北朝鮮拉致被害者の家族・横田滋さんはどういう風に「最悪の結果」と言ったのか

家族会の記者会見の模様はライブで見てはいなかったんですが、たとえば映像として以下のようなところで見られるようです。
横田滋さん「最悪の結果となった」
http://news.tbs.co.jp/20040522/headline/tbs_headline965631.html


 拉致被害者の家族会は、午後6時過ぎから都内のホテルで記者会見を行い、家族会代表の横田滋さんは、今回の首脳会談について「最悪の結果となった」と厳しい口調で非難しました。
 「先ほど細田官房長官から小泉総理の会談の模様についてご説明をいただきました。また、その後、テレビで記者会見も拝見しました」
 「我々の感想ですが、小泉総理の再訪朝は予想していた範囲の最悪の結果となりました」 
 「一番いい結果としますと、例えば何人か生存の情報があったということ。それから反対に一番悪い結果は8人の方が、帰ってこられるけれども、もしかしたらジェンキンスさんが帰国できなくなるというのが一番悪い予想だったわけですが、その最悪の結果となりました」 
 「そして、曽我さんの場合も、日本で意思表示をすればまた違った結果が出たかもしれませんが、本人の意思確認が北朝鮮で行われた結果、結果的にはしばらくの間、解決が遠のいてしまったという感じがいたします」 
 「そして、今回の再訪朝は拉致問題の解決のためと言われていましたけれども、総理のお話を聞いていますと、平壌宣言を誠実に履行するのを再確認するのが目的でありまして、そしてその発表の中に、経済制裁は実施しない、それから人道支援の名目で25万トンのコメ支援と、それから1000万ドルの医薬品を贈呈することを表明しています」 
 「午前中に、当初は会議が順調に進んだということで予想外に早く切り上げたわけなんですが、こういった内容を見てみますと、もっと時間をかけて、午後も含めて交渉すべきだったと思います。 結果的には、北の実利だけが通ったような形でありまして、我々としましては落胆しております」 
 「一昨年の9月17日のときは死亡と言われた家族の中ではほとんどの方が涙を流したわけですが、今回は涙を流す人は1人もおりませんでしたが、その代わりに怒りの声で、官房長官はやはり、直接行っておられないので、細かいことはご存じないわけですが、怒りの声が飛び交って、これから小泉総理に直接お会いする場合、家族の怒りが強過ぎてどうなるかとちょっと心配するぐらいの感じでございました。ですから私の感じとしましては、最悪の結果と言わざるを得ません」
(22日18:25)
予想していた範囲の最悪の結果」という、フレーズの前半を省いたり、「怒りの声が飛び交って」という、家族会の中には怒っていた者もいた(そうでない者もいた)とか、そもそも誰に対して怒っていたのか、怒りの対象を明言していなかったり(俺はやはり金正日に対して、みたいな気もしたんですが…)とか、ニュースとして扱われることが多そうなテキストなので、誤読がないよう全文をここに収録しておきます。
たとえばすでに朝日新聞の場合は、以下のように要約しすぎたテキストにしているようです。
↓「予想した範囲の最悪の結果」 家族会の横田代表が批判
http://www.asahi.com/special/abductees/TKY200405220294.html

 〈横田滋・家族会代表〉 小泉総理の再訪朝は、最悪の結果となった。曽我さんも(夫のジェンキンスさんが)日本で意思表示すれば別の結果になったかもしれないが、北朝鮮で意思確認が行われた結果、解決が遠のいてしまった。今回の再訪朝は拉致問題解決のためといわれたが、総理の話を聞くと「平壌宣言を再確認する」というのが目的で、「経済制裁を実施しない」「人道支援名目でコメ25万トン、医薬品1000万ドル」を約束した。こうした内容を見ると、もっと時間をかけ、午後も交渉すべきだった。結果的には北の実利だけが通ったということで落胆している。一昨年9月は涙を流す家族もいた。今回は涙の人は1人もいない。家族からは怒りの声が飛び交っており、その怒りが強すぎてどうなるか。最悪の結果と言わざるを得ない。