戦争に行くんです。憲法違反です』と(生徒に)言ったら問題がある」などと、教育現場への「介入」とも取れる発言を繰り返した。
首相は2日にも、女子高生が派遣反対の署名を提出したことについて「自衛隊は平和的貢献をする。学校の先生も生徒に話さないと」と発言し、教育現場に政府の考えを押しつけるものだと波紋を広げたばかり。
民主党の斎藤勁氏が「賛否両論ある問題で教育現場への強制と受け止められるのは問題だ」と追及したのに対し、首相は「なぜわたしが発言を撤回しなければいけないのか分からない」と反論。その上で「日教組には『憲法違反だ』とデモしている人もいる。先生は政治活動に精を出すよりも生徒の教育に精を出してほしい」と注文をさらにエスカレートさせた。(共同通信)[2月5日17時35分更新]
国会の模様はTV中継されているし、発言の内容・要旨などは新聞に掲載されるんですが(暴言・放言があったら、かなり大きな見出しになりますしね)、TV中継は見ていると眠くなったりするんで、一度テキストとしての議事録(元ソース)に目を通されることを、新聞の記事などをサイト上で話題にするかたにはおすすめします。
個人的な印象ですが、やはり小泉首相は戦争が嫌いなんだろうなぁ、と思ってしまいました。たとえば、こんなやりとりなどは皆さんはどう思われますでしょうか。実に今の若者に受ける(アピールする)発言ではないかと。
いささか「日米同盟」に依存しすぎの感もありますが。
○山本正和君 大分お疲れだと思いますが、委員会での質問は、小泉総理とは厚生大臣のとき以来ですから、懐かしい思いですけれども、今日は時間が余りございませんが、NHKの放送時間十分の範囲内ということでありますけれども、一問一答でいきたいんですけれども、二、三分私の方で話をして、あとお答えいただくというふうにしたいと思います。
この前、文教委員会の視察がありまして、鹿児島へ参りました。委員長のお計らいで知覧まで行ってまいりました。一同みんな知覧のあの陸軍特攻少年兵が鍛えた土地へ行きまして、みんな絶句してしばらくその場から立ち止まったままだった。案内の人が、実は小泉総理もお見えになって、あの場で絶句しておられたと、もうこらえられないような表情でおられたというのを聞きました。私は思ったんですが、日本人ならば恐らくすべての人があの地へ行けばもうどうにもならぬ思いになるだろうと思います。
私も実は、私の中学の同期生が最後の知覧です。一級下の子が十七歳で特攻で、途中でもう見事に散じたんですけれども、陸軍少尉です。十七歳の陸軍少尉。しかし、みんな私どもの世代はそれでいいと思ったんだ。しこのみ盾となって死んでもいいと思った。東洋平和のために死んでもいいと思ったんだ。
私は、戦争負けたときに旧満州、今の東北地区におった。日本が負けてたまるかと思ったから、関東軍をもう一辺再建しようかというような話に乗って、結局二年間、私は中国に留用、留学、留用いたしました。
お国のためにという気持ちに日本じゅうがなっておった。その中で、あの少年たちが、特にもう母親です、お母さんに対してあてた手紙を見て、何とも言えない思いに私は駆られました。お国のために死ぬということを、こんなに真っすぐに、命を込めたその言葉が全部連ねてある遺言ですね。
また、実は総理のお父君が当時、そのそばの万世という基地を造るについて、一緒になって取り組まれたと。そんなことから、あなたのお父さんも、もうこれだけは本当に何とも言えない思いだと、二度とこのようなことがあってはならないという思いで時々語られていることもお聞きしました。
総理、正直言って、お国のために命を懸けて戦うという少年の気持ちについて、今どんなお気持ちでございますか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) あの知覧の特攻隊の方々の遺書、写真を見て、だれでもやっぱり深い感慨を覚えると思います、感銘を受けると思います。涙なしにはあの遺書なり写真を見ることはできないのではないかと思っております。そういう純粋な当時の気持ち、あれを見れば、二度とこういうような時代にしてはいけないと思うのは私だけではないと思っております。
正に、平和の尊さをかみしめ、当時の国を思う特攻隊の方々の気持ちを思うと、一番大事なことは、政治として、二度と戦争を起こさないことであると。いかに平和を確保して発展を図ることだということが、あの知覧の特攻隊の遺書なり写真を見れば、どなたも私はそう思うに違いないと思っております。
しかしこの議事録テキスト部分では、何度読んでも中日新聞が「小泉首相が言った」と言っている、「政府批判ばかりするマスコミ。日本は世界一自由な国だよ」という発言は見当たりませんでした(俺の日記の以下のテキスト参照→http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20040210#p4)。これについては引き続きソースを募集中です。議事録には残らないような形で何か言ったのかなぁ、という気がしないでもありませんが、そうなると中継の録画(これも参議院サイトにあったりします→http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/library/result_consider.php)を全部見なければいけないんですが、そうするには約5時間かかるみたいです。うーん…。
あー、劣化ウラン弾をめぐってのやりとりはまたあとで。