とある掲示板でのやりとりから・放射線による「催奇性」について

↓以下の掲示板です
http://513.teacup.com/araya/bbs


× 投稿者:木下  投稿日: 4月25日(日)00時43分27秒

いつだったか、NHKでアメリカの核処理施設の近くの村の話を見ました。家族全員がガンで死に絶えた家がいくつも出て、空き家ばかりになってしまったが、因果関係を立証できない、とかそんな話でした。発生率が通常の数十倍(数百倍だったかもしれません)となれば、少なくとも因果関係を疑うのが科学ですが、アメリカ政府は補償を拒否しているわけです。私は劣化ウランのことはよく知りませんが、放射能汚染のため奇形になった子どもは何人か見たことがあります。「画像とコメントで語られていることだって、真実とは限らない」ことを言うためにバイブレーターを写す必要があるとは思えないし、因果関係を立証する方法がなくても病気は病気、化け物は化け物です。その姿、その症状によって、死ぬまで苦しみぬく人間の気持ちをこのページの作者は想像したことがあるのでしょうか。現に被爆の症状を見せている多くの子どもがいる時に、「劣化ウランが原因ではない」と言い切ることもできないなら、原因であった時のことを恐れるべきでしょう。劣化ウランの害が非科学的なものなら、それを説くのはいいことですが、とてもそれを真剣に論じたいようには見えない。率直に言って、下劣なHPを見て喜ぶ人も下劣だと思いますね。

これは、俺の日記の「衝撃! 戦慄! これが劣化ワラン弾の恐怖だ!(http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20020701#p1)をご覧になっての感想でしょうか。意見としてはもっともですが、「因果関係を立証する方法がなくても」というか、「因果関係を立証する方法がないから」反米・反核劣化ウラン弾が使われているのもどうかと思います。
俺のレスはこんな感じ(長いです)。

劣化ウラン弾の催奇性について 投稿者:愛・蔵太  投稿日: 4月25日(日)08時06分40秒

どうもこんにちは。

実は、「放射性物質とガン」については、その因果関係が多少ともあるみたいなんですが、放射性物質と催奇性」については、必ずしも因果関係があるとは言い難いところがあるようなんです(少なくとも人間においては)。そういう意味では、木下さんの記述はいささかミスリーディングを誘うかも、です。たとえば以下のサイトなど。

http://www.rerf.or.jp/nihongo/radefx/genetics/birthdef.htm

これは、人間における被曝のデータが少ないとか、植物や下等生物などと比べて放射線に対して人間はダメージの受け具合がもっと強烈である(奇形児が生まれる前に親が死んでしまう)とか、いろいろな原因が考えられるので、「催奇性はない」と、断定できる根拠は、俺のほうにもありませんが。

ところで木下さんがご覧になられたという「放射能汚染のため奇形になった子ども」というのは、どこででしょうか。それが明らかに「放射能汚染のため」という、放射能と奇形の因果関係が語られているサイトでしたら、少し興味があります。また、そのサイトがどこまで科学的・実証的にそれについて語っているのか確認してみたいとも思いますので、ご教示いただければ幸いです(念のため、森住卓さんのサイトは駄目ですよ。あそこは科学的・実証的なサイトではありません)。俺の「放射性物質と催奇性」に関する理解が、そのデータなどによって訂正を余儀なくされたら、俺の理解・判断の甘さを反省し、木下さんにお詫びします。俺自身も劣化ウラン弾その他については研究中の素人の身でありまして…。

あともう二つ、これは重大なことなので補足しておきますと、放射性物質による幼児や子供のガンというのは、大人以上にはっきりしていて、たとえばチェルノブイリ周辺での子供のガンの増加については、俺自身も深刻な問題として受けとめています。もう一つは、ひょっとしたらイラクでも、ガンは子供を中心に増加しているかもしれません(実は、統計的な発生率の増加というのは、フセイン独裁政権下の情報コントロールとか、調べれば調べるほどそういうこと調べたことのない国では増加するとかがあって、イラクの場合は本当にガンの人が増えているかどうかすら不明です)が、もし仮にそうだとしても、それは「劣化ウラン弾」の「放射線」のせいか、というのは明らかでない、ということです。イラクの人のガンの原因については、フセイン政権下での化学工場の汚染であるとか、クゥエートでの湾岸戦争イラク軍の油田破壊によるものであるとか(原油は明らかに発ガン物質であり、油田破壊行為によって燃焼・流出された原油量は、日本の消費量の1.5年分、20億バーレルです。これだけの毒物による悪影響は、「劣化ウラン弾300トン」以上のものがあるように思えるのですが)、まだまだ不明な点が多いのです。あー、「明らかでない」から「同情しない」という意味ではありません。ただ、因果関係について俺が語ったり問題にしているのは、あまりにもそれ(イラクのかわいそうな人たち)を「反米」「反核」のネタに利用したがっている人が多すぎる、ということですね。

現段階での俺の認識は、「劣化ウラン弾は小型核兵器」「劣化ウラン弾でこんなにかわいそうな人が」みたいなことを言っている人は、反米・反核の人たちか、そういう人たちにだまされている人なんじゃないかな、ということです。だまされている人には多少の同情も感じますが、反米・反核が目的の人たちについては、強い不快感を感じます。因果関係がはっきりしないで、とにかく反米・反核だったら何でもいいのでは、という懸念も。イラクのかわいそうな人たちの原因が、「アメリカ」でも「核(放射性物質)」でもない、と分かったら、絶対あいつらもう別の反米・反核材料探して、別の運動やってるだろうな、みたいな。

俺が嫌いなのは「嘘」とか「事実の歪曲・捏造」で、俺のサイトには、それを根にしたマスメディア批判というのが一つのテーマとしてあります。従って反米・反核といった左寄りの人に対しても、左寄りであるから間違っている、みたいな批判はする気はありませんが、少なくとも左寄りの人の「反・劣化ウラン弾キャンペーン」には、マスメディアのあまりよくない面が感じられ、つい過激に批判的になるのでありました。と、マジレスしておきます。

(太字は引用者=俺)
「催奇性」という言葉は、あまり馴染みがないかもしれないですが、「奇形児が生まれるということ(の、因果関係)」で、これについては引用した部分のサイトでは、このように書かれています。
↓原爆被爆者の子供には出生時障害が多いか?
http://www.rerf.or.jp/nihongo/radefx/genetics/birthdef.htm

先天性心疾患を除いて、広島・長崎で最も多く認められた出生時障害は、無脳症、口蓋裂、内反足、口唇裂(口蓋裂を伴うことも伴わないこともある)、多指症(指が5本より多い状態)および合指症(2指の癒合状態)でした。これら7種類の異常は、どんなヒトの集団にも見られるものですが、互いに血縁関係のない両親から生まれた奇形児594人のうちの445人に認められました。重い出生時障害の合計頻度を見ても、あるいは上記7種のそれぞれの異常頻度を見ても、親の被ばく線量の違いによる有意差は認められませんでした。同様に、生後8カ月から10カ月目に再び診察された幼児18,876人(両親は互いに血縁関係はない)のうち、378人に一つ以上の重い障害が認められましたが、その頻度は親の被ばく線量とは無関係でした。
という予備知識を持って、たとえば以下のサイトからいろいろなところを見てみてください。
↓【要覚悟画像】イラク劣化ウラン弾使用地域で多発する奇形児出産!
http://ch.kitaguni.tv/u/1023/%bb%fe%bb%f6%a1%f5%bc%d2%b2%f1%cc%e4%c2%ea/0000039806.html
プロパガンダ的には、いかがなものか、と思ってしまいますが…あー、念のため繰り返しますが、「放射性物質」と「ガン」との因果関係ははっきりしていて、チェルノブイリなどでもお分かりの通り、特に子供のガン(白血病など)の増加、という現象はあります(これについては俺の記憶違いでした。コメント欄参照)。ただ、イラクの場合、子供のガンが増加していても、単純に「劣化ウラン弾(の放射能)」のせいだ、と断言できるかどうかは、皆目不明です。
一応、俺の「衝撃! 戦慄! これが劣化ワラン弾の恐怖だ!」に勝るとも劣らない、ジョーク系サイト(としか俺には思えないところ)を紹介しておきます。あの、ジャミーラ・高橋さんのテキストです。
パレスチナアフガニスタンでも劣化ウラン弾が?
http://www.jca.apc.org/DUCJ/DUwatch/DUW6-1.html

海岸の巡航船トマホークからミサイルを打ち込んで、30戸の建物を瓦礫の山にした。トマホークはイラク攻撃の時に使われていて、ミサイルの先には劣化ウランがついていた。キャンプといえども50年も人が住むと大家族になっていて、それなりに強固な住まいを建てていた。イスラエル劣化ウラン弾は使わないというが、パレスチナ人たちはイスラエル劣化ウラン弾を使ったという。劣化ウラン被害はご承知のようにすぐは出ないので、パレスチナ側はとにかく調査中だという。
(太字は引用者=俺)
まぁ、イスラエル劣化ウラン弾を持っていたとしても、トマホークで普通の家を攻撃する際には使わないと思うんですが…。
ということで、実は「放射性物質と催奇性」について、因果関係が明らかにある、と言っているような学術的テキストを、探してはいるところです。どなたかご存じのようでしたら教えてください。